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北極域研究船の名前が決まりました。(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1:米沿岸警備隊砕氷船「ポーラースター」横須賀寄港.jpg写真2:南極観測船「宗谷」東京のお台場エリアで見学IMG_8670.jpg写真3:南極観測船「ふじ」名古屋港ガーデンふ頭で見学.jpg
写真4:南極観測船「しらせ」横浜港一般公開201892_P9020517.jpg再来年、2026年の春に就航を目指して横浜の造船所で建造が進んでいる北極域研究船の名前が2月に決まりました。
現在、北極域から赤道までの海洋や大気などの観測を行っている海洋地球観測船<みらい>の調査活動を引き継ぐことから新船の名称は<みらいⅡ>に決定。一般公募した中から有識者の意見を踏まえて決めたそうです。
公募では<しろくま>という名前が多かったとのことですが、<しろくま>は<みらいⅡ>に搭載される作業艇の名前になったそうです。
就航はまだ先なので船体などは形にはなっていないそうですが、船の動力となる発電機、ディーゼルエンジンや船の外板に使う鋼材などの製造が進んでいると。発電機としては、通常のディーゼルエンジン3基と環境負荷の少ないのデュアルフューエルディーゼルエンジン1基を搭載する予定。デュアルフューエルディーゼルエンジンは、2種類の燃料、この場合は液化天然ガスと通常使われている重油を使いわけることでCO2の排出量を少なくし環境負荷を小さくすることができるので、環境への配慮を考えながら、通常のディーゼルエンジンと使い分けて航行するとのこと。
また、砕氷船で重要なのは海氷と接触する船の外板。そこに使われる鋼材はステンレスクラッド鋼と呼ばれる鋼材で、その製造も進んでいるそう。表面がつるつるのステンレスクラッド鋼は表面の経年劣化が少なく摩擦が大きくなることは無いので、氷海域での航行性能が維持できるそう。
「日本の現役の砕氷船として何があるのか調べてみました。海上保安庁に<てしお>と<そうや>があり、特に<そうや>は釧路海上保安部に配備されているということを知りました。昨年もくしろ港まつりで一般公開が行われていますので、見学された方もいるのではないでしょうか。観測船ではないので船の構成や装備などはJAMSTECの船とは違いますが、改修もされ、美しい形の船ですので是非停泊中の際は気に留めてみてください。船首側にPLH01という型式番号がついています。」
初代南極観測船<宗谷>は東京のお台場に係留されていて、2代目の<ふじ>は名古屋港ガーデンふ頭、名古屋港水族館のすぐ近くに係留されていて、どちらも船内見学ができるそうです。
南極観測<宗谷>は、1936年、太平洋戦争前にソビエト連邦向けの砕氷貨物船として建造され、国際情勢の変化で引き渡しができなくなり、国内の民間の貨物船として就航。戦時中は海軍の特務艦として物資輸送や海底測量などに使われたそう。戦後は外地からの邦人の引揚げ船として活躍し、その後、海上保安庁の灯台の補給船として使われ、1956年に南極観測船となり6回の南極航海で昭和基地の建設を行うなどの成果をあげ、1965年に2代目の<ふじ>に南極観測を引き継いだそうですが、それ以前の1962年から第一管区海上保安部の巡視船として活躍し、1978年に今の<そうや>に引き継ぐ形で引退したそうです。「初代<宗谷>は建造から約40年、人に例えると波乱の人生を送ったと思います。その後継船が<
そうや>で北の海で活躍していることや、初代<宗谷>が今でも見学できるということはすばらしいことではないかと思います。」
ちなみに、初代の<しらせ>は1983年夏、まだ学生だった満澤氏、就航後の訓練とお披露目の航海で寄港した小樽の一般公開で見学して大感激なさったとおっしゃっていました。その体験が海の関係に進もうと思った一つのきっかけになったのではないかとも・・・。
さて、JAMSTECの横須賀本部では5月18日に施設一般公開を行うそうです。事前申込制の抽選で〆切は4月21日。一般公開当日はオンラインでのライブ配信も予定されているので、興味にある方は是非ホームページをチェックしてくださいとのことでした。
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左):米沿岸警備隊砕氷船「ポーラースター」横須賀寄港2024/3/15撮影
・写真上(中):初代南極観測船「宗谷」東京のお台場エリアで見学2013/11/10撮影
・写真下(右):2代目南極観測船「ふじ」名古屋港ガーデンふ頭で見学2023/2/26撮影
・写真下   :現南極観測船「しらせ」横浜港一般公開2018/9/2撮影
参考:北極域研究船名称:https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20240222/
参考:北極域研究船建造状況写真:https://www.jamstec.go.jp/parv/j/gallery/
参考:JAMSTEC一般公開ご案内:https://www.jamstec.go.jp/j/pr-event/public-open-yokosuka2024/

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