SSブログ

2022.0331 O.A special [chord 5]

今回は年度末ということで・・・?
いつもと趣向をかえまして・・・chord5は映画テーマ曲特集です。
70年代、80年代、90年代からそれぞれお送りします。
今回はあえてここに何の曲かはお知らせしませんので、何のテーマか当ててみてくださいね。
特にプレゼントとかはないのですが・・・(笑)
曲のセレクトは河口氏。今夜は河口氏とmidoriでお送りします。

摩周湖の・・・〜special version〜(境 智洋編) [fun science]

IMG_4211.jpg IMG_4217.jpgIMG_4218.jpgIMG_4228.jpgIMG_4233.jpgIMG_4234.jpgIMG_4235.jpgIMG_4238.jpgIMG_4241.jpg
早く摩周湖が全面結氷が見る事が出来ないかな・・・。
いつになるかな?・・・。今シーズンずっと気にしていた境氏。5回も足を運んだそうです。
という私も、結局3回ほど冬の摩周湖を堪能させていただきました。
地元の方は冬に訪れるという方は少ないと思います。行く度に感じたのが観光客の多さ。
こんなコロナ禍でも観光で来ているという事実に愕然。確かに道外ナンバーの車やレンタカーも多く見かけました。
さて、今回は湖を見て「やった〜凍っている〜〜〜〜〜〜」そして、ナニこの音???
湖の南の端からひび割れた様な模様を作りつつ 湖が凍っているのが見えました。あれは湧水からの流れ?いや違うよね・・・丘側まで伸びていない。
大きなアイスバブル?北からの風で岸に押し寄せられた氷がだんだんと集まって来た様にも見えます。
そして白い帯を作っています。ただ、その帯から離れてまた小さな氷がブツブツした感じで浮かんでいます。
とっても不思議な摩周湖の顔を見せていただきました。
そして・・・展望台に着いた時から気になっていた音。ヒューヒューと風の音にも聞こえるのですが、湖がおしゃべりをしている様にも鳴いている様にも聞こえました。
塘路湖などで湖の氷が太陽がのぼり気温が上がりとけ始めたら聞こえるあの音にも似ているのですが・・・。
ただ、場所によってなのか、瞬間によってなのか音が違って聞こえるのです。トンコリの音色にも聞こえる時がありました。
おそらく湖の水が凍っている氷の下との関係で反響しているのだと思います。こちらもとっても不思議。
今シーズンは、全面結氷は難しいのでしょう。どうやら去年の夏の気温も関係するみたいですから。気候変動などによる温暖化の影響もあるのかもしれません。
さて、先ほどの少し岸から離れた所のブツブツした氷の辺りが岸から離れました。(写真上段左から2番目と、一番下の段、右端の写真を比べていただけるとわかるかな?)
そして、先ほどまでのあの音が聞こえなくなりました。・・・・・どうやら北風から南風に変わった様です。

執筆活動しています〜special version〜(齋藤 慶輔編) [nature treasure]

nt0331用photo.jpg
現在、大学生用の教科書を書かれていて頭を悩まし中の慶輔獣医。野生動物医学の領域が獣医師国家試験に出るようになりました。10年前はなかったそうです。
ということは、野生動物医学をしっかり学ばなければいけないということ。「私は野生動物のリハビリテーションについて書いているのです。イメージできますか?」
野生に戻る事をゴールに見据えた治療とか入院等、いわゆる運動訓練等を全部ひっくるめてリハビリテーションというそうです。ですから傷病動物の救護のことなのです。
慶輔獣医がなさっている野生動物のリハビリテーションは実は長い歴史があるのです。傷ついた野生動物を治すというのが学問として行われてきたのではなく、
愛護の精神で、苦しんでいるから手を差し伸べてあげようとか・・人間として倫理の面でやってきたことなのです。
人間が原因となっているものが多いので、人間が責任を持って治して自然にかえすのが当たり前だという見方があります。
でも一方で野生動物が死ぬということは、生まれるということと同義だという考えも極論としてはあるそう。
そこを学問として、学生が学ぶといった時には平等にその考えを書かなければならないと。
ほかにはどうして野生動物のリハビリをやるのかという意義。種類によっては種の保存に影響が出る場合もあります。
「傷病野生動物は自然界からのメッセンジャーなんです。自然界がどうなっているのかを我々に教えてくれていると思うのです。
救護活動の小さな一歩が、今や種の保存や、あるいは法律を変える等大きなうねりになっているのです。
その様なことを考えると、野生動物のリハビリテーションは、もはや1羽の命を救うという活動だけではなく、自然界を健全なものにするという
一つのエビデンスとして役に立つということがきっちりと受け止めなければならないのです。」
※写真は齋藤慶輔氏からお借りしました。

suspicion depiction [close to you <art編>]

いつもと違った切り口で収蔵品をご覧いただきたく第2弾。
題して「疑惑の○○」シリーズ。第2回目は疑惑の描写シリーズです。
何が描かれているのかな?というのを考えていきましょう!!という2作品をご紹介。
深いものもあるし、個人個人で面白がって見て!・・・という作品もあるので。
4星降る街.jpegまず、板谷諭使の「星降る街」。
要素がいっぱいあり、混乱する作品。
北海道立釧路江南高校で美術教諭をなさっていました。
大きな具象の油彩作品。画面の中には人物や小物がたくさんあり、それぞれに意味がありそうな感じです。
ストーリーがあるような描き方をなさっています。
人物が3人描かれています。メインとなるのが女性と思われる人と年配の男性と赤ちゃん。
まず描かれている人物の関係性が不明。メインの人物は他の人たちとは逆の方向を向いています。
一つの部屋に3人がいる。部屋がおそらく高いところにあり、海外と思える街並みが外に見えている。
その手の上に赤い丸い球状のものが浮いています。この人は一体何をしているのでしょう?
男性は赤ちゃんをあやして見つめ合っている。その側に器に入った赤い球状のものが見えます。
これは果物?現実離れした人間関係が見えてきます。他には天秤、ランプ、猫、ジャガイモ、チェロ等があります。
ただ、受ける印象は違和感。おそらくこの違和感は作者が意図的に色々な要素を入れて、ある意味現実離れした空間を描いたのでは?
あえて疑惑を持たせるようなことをしたのでは?と考えてしまいます。タイトルにある星降る街は窓から見える風景。でもあまり目立たない。
窓はガラスがない感じ。窓の外に見える星、天の川を描きたかったと思われるけれど、そこに一番最初には目が向かないようになっている。
気づきが永遠に終わらない・・そんな作品です。
5北の海.jpeg
続いて、木下勘二の「北の海」。
半具象、半抽象を描いた作家。彼も北海道立釧路江南高校で美術教諭をなさっていました。
夕張出身の彼は北海道らしい広い空間に憧れ、釧路へ。釧路にいらしてから摩周湖や漁船等を描かれていたそうです。
晩年、流氷にはまり、そればかり描かれたそうです。「北の海」というタイトルの作品がたくさんあるそうです。
その中でも物語がある作品と感じている武束氏。
他の作品と決定的に違うのは、ここに珍しく人物の頭部が描かれています。
作者のものと思いきや、これは俺という人物が現れそう。一緒に流氷をスケッチしに行ったことがある方。
ただ、作者もその方も亡くなられたので、真実は不明。
そして、作品の中にある旗らしきものも不明。これは本人が流氷を見に行った時にゴミなのか?チラシなのか?旗なのか?を
舞っているのを見たことがあり、それが面白いと思い、それからずっと描かれているそう。
描いた人にしかわからない。自分が解釈したもので作品を楽しむということが良いのかなと思います。
※尚、写真は釧路市立美術館 武束祥子氏からお借りしました。

2022.0330 O.A 釧路労災病院 外科 副院長 小笠原和宏氏 [close to you <dr.編>]

cd0330小笠原dr.jpg
いよいよ4月から釧路労災病院で緩和ケア病棟がオープン。「12年頑張ってきたもの、思い描いたものがやっとカタチになります。」と語っていただいた小笠原氏。
がん患者さんと向き合っている中で感じた色々、もっと自分たちにできることは無いのか・・・それが始まりだったそう。
がんに伴う心身のつらさに対して専門的な緩和ケアを提供する施設に「れぽふる」という愛称がつきました。
釧路・根室管内の高校生・看護専門学校生を対象に愛称を公募した結果、院内全体で投票し選ばれた名前です。
フランス語のrepos(安らぎ、休憩)をfullに提供しようという意味です。
多職種が連携して質の高い緩和ケアを追求したり、療養の方針や生活のあり方について患者・家族の意向を尊重したり、患者の尊厳が保たれ穏やかな時間を過ごせる様に
取り組んだり、様々な課題にともに取り組む関係づくりに努めたり・・・と基本方針にはそこに関わる方々全ての想いが、いっぱい詰まっています。
症状緩和を第一に体のつらさや気持ちのつらさの治療とケア、がんに対する積極治療は原則として行わない、いわゆる延命処置や症状緩和に
つながらない検査は行わなないとうの取り組みがあったり、普段の生活を少しでもおくっていただきたいと個室には全室専用トイレを設けてあります。
また家族との面会時間に制限はなく、宿泊も可能。キッチンスペースでは手料理も作ることができるそう。その他、感染症対策も万全になさっています。
では一体どんな方が対象となるのでしょう?実はがん患者さん(治療段階を問わない)とHIVの患者さんだそうです。
どんな時に入ることができるのでしょう?症状緩和の難しいがん患者さんの状態立て直しのための入院加療。
在宅療養患者さんの家族休養等のための一時的なレスパイト入院。病院での療養を希望するがん終末期患者さんの看取り・・・とのこと。
ただ、がん終末期の療養に特化した、いわゆるホスピスではなく、積極治療中の一時的な症状緩和目的の入院などもその対象になるそうです。
いかに生きるか・・・それを支えてくれる数多くの志高いスタッフがたくさんいらっしゃる「れぽふる」。
釧路・根室地域のがん緩和ケアの先駆けとして、患者さんや家族と真摯に向き合い、心身のつらさの軽減に全力で取り組み、
この地域の緩和ケアの文化を広めることを使命に間も無く本格的に動き出します。

日本思想のルーツ(中村 隆文編) [varied experts]

01長崎の崇福寺.jpg 02和歌山の神倉神社のゴトビキ岩(天岩戸と呼ばれる).jpg 03熊野古道.jpg 04かつての熊野本宮の場所に佇む巨大鳥居.jpg 05中国から卑弥呼に送られた銅鏡.jpg
日本の思想って複雑・・・というのが、収録を終えて感じた第一印象。
日本の宗教というと何を思い浮かべるでしょう?多くの方は仏教という方が多いのではないかと思います。
ところが、生活習慣やものの考え方などには実は他の教えが強く影響している場合も多いそう。
例えば、先輩後輩という考え方。1年でも上だと先輩という感じで接する方も多いと思いますが、まさにこの考え方は儒教の教え。
そもそも上下関係をはっきりさせたりする縦社会、統治の時に必要だったのです。それが今も残っているといった感じなのでしょう。
他には道教があります。自然に生きた方が良い、自然重視の考えかた。不老不死などオカルトだけど倫理的な思考と。
他には、神道もお話しには登場しましたが、一体どれが一番先に日本に入ってきたものなのか?
しきたりや流れ、ルーティンを大切にする日本人のメンタリティはどこから生まれたのか?
様々なものが日本で一つになったのか?ならなかったのか?相互に入り組み、日本人用にカスタマイズされたのか?
また、インドのバラモン教の影響もあるみたいです。例えば輪廻という考え方。「生まれ変わったらまた会いましょう」という日本人的な美化されたものではなく、
本来は輪廻から解脱するための修行を行い、さらにステップアップするステージへ向かうもの。
現在もクリスマスやハロウィン、ヴァレンタイン等様々なものを受け入れている日本ですが、根本的には儒教の考えから抜け出せないのでは?と中村氏。
「しきたりとか流れとかルーティンをとにかくやっておけば大丈夫。やらなかったら何か不幸なことが起きるというのも、どこかの日本人の宗教のメンタリティ。
歴史が積み重なってその様なメンタリティが構成されてきたのでは?」と私の個人の感想ですが・・・とおっしゃっていました。
宗教のことを知れば知るほど「自分がこうしているのは、もしかしたらこれかな?」等自分の振る舞い方の意味がやっとわかるというところがあるのです。
だから自分を気づくためにも宗教というのは多少なりとも知っていた方が面白いかな・・と思うのです。」
※尚、写真は中村隆文氏からお借りしました。
・写真上(左)は長崎の崇福寺。福建省出身の華僑が建てた仏寺ですが、道教の閻魔大王をまつったりもしています。中国の中元の日に中国式のお盆(盂蘭盆)をする。
・写真上(真ん中)は和歌山の神倉神社のゴトビキ岩(天岩戸と呼ばれる)
・写真上(右)は熊野古道。
・写真下(左)はかつての熊野本宮の場所に佇む巨大鳥居。
・写真下(右)は中国から卑弥呼に送られた銅鏡。道教の女神が描かれていて、すでに道教思想の由来の痕跡がある。

2022.0325 O.A 「梅咲き観光客来る」 [varied stories]

田伏伸次さん(レコーディングスタジオクーパー代表)
https://studio-cooper.jp/

大阪はだいぶ春らしい気候になったみたいです。20度を超える気温になることも・・・。まだ半袖にはなれないみたいですが・・・(笑)
桜はまだの様ですが、梅の花が咲いていたそうです。
そんな中、新型コロナウイルスワクチン接種の3回目を受けたそうです。集団摂取の会場で。
大阪城関連の場所だったそうで、帰りには羽織袴の姿の人をたくさん見かけたそう。
それがとっても春を感じたとおっしゃっていました。
そうですね、春は出会いと別れの季節とよく言われますが、その様な格好をみるとなんとなく自分の姿と重ね合わせたり、そこから季節を感じることもありますよね。
春だから・・・という話しではないのですが、最近は海外からの観光客の姿を多く見かける様になったと。
欧米やら東洋やら色々なところから大阪にやってきているみたいです。少しずつ以前の姿を取り戻している感じなのでしょうか。
popo氏のマンションからはお寺が多く見えて、そこには桜の木々もたくさん。まだその桜は花開くには時間がかかりそうです。
現在もYouTubeの編集に終われる日々を送っているpopo氏ですが、だいぶ慣れてきたみたいです。
エンジニアの人ってどんな人なの?どんな仕事をしているの?等 その一部を垣間見ることのできる内容。
「皆さんに知っていただくためにもやってよかった企画だと思います」とpopo氏。気になった方は一度チェックしてみてくださいね。
https://www.youtube.com/channel/UCx_BUrtSzudCnx6oR6BRJoA
※写真は田伏伸次氏からお借りしました。
0325vspopo氏.jpg

2022.0324 O.A 邦楽 [chord 5]

・あの日にかえりたい / 松任谷由実
・リフレインが叫んでる / 松任谷由実
・真夏の夜の夢 / 松任谷由実
・守ってあげたい / 松任谷由実
・翳りゆく部屋 / 松任谷由実
・Hello, my friend / 松任谷由実
~今回は邦楽一般。松任谷由実特集です。
セレクトは村田氏。今回の出演は、村田氏&midoriでお送りします。


最新の赤潮研究情報(黒田 寛編) [fun science]

1.jpg 2.jpg 3.jpg
昨年9月中旬に道東沿岸で前代未聞の大規模な赤潮が発見されてから約半年が経ちました。
昨年11月に赤潮の状況や、赤潮プランクトンがどこから流れてきたのか?なぜ発生したのか?といったお話しを伺いました。
その後、昨年12月には赤潮が終息したことが北海道立総合研究機構から発表され、その後、赤潮の再発は確認されていません。
さて、この半年に3つの研究が学術論文に掲載されています。 そのうち2つが黒田氏の実施・執筆した研究で、もう一つが東大の岩滝准教授が実施・執筆された研究です。
まず、岩滝氏の研究に基づくと、赤潮プランクトンの優占種はカレニア・セリフォルミス(Kr. selliformis)です。ただし、赤潮の構成種は1種類ではなく、
Kr. mikimotoi(カレニア・ミキモトイ)/ Kr. longicanalis(カレニア・ロンギカナリス)/ Karlodinium sp.(カルロジニウム)/
Takayama cf. acrotrocha (タカヤマ cf. アクロトロカ)/ Takayama tuberculata (タカヤマ ツベルクラタ)/ Takayama sp.(タカヤマ sp.)
※cf.:特定の種または亜種に同定したものの、さまざまな理由によりタイプ標本を直接参照することができなかった。  ※sp.:種名が特定できない1種
さらに、カレニア・セリフォルミス、顕微鏡下で形態が異なるのです。まるで七変化。新聞でお馴染みの緑の葉緑体が目立つものから透明の個体まであり、
全く同じ種の生物とは思えません。現在、遺伝子等の情報を使い顕微鏡下での形態判別以外からカレニア・セリフォルミスを特定する為の技術開発が実施されているそう。
もう一つの研究が、黒田氏のチームで実施した研究結果。昨年の10月~11月に、新聞やテレビでは空から赤潮を撮影して赤潮の発生海域で、海の色が明らかに違うことが
報道されていました。赤潮の発生した海域は、黄褐色、あるいは、赤褐色のビールが濁った様な海の色をしていました。
最近、黒田氏の研究チームで、人工衛星の海色センサーから海面付近にカレニア属がどれくらい居たのか?ということを定量的に推定することに成功したのです。
「人工衛星はそれぞれの色を波長別に分け、海から出てくる光の強さを認識。カレニアの細胞数を推定する際、私は人工衛星が観測した赤に近い波長帯を利用しました。」
カレニア赤潮の中心は、水深が200mよりも浅い大陸棚域にあり、道東一帯の大陸棚域で典型的なカレニアの細胞数が1mLあたり数千細胞にもなったそう。
大陸棚域でのカレニア分布の中心付近では、小さじ1/5杯の中に、数千細胞のカレニアがいたということ。かなり濃密です。
さらにカレニアは、いくつもの筋の様な構造で分布していたことも人工衛星からの推定で明らかになったのです。
さらに、驚きは、筋状に伸びる一つの筋の中で、カレニアが特に濃密に分布する場所が点在していて、その様な場所では、カレニアは1mLあたり数万細胞を越えていたと。
この様にカレニア密度のマップが人工衛星から推定できるようになった事で、いつ?どこで?どれほどのカレニアがいたのか?という基礎的なことを知る事ができる様になったのです。次のステップは、人工衛星から推定したカレニアマップと実際の漁業被害を重ね合わせることで、漁業被害を引き起こしたカレニア赤潮の動態をより詳しく理解する必要があると黒田氏。今後も赤潮の研究は続いていきます。
※なお、写真は黒田寛氏にお借りした資料です。

やっとキタサンショウウオを守れる?(照井 滋晴編) [nature treasure]

2.jpg 3.jpg 1.jpg
「キタサンショウウオなど規制開始 販売目的の捕獲に罰則」とタイトルで新聞に掲載された記事。
これは、2022年1月24日「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称、種の保存法)という法律の一部改正に伴い
「特定第2種国内希少野生生物種」というカテゴリーにキタサンショウウオが指定されたというものでした。
このカテゴリーは、指定された動植物を販売目的での捕獲、売買、譲渡などをすることを法律で禁止するというものです。
ちなみに「特定第2種」という言葉が付かない国内希少野生動植物種の場合は、販売目的かどうかは関係なく、捕獲も禁止されているそうです。
今回、キタサンショウウオは「特定第2種」のカテゴリーに入ったため、販売目的の捕獲が禁止されました。
ただ、 釧路市や標茶町では、天然記念物に指定されているため、もともと許可なく捕獲することはできなかったのです。
しかし、天然記念物指定の元となる条例には罰則規定がなかったので、最悪捕獲して売ろうという人がいても、罰則がない分あまり効果をなしていない感じだったと。
そのため、キタサンショウウオの保全活動をする地方自治体も研究者も、生息地を具体的に明らかにすることができていなかったそう。
生息地を明かさないでいるとどの様な事がおこるのか?天然記念物がいるという情報がない場合、いないものとして、生息地が開発されてしまうことがあるのです。
最近、湿原のいたるところに太陽光発電所が建設されていますが、その建設地の中にはキタサンショウウオの生息地も多数ありました。
今回、キタサンショウウオが「特定第2種」に指定されたことで、生息地を明かす事で生じる可能性のある販売目的の乱獲という事態を
罰則(5年以下の懲役、または500万円以下の罰金)のある法律で防ぐことができるようになったのです。
そのため、生息地をある程度オープンにしながら保全対策を講じることができるようになったとも言えます。
そもそもサンショウウオ、販売して売れるのでしょうか?日本国内には40種を超えるサンショウウオが生息していて、その多くが絶滅危惧種に選定されています。
ただ、捕獲する事が法的に問題のない種はほぼすべて販売ルートにのってしまうそう。 サンショウウオという生き物は実は人気があるのです。
北海道に広く分布するエゾサンショウウオも販売されており、北海道の色々な場所で捕獲された卵や幼生、成体が販売され日本全国に送られていっているそうです。
最近では、サンショウウオ以外でも多くの野生生物が捕獲され、販売されており、その市場はどんどん大きくなってきているように感じると照井氏。
その様な状況だからこそ、キタサンショウウオが指定された「特定第2種」というカテゴリーが必要になるということなのです。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。