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耳で楽しむstory〜羽衣(中西 紗織編) [varied experts]

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能一番から、つまり能の一つの演目から何場面か取り上げ、謡本の言葉、いわば台詞、能では詞章といいますが、中西氏が詞章を読み上げたり、謡ったりし、私が現代語で語るという新企画。第1回は再び《羽衣》以前にもこの番組で《羽衣》を取り上げました。上演機会も多く、音楽の教科書にも載っている人気の高い演目です。
《羽衣》
 登場人物:シテ〜天女 ワキ〜漁師はく白龍 ワキツレ〜白龍の仲間の漁師
 場所:駿河の国 三保の松原(現在の静岡県静岡市清水区三保)*「富士山世界文化遺産構成資産」(ユネスコ世界遺産2013年登録)の一つ
 季節:三月 曲柄:三番目
 作り物:松の木 松の枝に美しい衣(ちょうけん長絹という装束)がかけてある。
●最初の場面。風早の三保の浦曲を漕ぐ舟の浦人騒ぐ波路かな これは三保の松原に白龍と申す漁夫にて候。萬里の好山に雲たちまちに起り 一楼の明月に雨初めて晴れり げにのどか長閑なる時しもや春の景色松原の 波立ち続く 朝霞 月も残りの天の原 及びなき身の眺めにも 心そらなる景色かな
●なう その衣は此方のにて候 何しに召され候ぞ これは拾ひたる衣にて候程に取りて帰り候よ それは天人の羽衣とてたやすく人間に与ふべき物にあらず もとの如くに置き給へ
●いや疑いは人間にあり。天に偽りなきものを あら恥かしやさらばとて羽衣を返し与ふれば 少女は衣を着しつつ 霓裳羽衣の曲をなし 天の羽衣風に和し 雨に潤ふ花の袖 一曲を奏で 舞ふとかや 
[地謡]東遊の駿河舞 東遊の駿河舞この時や始めなるらん
●白衣黒衣の天人の数を三五に分つて 一月の夜々の天少女 奉仕を定め役をなす 我も数ある天少女 月の桂の身を分けて仮に東の駿河舞 世に伝へたる曲とかや
●キリの場面。東遊の数々に東遊の数々にその名も月の色人は三五夜中の空に又 満願真如の影となり  御願円満国土成就 七宝充満の宝を降らし 国土にこれを施し給ふ さる程に時移って天の羽衣 浦風にたなびきたなびく三保の松原浮島が雲の 愛鷹山や富士の高嶺 かすかになりて天つ御空の霞に紛れて失せにけり

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