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In search of something new and yet to be seen [close to you <art編>]

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留寿都から伊達に今年引越しをなさった陶芸家の加地学氏。とにかく新しい土地での窯作り、工房作り、その他諸々で忙しい2022年だったそう。
今回、加地氏の作品で一番今までと変わった〜と思ったのがその陶器の肌。今まではマットな感じのものが多く、渋い器が多いと思っていたのですが。
新しい窯のポテンシャルにあわせての作品が並んでいます。そしてカラフル。グリーンの色が目につきました。
これは焼く段階での酸素の量によるそうです。酸素が多いと緑色、少ないと赤っぽい色になり、その中間が白とのこと。
土も様々な土をブレンドして、焼き方も、窯も全てが新たなチャレンジ。その組み合わせは何通りになるのでしょう。
お話を伺っていると理科の実験みたいと感じました。現在は窯は1つですが、4ヵ年計画で少しずつ増えていきます。
また、それに伴ってできる作品の幅も広がります。これからどんな作品が生み出されて行くのか?非常に気になります。
会場では留寿都の窯で焼いたもの、そして新しい伊達の窯で焼いたものが同時にみることができます。その違いは一目瞭然。
皿の中央に模様かな?と思ったものがあったのですが、これは実は窯に入れる時に一番下にあり、その上に別の皿を乗せて・・・焼いたもの。
それも景色として愛でる・・風流な感じがします。
陶器もやはり手にとって、そこから感じるものを受け取ることのできる作品だと思います。
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(北の愉快な仲間達〜陶芸・ガラス・木工作品展は12/5まで釧路 ギャラリー&サロン迦倶楽で開催中です。)

2022.1130 O.A 釧路赤十字病院 内科 古川真氏 ~2~ [close to you <dr.編>]

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「痛いの痛いのは飛んでイスタンブール?」というお題でお話しくださいました。この痛みを医学上分類しているそうです。それによると痛みは3つに分類されると。
その1:侵害受容体性疼痛。ほとんどの痛みはこれに当たるそう。組織の損傷を感知する痛みの受容器(侵害受容器)への刺激に起因する痛みで、侵害受容器は大半が
皮膚と内臓に。この損傷には、切り傷・骨折・挫傷・挫滅創・熱傷など、組織が傷つくものが含まれるのです。典型的なものは、鋭い痛みやうずくような痛み、
ズキズキする痛み。手術後にほぼ必ず経験される痛みも侵害受容性疼痛。痛みは持続的なこともあれば間欠的に起こることも・・・。
多くの場合は、体を動かした時、笑ったりした時、深呼吸した時など。一番単純な痛みとのこと。外からの物理的なものであろうと、内部からの炎症物質ができて
痛くなったものであろうと、痛み神経を通して痛くなったというのは一緒。これはボルタレンとかロキソニンといったいわゆる痛み止めが効く痛みなのだそうです。
消炎鎮痛剤(ステロイドホルモンではない消炎鎮痛剤&ステロイド消炎鎮痛剤)がこの侵害受容体性疼痛には効くということ。
その2:神経原性疼痛。一般の方々が言う神経痛、肋間神経痛・坐骨神経痛・顔面神経痛等、これは外的に何か刺激がきている訳ではないのに、神経そのものが痛み刺激があるかのように、ずっと痛み信号を送り続けてしまっているのだそう。神経そのものに痛みに原因があるそうです。
これは昔は神経ブロックという方法がとられていたそうですが、それが最近、飲み薬が出てきたそうです。
注射で痛み刺激をブロックしたりしなくても飲み薬で、痛みの刺激伝導を抑えるという薬との事。
その3:中枢性疼痛(心因性疼痛)。痛み刺激もなく、痛み神経でもないのに、痛いと思ってしまう。これは消炎鎮痛剤の薬も神経原性疼痛の薬も効かないそうです。
一番有名なのは、幻肢痛。怪我や病気で足や手を切断してしまい、その切ったところが痛いと感じてしまう。そのショックや喪失感、心が痛いのです。
どちらかというとメンタルの病気で、心理療法をしたり、抗うつ剤を飲んだり・・・この痛みはとても手強いとおっしゃっていました。
「今は侵害受容性疼痛、痛み物質による痛みというのは結構コントロールできるようになってきたんですよ。かなり痛みで苦しむということが少なくなってきたのですが、次に手強いのは神経痛。それでも昔に比べたら少し効く薬が出てきて、50%くらいは痛みを軽減できるようになってきたと言われているんですよ。
中枢性疼痛はこれはまだまだ・・・・・。」

カルチャートーク〜恋愛編(Chris Knoepfler編) [varied experts]

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2009年に来日してからChris氏が感じた日本の恋愛に関わるお話しです。
まずはびっくりしたこと。日本は告白が大事ということ。それがないと何も始まらないと感じたそうです。
まずは告白ありきで物事が進む。告白しなければならない・・・それで困ったことがあったそうです。
アメリカでは何と無く始まることが多いそう。アメリカは告白がなく、何と無く始まり、ご飯を一緒に食べに行ったり、映画を観に行ったり。
誘いからスタートするみたいです。そのうち「私は何?」という流れになるみたいですが。
確かに日本では手を繋いだり、キスをしたりというのは告白があって、次の段階という感じがします。そこが大きな違いのようです。
そして中学や高校で体験するのがスクールダンス。学校主催で開催されるそうですが、年に数回行われるそう。そこでは、告白=ダンスに誘うというイメージです。
高校の高学年で体験するプロムというダンスイベント。男性はスーツ、女性はドレス。そこではヒップホップやラップの音楽がかかり、途中スローダンスが始まり・・・
お聞きしているだけで青春の甘酸っぱい感じがしてきました。
出会いに関しては、日本では職場とか友達からの紹介というのが多い感じがするのですが、アメリカではオンラインアプリで知り合うというのが2割ほど。
日本に比べるとアプリが活躍しているみたいです。大人になって、もちろんバーでの出会いというのもあるそうです。
日本では一緒に飲みに行った人とおしゃべりというイメージですが、アメリカではそこで自由に歩き回り、いろいろな方とお話しをするそう。
ですから、ある意味、出会いの場にもなっている感じがしました。本当に知っているようで知らないことがたくさんあるのだとあらためて感じました。

2022.1125 O.A 「2022年と2023年」 [varied stories]

田伏伸次さん(レコーディングスタジオクーパー代表)
https://studio-cooper.jp/

実は今回今年ラストの回。ずっとコロナの話題をしていた感じもする2022年。大阪は世界各地からいらしている観光客の方で賑わっているみたいです。
アジアから、欧米から・・・。昨日飲みに行かれたお店でも隣にはドイツからいらした方が。。。。
やはり円安の影響が多分にありそうです。逆に「スタジオでは海外の機材の価格が1.5倍くらいになっているので買えないです。もちろん海外旅行もお預けですね。」と。
収録時は大阪にいらしたpopo氏ですが、先週末からは石垣島へお仕事でお出かけ。
放送時には林田健司率いるエロティカオのライブと主催する島でのフェスが終わって大阪に戻られている頃かもしれません。
そこでは島の小学生が「いのちのはこぶね」を合唱してくれるとおっしゃっていましたが、前説でpopo氏が「いのちのはこぶね」ができる経緯を説明されたはずです。
さて、林田健司氏率いるエロティカオ、来月札幌でライブを開催。8人編成で大人の贅沢な時間を過ごすことができそうです。
熱く燃える時間を体験したい方は12月17日(土)札幌EL MANGOへ。そして12月19日(月)には彼の単独ライブがcube gardenで開催されます。
さて、popo氏にとって今年2022年はどんな年だったのでしょう?「新しいことが少しずつ動き出した感じがしています。
まずはスタジオのYouTubeチャンネルの動画をアップしたことですね。」
1週間、もしくは10日に1度の割合で動画をアップ。全く動画の編集をしたことがなかったそうですが、すごいことですよね。
さらにそれを続けるということ自体が素晴らしいと思います。
「来年はルーティンワークに加え、次のチャレンジもしたいと思っています。ここでお話ししていた石垣島のおじさん方のYouTube動画を今度こそ!!」と。
まずは本業をお持ちの方々ですので、全員のスケジュール調整という関門があるのですが、来年こそは拝見できることを期待したいと思っています。
そして、来年こそは釧路でお会いできたら・・・と嬉しいお言葉をいただきました。実現できますように・・・!!!
※写真は田伏伸次氏からお借りしました。
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2022.1124 O.A アイドル [chord 5]

・渚のバルコニー / 松田聖子
・ウェディング・ベル / シュガー
・色つきの女でいてくれよ / ザ・タイガース
・少女A / 中森明菜
・センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代
・急いで!初恋 / 早見優
~今回は邦楽アイドル編。40年前 1982年アイドルHIT特集です。
セレクトは齋藤氏。出演 齋藤氏 &村田陽平でお送りします。

黒潮と親潮の海洋学〜入門編〜(黒田 寛編) [fun science]

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黒潮・親潮は、英語ではなんと呼ばれているかご存知でしょうか?
答えは、「Kuroshio」「Oyashio」そのままで、日本だけでなく世界の研究者をも魅了する二大海流なのだそうです。
黒潮・親潮の「潮」には『流れ』という意味があるので、黒潮は「黒い流れ」、親潮は「母なる流れ」という意味に・・・。
というのも、黒潮付近の海水は暖かく、プランクトンが少なく透明度が高いので、海に光が入ると吸収されてしまうため、船上からは海水が黒く見えます。
一方、親潮は、冷たくて栄養豊富な水を運び、これが多くの生き物を育むゆりかごの様な役割を果たしています。
なぜ、黒潮や親潮が世界中の研究者から注目されるのでしょう?一つには、太平洋や大西洋では、西側の境界に沿って強い流れができます。
海のどこにでも強い流れができるわけではないので、この「強い流れ」に研究者が魅了されてしまうそう。
例えば、北太平洋・・。東側にアメリカ大陸、西側には日本列島があり、日本列島に沿って黒潮と親潮が流れます。
北大西洋・・。東側にアフリカ大陸やヨーロッパ、西側にアメリカ大陸。北大西洋の西側に沿って黒潮と親潮に対応する「メキシコ湾流」と「ラブラドル海流」。
では、なぜ、黒潮や親潮が常に流れているのでしょう?それは、北太平洋の海上風が黒潮や親潮を動かす「駆動力」であり、この海上風が止むことがないから。
ですから、北太平洋の海上風が変動すると、それに伴い黒潮や親潮の流量や流速、流路等が変化します。
それが、黒潮や親潮周辺で住む魚の生息環境に影響を変え、稚魚の輸送や生残にも影響し、最終的には、私たちの食卓にも影響を及ぼすことになるのです。
この黒潮ですが、どれくらいの幅で、その速度はどのくらいなのか・・・。流れの幅はおおよそ100km位、平均的には1m毎秒位の速さ。
1m毎秒は時速に換算すると3.6km程。ゆっくりの様にも思えますが、1日では86.4km、1カ月では約2600kmにもなるという事。
そして、この黒潮、流れに対して右側の水面が左側の水面よりも高くなっているそうです。流れに直交する方向の水位差が維持されることで、黒潮の強い流れが維持されていると。実際、流れの幅を100kmとすると、流れに対して右側が左側よりも1m高い状態になるそうです。
「幅100kmでたった1mの水位差が維持されるだけで、黒潮という世界有数の強い流れが維持されるという事実には海洋学を学び始めた頃は、本当に驚きでした。」
流れの右側の水面が左側よりも高くなるのは、流れの右側では、左側よりも、暖かい水が厚く輸送され、熱膨張の効果で水面が盛り上がりるという事の様です。
また、同じ様に、親潮についても流れの右側の水面が左側よりも高くなります。ただし、親潮の場合、水温よりも塩分の効果が重要になり、流れの右側で左側よりも、
塩分の低い水が厚く輸送されるので、水面が盛り上がることに・・・。さらに、流れの右側と左側の水位差は、親潮の方が黒潮よりも小さくなるとのこと。
これは、海面付近において、親潮は黒潮よりもゆっくりと流れていることを意味しているそうです。
「黒潮も親潮も北太平洋の西側に作られる強い海流で、両者は海上風が駆動力で、流れの右側の水面が高くなることなどの共通点はありますが、一方で、流れの強さや、
流れの深さ、運ぶ水の水温、塩分、栄養も異なるので、北太平洋の海上風が変化しても、両海流が同じように変化するわけではないことになります。
そのため両者の変動やその関連性は非常に複雑になりますが、実は、そこが面白いところであり、私も、その動的な振る舞いに魅了された研究者の一人なんですよ〜。」
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/04KIkclvoTXmcuuwMaHYER

サンショウウオの調査方法とは(照井 滋晴編) [nature treasure]

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サンショウウオの調査をする際は、まず捕獲すること。 一番簡単なのは、繁殖期に水域内に集まった個体を網などですくって捕獲する方法。
また、非繁殖期にはトラップを使って捕獲を試みます。 トラップといっても難しいものではなく、塩化ビニルのパイプを使って作ったただの落とし穴。
湿原内の数多くの落とし穴を埋めることでそこを通ったサンショウウオが落ちるのを待つ事が結果的には一番効率が良いそう。
その捕獲したキタサンショウウオは、体サイズなどを測り、現地に返します。 生きたまま現地に返すので、翌月や翌年にもう一度トラップで捕獲する事もあるそうです。
どうして一度捕まえた個体だとわかるのか?というと、もう一度捕まった時にわかるように目印をつけてから野外に返すようにしていているから。
「私が実施している方法は2種類。その1つは「指切り法」サンショウウオの指を切ります。残酷だと思われる方も多いと思いますが、両生類の調査方法としては
比較的一般的なもの。キタサンショウウオの場合、前肢後肢とも4本の指があり、それぞれに1~4の番号をふります。捕獲した個体は、それぞれ違う指を切るようにして、その組み合わせで個体の識別をするようにしているのです。 その切った指を使いDNA解析を行ったり、指の骨を調べることで年齢を推定したりしています。 」
ただ、この「指切り法」という方法には問題もあり。。。実は、サンショウウオは指のケガくらいは再生してしまうので、2.3年後にはどの指をきったのかさっぱり
わからなくなってしまうそうです。 そのため、「指切り法」による個体識別は短期的な調査でしか使えないという事。
そこで、長期的な調査の場合はマイクロチップを使います。大きさが約8mm、重さは0.1g以下ととても小さなもの。チップの一つ一つには違った番号が割り当てられて
いて、バーコードリーダーの様な道具を使い、その番号を読み取ることができます。 サンショウウオの調査の際は、このチップを注射器で腹部に挿入。
そうする事で、トラップ調査で一度捕まえた個体をもう一度捕まえた時に、バーコードリーダーで触れるだけで、いつどこで捕まえたサンショウウオかわかる様に。
一度入れてしまえば半永久的に機能するので長期的な調査ではとても有用な方法。 では、なぜ、一度捕まえたキタサンショウウオなのかを知る必要があるのでしょう?
例えば、産卵する水域で捕まえたサンショウウオが、そこから100m離れた所でもう一度捕まったとします。 すると、キタサンショウウオは、最低でも100m位は移動する生きものなのだという事がわかります。ですから彼らを守る為には、少なくても産卵する水域から半径100mの範囲は守らないといけないと言えるように・・・。
「その様な基準がないと、極端な話ですが産卵できる水域を守れば良いと思われ、いつのまにやらキタサンショウウオが姿を消すことにもなりかねません。
また、多くの個体にマイクロチップをいれることで、その年に捕獲したすべての個体のうちマイクロチップのある個体が何%いたのかというデータから、そこに生息する
キタサンショウウオの個体数を推定したりすることができます。」この様な方法で、キタサンショウウオを1個体ずつ識別できるように調査を実施する事で、
少しずつでもキタサンショウウオの生態がわかり、調査方法や調査の範囲も変わり、それが保全にもつながってきているそうです。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/5RD2CPuUQw98Ed8MyC246R

dazzling grain and gentle curves. [close to you <art編>]

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毎年釧路で作品展をなさっている道内作家の三人組。今年も開催ということでお邪魔してお話を伺いました。
まず、旭川在住の木工作家の菊地聖氏。今回はアクセサリーと箸と飾り箱が新たな顔として並んでいました。
木のぬくもりを感じ、木目を生かすことにこだわる菊地氏の作品は、静謐の中に感じる温かみが特徴と言えると思います。
きっちりとしたデザインの食器やカトラリー等に比べると、人の手で掘られたアクセサリーは少し感じが変わってみえます。
大好きとおっしゃる北海道産のクルミの木材。木のものは、手にとってこそ、その感触から通じる何かが必ずあると思います。
そして、長沼町在住のガラス作家の西山亮氏。今回はカーブの美しい小皿が新しい感じ。裏面が磨りガラスで、表面がツルツルのガラス。そこに色がついています。
ほか、様々な技法を教えていただきましたが、ただガラスの器を眺めるだけではわからない面白いお話しが伺えました。
ガラスも本当に奥が深い素材です。シンプルなものがお好きとおっしゃっていましたが、そのシンプルさの奥には様々な工夫が隠れているのです。
陶芸でする技法はガラスで試してみる・・・その気持ちが根本にあるとのこと。
ガラスも実際に手にとって、その肌に触れてみる。常に普段使いできるものなので、お気に入りを探してみるのも素敵ですね。
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(北の愉快な仲間達〜陶芸・ガラス・木工作品展は12/5まで釧路 ギャラリー&サロン迦倶楽で開催中です。)

2022.1123 O.A 釧路赤十字病院 内科 古川真氏 ~1~ [close to you <dr.編>]

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今回は「痩せた〜い!でも食べた〜い!」それをかなえてくれる奇跡の薬が出ているそうです。まず、体の中で「食べたい」というのはどう起こってくるのか?
満腹中枢は食べた後に胃が大きくなったり、食べた血糖値が上がり、その神経を刺激してお腹がいっぱいになったと知らせをするわけです。
それが麻痺してしまう、満腹中枢が十分に働かないということが起こりうるのです。そうすると、過食に走るというわけです。
「そもそも、ものを食べて消化する。糖分に限っていうと、膵臓から消化酵素が出ます。すると一番糖分の最小単位のブドウ糖のところまで行くと、食べ物がきたよと
腸が感じ、そしてその腸からホルモンが出るのです。それがインクレチン。インクレチンが膵臓にご飯がきたと知らせます。
すると膵臓は食べ物がきたからブドウ糖を処理するためのインスリンホルモンを出す。それがブドウ糖と一緒になり肝臓に行き、糖分を運び、
肝臓の中で全体の糖分の半分くらいはグリコーゲンという形で体の中に蓄えます。お腹すいた時用のストックにしておきます。残りの半分は体の色々なところに行き、
体の中のエネルギーとして体を動かすという形になっているのです。」お腹がいっぱいになって食べなくなるとインクレチンホルモンは分解されてしまうそう。
ご飯が食べ終わったと認識し、今度はインスリンホルモンが膵臓から出なくなり、グルカゴンというホルモンが出てくることに。
膵臓はご飯がきた時用のインスリンホルモンと、ご飯が食べ終わった用のグルカゴンホルモンと2種類で糖分をコントロールしているそう。
グルカゴンホルモンは肝臓でストックしていたグリコーゲンを切り崩して、グリコーゲンをグルカゴンホルモンによってまたブドウ糖に戻すそう。
だから食べている時も食べていない時も、だいたい同じ血糖値に保てるように体のコントロールをしていく役割をインクレチンホルモンとグルカゴンホルモンの
連係プレイでしているそうです。食べても満腹中枢が働かない人はインクレチンホルモンの働きが弱くなっているので、インクレチンホルモンを補充してあげるという事。
このインクレチンの薬、今までは注射だったのですが、それが飲み薬として登場したのが2年ほど前のこと。ただ飲み方をきちんとしないといけないそうです。
ですからそもそもは糖尿病の薬。肥満タイプの方、どうしても食べてしまう方に、画期的なものとのこと。食事の行動に変化が現れるみたいです。
ということは、痩せたいからこの薬飲みたい!とはならないのです。「そこが問題で、保険で診療している医療機関だときちんと糖尿病の診断をつけ、その薬が適している方に使っていく。この薬はあくまで膵臓の働きをサポートする薬なので、膵臓がきちんと機能している状態の人に使わないといけないので、その判断ができないといけないのです。そして、この薬は日本においては痩せ薬ではない。自由診療をやっている医療機関があるような都会ではそれを痩せ薬として使っているところがあるので、
それが問題。客観的に見て、痩せている方がさらにその様な薬を飲むと拒食症の状態になってしまうのです。効果でもあり、副作用は食べる事ができなくなってしまうと
いう事なのです。」と古川氏はおっしゃっていました。

潜水調査船しんかい6500(満澤 巨彦編) [varied experts]

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JAMSTECでは、最初の15年間は深海研究部という部署に所属し深海調査観測に係わっていた満澤氏。その関係で、潜水調査船「しんかい2000」には15回、
「しんかい6500」には9回、海外の潜水調査船には、アメリカウッズホール海洋研究所の「アルビン」、アメリカ海軍の「シークリフ」で潜航し、合計で26回潜航。
「しんかい6500」は、深さ6500mまで潜ることができる潜水調査船。全長9.7m、幅2.8m、高さが4.1m、中型バス、街中を走る路線バスぐらいの大きさです。
人が乗るのは、前方の直径が2mのチタン製の球体、耐圧殻で、その中に3人が乗り込みます。耐圧殻には、直径13cmの観察窓が3つ。
耐圧殻の中、船内は、閉鎖空間なので、乗船者の呼吸により消費される酸素を補充し、吐き出される二酸化炭素を吸着剤で除去することで、空気中の酸素の濃度は一定に
保たれるようになっています。このしくみは、宇宙船や宇宙ステーションと同じ。この為、船内では特殊な呼吸器具をつける必要はなく陸上とまったく同じなのだそう。
ただ、深海は水温が0℃近くで船内が冷えるので、南の暖かい海で潜る時にも防寒着は必需品。火気厳禁なので、暖房はないのです。
調査に際し研究者にとって重要な装備は、マニピュレータ。マニピュレータは海底でサンプルを採ったり、計測機器を使って作業するための2本の腕。
船内から観察窓や船外カメラを見ながらパイロットがリモートで操作できるようになっているのです。
「しんかい6500」の1回の潜航時間は8時間位。この間、直径2mの耐圧殻の中に入っていることになります。壁には操縦するための最新の機器がびっしり取り付けられているので、それを見ているだけでも異世界にいるような感じになり、狭さを忘れてしまうと・・・。
満澤氏が初めて潜ったのは「しんかい2000」。最初は、確かに緊張し不安でしたが、実際に船内に入って観察窓から外をみていると、普段と違うものが見えるので、
夢中になって不安な気持ちはどこかに行ってしまったとおっしゃっていました。
母船上で、「しんかい6500」に乗り込み、船尾にあるAフレームクレーンと呼ばれれるクレーンで吊上げられ、海面に降ろされるのですが、着水した時に最初にみえるのは母船の2基の大きなスクリュー。ゆっくりと水中で回っていて、この時が一番揺れるそうです。
その後、母船から切り離され、バラストタンクの空気を抜いて海水を入れると、自重で潜航がはじまります。水深30m位まで潜ると海面での揺れはなくなるそう。
船酔いしていても潜航が始まると船酔いは無くなると・・・。
外は明るい青色からだんだん濃い藍色になり、海域にもよりますが100mを超える位から暗くなり、200mでほぼまっくらに。
海底に着くと、人が歩く位かそれより少し早い速度で海底を観察しながら移動したり、海底に着底して生物や泥、岩石などのサンプルを採取。
潜水船の前にあるステージなどに、マニピュレータで操作ができるように、事前にセッティングした様々な装置を取り出し作業を行います。泥をとったり、
生物採集用のトラップや計測装置などを設置したり、蛍光染料を流して海底の流れを調べたこともあるそうです。
「特に印象に残っているのは、海底熱水噴出域での潜航。勢いよく熱水の噴出が観察できる沖縄トラフや東太平洋海膨、北フィジー海盆の熱水噴出域で潜航しました。
海底から200℃を超える熱水が噴出しその周辺には小型のエビやカニ、チューブワームなど熱水に含まれる化学成分をエネルギー源とする沢山の生き物が生息しています。その様子を、観察窓の先、数10cmから数mの距離で見ることができます。
また、北フィジー海盆では、熱水噴出域の周辺に、海底が一面シートフローと呼ばれる流れた溶岩で覆われている場所があり、表面は黒いのですが溶岩が海水で冷やされ
表面がガラス質になっているので、照明にきらきらと反射する様子は、海底で星が瞬いているようでした。」
調査観測が終了すると、鉄の板でできたバラストを投棄し、潜水船自体の浮力によって浮上。浮上も潜航時とほぼ同じ時間がかかります。
海面での揺れを再び感じ、ダイバーによりつり上げるためのロープが接続され、Aフレームクレーンで母船に揚収という流れです。
「しんかい6500」は建造されてからすでに32年が経ちこの10月末に潜航回数1660回を超えたそうです。
後継機を要望する声もあるのですが、本当に人が深海に行く必要があるか、有人の必要があるかという議論があり、なかなか方向が定まらない状況だそうです。
もちろん、深海に行く感覚、そこにはフロンティア精神をたきつけるものがあるので、彼は有人を押しているそうですが、実際に今係わっている地震津波観測監視システムのメンテナンスはすべて無人探査機で行っていることもあり、必要性については明快な説明ができないというのが正直なところとおっしゃっていました。
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真2枚はしんかい6500潜航記念証 表と裏
耐圧殻の中:https://www.jamstec.go.jp/j/pr/topics/jamstec-eye-202203/
深海VR「しんかい6500」調査編:https://www.jamstec.go.jp/shinkai6500/