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キタサンショウウオに関する卒業論文(照井 滋晴編) [nature treasure]

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福岡 九州大学の学生がキタサンショウウオに関係するテーマで卒業研究をしてくれたというお話し。
そのテーマは「釧路市におけるキタサンショウウオと太陽光発電所の共生についての研究」市の天然記念物であるキタサンショウウオが太陽光発電施設の建設ラッシュ
によって生息環境を失ってきているという問題に対して釧路市がどう対処していくべきなのかを提言してくれているそう。
「太陽光発電施設の建設ラッシュとキタサンショウウオの関係については、私も度々紹介させていただいたり、新聞等で何度か取り上げられていて、少しずつ問題意識が
世間に広がってきたかなと思っていましたが、まさか九州の学生さんが研究として取り組んでくれるとは思っていなかったので驚きました。」
それは釧路湿原を擁する釧路市と鶴居村、標茶町それぞれの太陽光発電施設の建設によって生じる諸問題に関係する課の職員に対しヒアリング調査を行う方法で実施。
ヒアリング調査の結果、釧路市はキタサンショウウオの生息地で何らかの開発行為をする際には天然記念物の現状変更の許可申請を設けているものの、
博物館担当と市役所の連携がうまく取れていないこと、許可申請を提出された場合にそれを否決する理由事項が存在していないことから直接的に太陽光発電施設建設の
抑止力にはなっていないということがわかったとしています。 これは本当にそうだと照井氏。書類を揃えれば生息地を更地にする場合でも許可が出るので、
規制としての実効性は低いと言わざるを得ない感じと。 そもそも許可申請もなく、いきなり生息地を更地にしてしまう業者もいるそうで、天然記念物の現状変更の許可申請だけだと効果が薄いのはまちがいないとの事。 また、卒業研究では現状を打破するには条例やガイドラインの策定によってむやみな建設に規制を行うのが妥当であるものの、生態系の保全と太陽光発電所の建設に関する条例が制定された前例が全国的にないこと(景観についてはある)、条例を制定したとして実際に有効性をあげられるか
わからないこと、キタサンショウウオの認知度が低いこと、市の担当課が不明瞭になっていることが条例制定のネックとなっていることが明らかになったとのことでした。
鶴居村や標茶町の場合は、自治体が小規模であるが故に条例ないしガイドラインの策定がスムーズに行われたという背景があり、比較的大きな自治体である釧路市の場合は行政の分担を適切に行った上でキタサンショウウオに関係する担当の明確化を図ることが必要だろうとしています。
今後は教育の観点からキタサンショウウオの認知度を高める事や住⺠への土地の返還制度の普及でキタサンショウウオの間接的な保全も求められると結論付けているそう。
「この研究で指摘された現状や課題については、私自身もなんとなくそうだろうなと思っていたものと合致しますし、それを地道な聞き取り調査によって
具体化してくれて、今後の課題がより明確になった気がします。 研究の成果については、釧路市の関係各課にも伝えられているのだろうと思います。
こういう問題や課題があると指摘された釧路市は耳が痛いと思いますが、釧路市以外の方が、丁寧に調べて考察してくれたわけなので真摯に受け止め、今後の対策に
生かしていっていただきたいと思います。 」
今回の研究の結論の一つに、キタサンショウウオの認知度の低さに問題があるというのがありましたが、本当にそうだと感じるそうです。
より多くの地域の方々にキタサンショウウオのことを知って、愛着を持ってもらえれば、太陽光発電施設が乱立することで、キタサンショウウオという天然記念物になっている生物が減少している事に問題意識をもって下さる方々も増えると思うとおっしゃっていました。今後はより一層キタサンショウウオの普及啓発に励みたいとも・・・。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4jE0JJ1l6kdpxDvmn1Ooj3

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