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サンショウウオの調査方法とは(照井 滋晴編) [nature treasure]

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サンショウウオの調査をする際は、まず捕獲すること。 一番簡単なのは、繁殖期に水域内に集まった個体を網などですくって捕獲する方法。
また、非繁殖期にはトラップを使って捕獲を試みます。 トラップといっても難しいものではなく、塩化ビニルのパイプを使って作ったただの落とし穴。
湿原内の数多くの落とし穴を埋めることでそこを通ったサンショウウオが落ちるのを待つ事が結果的には一番効率が良いそう。
その捕獲したキタサンショウウオは、体サイズなどを測り、現地に返します。 生きたまま現地に返すので、翌月や翌年にもう一度トラップで捕獲する事もあるそうです。
どうして一度捕まえた個体だとわかるのか?というと、もう一度捕まった時にわかるように目印をつけてから野外に返すようにしていているから。
「私が実施している方法は2種類。その1つは「指切り法」サンショウウオの指を切ります。残酷だと思われる方も多いと思いますが、両生類の調査方法としては
比較的一般的なもの。キタサンショウウオの場合、前肢後肢とも4本の指があり、それぞれに1~4の番号をふります。捕獲した個体は、それぞれ違う指を切るようにして、その組み合わせで個体の識別をするようにしているのです。 その切った指を使いDNA解析を行ったり、指の骨を調べることで年齢を推定したりしています。 」
ただ、この「指切り法」という方法には問題もあり。。。実は、サンショウウオは指のケガくらいは再生してしまうので、2.3年後にはどの指をきったのかさっぱり
わからなくなってしまうそうです。 そのため、「指切り法」による個体識別は短期的な調査でしか使えないという事。
そこで、長期的な調査の場合はマイクロチップを使います。大きさが約8mm、重さは0.1g以下ととても小さなもの。チップの一つ一つには違った番号が割り当てられて
いて、バーコードリーダーの様な道具を使い、その番号を読み取ることができます。 サンショウウオの調査の際は、このチップを注射器で腹部に挿入。
そうする事で、トラップ調査で一度捕まえた個体をもう一度捕まえた時に、バーコードリーダーで触れるだけで、いつどこで捕まえたサンショウウオかわかる様に。
一度入れてしまえば半永久的に機能するので長期的な調査ではとても有用な方法。 では、なぜ、一度捕まえたキタサンショウウオなのかを知る必要があるのでしょう?
例えば、産卵する水域で捕まえたサンショウウオが、そこから100m離れた所でもう一度捕まったとします。 すると、キタサンショウウオは、最低でも100m位は移動する生きものなのだという事がわかります。ですから彼らを守る為には、少なくても産卵する水域から半径100mの範囲は守らないといけないと言えるように・・・。
「その様な基準がないと、極端な話ですが産卵できる水域を守れば良いと思われ、いつのまにやらキタサンショウウオが姿を消すことにもなりかねません。
また、多くの個体にマイクロチップをいれることで、その年に捕獲したすべての個体のうちマイクロチップのある個体が何%いたのかというデータから、そこに生息する
キタサンショウウオの個体数を推定したりすることができます。」この様な方法で、キタサンショウウオを1個体ずつ識別できるように調査を実施する事で、
少しずつでもキタサンショウウオの生態がわかり、調査方法や調査の範囲も変わり、それが保全にもつながってきているそうです。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/5RD2CPuUQw98Ed8MyC246R

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