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ストーリーからおう〜11月の船弁慶(中西 紗織編) [varied experts]

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今回は《船弁慶》。義経と弁慶といえば、いわばスーパーヒーローとして様々な物語が古典芸能の題材となっています。能《船弁慶》は、兄源頼朝から義経が謀反の疑いをかけられ兄弟不仲となり、義経、弁慶の一行が都から津の国尼ケ崎へ向かうところから物語が始まります。
能《船弁慶》・・・観世信光(1435~1516)
登場人物・・・・・前ジテ:静御前 後ジテ:平知盛の怨霊
         子方:源義経 ワキ:武蔵坊弁慶 ワキツレ:義経の従者(三人) アイ:船頭
場所・・・・・前場:摂津国 大物浦 兵庫県尼崎市大物町
後場:瀬戸内海上 大物浦の沖
季節・・・・・11月(観世流謡曲等級季節表より)(曲柄 五番目)    
●子方(義経)がワキ(弁慶)・ワキツレ(従者)を伴い登場:弁慶が名乗り、平家を滅ぼした「我が君判官殿」と兄頼朝との不和について、そして都からまずは大物の浦へ行こうと語ります。大物の浦に到着すると、弁慶は知り合いの船頭(アイ)に船の手配と宿を頼みます。実は義経の恋人の静も一行についてきたのでした。ところが、この先の困難を考えると静御前には都に帰ってもらったほうがよいかもしれないということになり、義経は「弁慶計らひそうらへ」と弁慶に静への伝言を任せます。
●前ジテ(静御前)登場:静が滞在している所へおもむいた弁慶は、都へ帰るようにと告げます。静は弁慶の独断だろうと思い、義経に直接会って自分からお返事申し上げますと義経のもとに来てしまいます。ところが、義経からの「まづこの度は都に上り時節を待ち候へ」という言葉で、本当に「我が君の御諚」だったとわかるのです。
●前ジテ(静御前)の別れの舞 クセ〈中ノ舞〉:静御前は白拍子という芸能者、またはその芸能そのものも白拍子と言います。女性が男装して、烏帽子・直垂などを身に
つけて歌いながら舞う人。静はここで別れの舞を舞います。ここは前場の一番の見どころ。もう二度と会えないかもしれないという思いで、静は白拍子の扮装で烏帽子を
身に付け舞を舞います。ここからが「クセ」という、能の謡どころ、舞いどころという場面となります。静が舞い、続いて、〈中ノ舞〉という囃子と舞だけによる場面に。
前場最後のところでは「静は泣く泣く烏帽子直垂脱ぎ捨てて 涙にむせぶ御別れ 見る目も哀れなりけり」という謡で、静御前が退場。
「この能を観るといつも思うのですが、静が退場するとき、無音なのですね。演出によっても違いがあるかもしれませんが。現代劇やドラマなどでは、きっと悲しげなBGMが流れるのでしょうが、能では「無音」の場面があります。この場面、静御前が音もなく本当に静かに立ち去っていく後ろ姿から、悲しさが際立つ気がします。」
●中入り アイ(船頭)が船を用意 一行の船出:狂言方の船頭が揚幕に一旦引っ込み、あっという間に船を舞台に運び込んできます。竹の骨格に白い布を巻き付けたもの。観客は、いわば脳内変換で目の前に立派な御座船を想像して場面を頭の中に描いていくことになります。
●後ジテ平知盛登場 五大明王登場:壇之浦の合戦で海に沈んだ総大将平知盛の怨霊が長刀を持ち、義経たちに襲いかかります。その様子は〈舞働〉という囃子と舞によって表現されます。ところが、この危機を義経の一声が救うのです。「そのときよしつね少しも騒がず」。子方は、変声期前の少年が演じることが多いので、その高い声は、
演出的にもこの場面に新たな空気を吹き込みます。形勢逆転。そして義経は刀を抜き応戦しますが、相手は幽霊なので手応えがありません。弁慶が義経を止め、
弁慶はお坊さんでもあるので、法力で悪霊を退散させようと五大明王を召喚、呼び出すのでした。
この能の最後の方で物凄い迫力で五大明王が登場する様子が謡われています。「東方降三世 南方軍荼利夜叉 西方大威徳 北方金剛夜叉明王 中央大聖不動明王の索に
かけて 祈り祈られ悪霊次第に遠ざかれば」と五大明王が義経と弁慶の一行を守り、悪霊を遠ざけます。
●悪霊退散:ついに最後は悪霊たちは退散。最後の詞章は「また引く汐にゆられ流れ また引く汐にゆられ流れて 跡白波とぞなりにける」
「私がとても気になることは、後ジテの平知盛は橋掛リを通って揚幕を越えて鏡の間に退場するのですが、最後の謡「跡白波とぞなりにける」白波となって波間に姿が
消えたけれども、気配がまだ残っている気がするのです。鏡の間という舞台空間の効果といえるかもしれません。姿は見えなくなったけれど、また出てくるかもしれないという気配。これもまた能の魅力と言えるかもしれません。物語は終わらない。見えない世界はずっとそこにあると。」と中西氏はおっしゃっていました。

2022.1111 O.A 「もうすっかり冬景色」 [varied stories]

上村知弘さん(フォトグラファー&ガイド)
http://www.tntnaturecon.com/

彼から届いた写真を見てびっくり!もう完全に冬〜〜〜〜〜〜〜〜。
「雪は今のところ10cmくらい。気温は氷点下9度前後です。まだ一桁。でも今週末は寒波がやってきて、氷点下30度とか・・・。」もう口あんぐり状態です。
実は例年に比べると雪は遅かったそうです。ガイドの仕事をやっている頃はこのシーズンに日本に帰っていたので、今がなんとなく新鮮とおっしゃっていました。
ユーコンの秋は通常9月中旬から10月中旬くらいまでの1ヶ月。今年は10月後半まで秋だったので、彼のお友達のお話しからすると、少しだけ長かったそうです。
前回はブルーベリー摘みのお話しをなさっていたので、あまりにも違う景色に驚いてしまいました。
雪が降ってしまうとなぜかある意味諦めてしまう感じ、北海道の方だったらおわかりいただけるかしら?
冬ごもりに欠かせない薪割りが気になっていたのですが、やっと間に合った感じで、4ヶ月分くらいは大丈夫かな?と。
ハンティングは今年はうまくいかなかったみたいです。冬場の食料として欠かせないので、こちらも気になっていたのですが・・・。
ハンティングは3回ほど。2回はムースハンティング、1回はバイソンハンティングに行かれたそうです。バイソンハンティングの時はお友達と出かけたそう。
もう諦めかけた頃、近くで銃声が・・・。どうやら良いところまで追い込めていたみたいですが、他の人たちが仕留めたみたいです。
でも、冷凍の肉がまだあるので、大丈夫かな?と少し寂しげな声が印象的でした。
上村氏、12月には日本に帰国なさるそうで、次回は日本のどこかからのお話しが聞くことができそうです。
※写真は上村知弘氏からお借りしました。
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