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やっとフィールド調査がスタート! [nature treasure]

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春になると、冬の寒さをじっとこらえていたキタサンショウウオたちが動きはじめ、繁殖のために水の中に移動し産卵をします。「それを春先は今か今かと待っているわけですが、毎年毎年気になっているのは、産卵がいつ始まるのか。ここ数年は、釧路湿原周辺域で最も産卵が早い場所で3月末頃にスタートしているのでその頃になるとそわそわしてくるわけです。」昨年は産卵開始が早く、3月20日頃に初めの産卵を確認。キタサンショウウオの調査を始めて20年で最も早いスタートだったそう。
以前はどうだったのか?照井氏は過去に調査をされていた方の話や昔の文献から調査開始。「私が調査を始める以前から調査をされている方の話をきいていると4月中旬頃に始まるイメージだという答えを何人かから聞くことができました。それがだいたい1990~2000年くらいまでのこと。」
それ以前も気になったので、文献を探したところ、最も古い記録は、今から約60年前の1965年。場所は釧路市の北斗のあたりの記録で、今はもう牧草地になってしまっているエリアのものだったそうです。この年の産卵開始日は4月26日。そこから10年分の記録があったそうですが、年によって変動はあるものの4月23日~29日の1週間の間に開始している感じだったとおっしゃっていました。「一概に言えませんが、1960年代から60年間かけて産卵時期がだんだん早くなってきているのは間違いなさそうです。約1か月早くなっていることに本当に驚きました。」
その産卵時期が早まっている要因はやはり地球温暖化の影響である可能性が高いのでは?と。産卵前の月にあたる3月の平均気温について気象台の過去のデータを調べた結果、2024年までの記録では、間違いなく右肩上がりに気温が上昇していることがわかったそうです。このデータのうち、4月下旬頃に産卵を開始していた1960年~1970年代は、20年間の3月の平均気温は-1.8℃。1980年~1990年代は、-1.4℃と約0.4℃上昇。そして、2000年から2019年までは、-0.3℃。1960~1970年代と比べると約1.5℃、1980~1990年代と比べると約1.0℃、3月の平均気温が上昇しているという結果に・・・。
「この1.5℃の上昇が産卵時期をじわじわと1か月ほど早めているのであれば、今後はさらに早まっていくのかもしれません。産卵時期が早まることで、キタサンショウウオにとってどのような影響が生じるのか、今のところわかりませんが、決してよいことばかりではないと思います。」
温暖化の影響については、やはり3月頃の気温と産卵開始時期には関係がありそうな気がしますよね・・。他にも積雪の影響や、何か単一の要因の影響ではなく、気温と積雪量とかの複合的な要因なのかもしれません。今後研究の課題にしていきたいと考えているそうです。
「今年はというと3月の平均気温が-0.8℃と昨年よりも3.2℃も低い結果でした。ということは、昨年の3月20日よりは産卵開始が遅くなるのでは?と推定するのですが、気になって3月22日に現地のチェックに行ってきました。卵嚢はまったく確認できませんでした。それどころか、産卵水域にはまだ雪が残っている状態でした。その後も、2、3日おきにはチェックに行ったのですが、4月1日までに産卵は確認できませんでした。」と残念そうな照井氏。
放送の頃には元気な彼らに会えていると良いですね・・・
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4HAOzyxJ0HK35GfZSLZCR4

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