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キタサンショウウオの絶滅を避けるには(照井 滋晴編) [nature treasure]

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環境省のレッドリストの中で、キタサンショウウオは2019年までは「準絶滅危惧」という比較的絶滅の危険性が少ないと考えられるランクでした。2020年、絶滅危惧ⅠB類という2ランクも上のランクに選定され「近い将来野生での絶滅の危険性が高い」と判断され、本気で保全活動をしないと危ないという状況が現在です。
生息地は、釧路湿原国立公園の特別保護地区指定や天然記念物指定によって保護されているのでは?とよく言われるそう。でも、キタサンショウウオの生息・繁殖地の2/3以上が保護区外。そして、天然記念物指定がなされていても、文化財の現状変更申請が出されれば、生息地の分断化や消失が発生する開発行為であったとしても、不許可とすることはできないのが現状、法的拘束力はないに等しいと。さらに、キタサンショウウオの特徴として、非常に隠棲的なのでその場に生息しているかどうか確認が困難。生息が確認できない場所の場合、生息していないものとみなされ開発が進められてしまうのが現状。その為生息地がいきなり更地になっているという状況が起こるという訳です。 ただ、キタサンショウウオの保全対策が全くとられていない訳ではないそうです。 一般的に開発事業が実施される場合は、両生類に対する環境保全措置として、事業影響の回避・低減・代償のいずれかを目的とした対策が行われているそう。釧路湿原域でも、釧路市や北海道開発局による開発事業に伴うキタサンショウウオの保全措置として移転事業を実施。1980年代中頃〜1990年代初めに行われた国営農地開発事業の時は、開発事業地に生息するキタサンショウウオの卵嚢や成体を採集・捕獲し、離れた土地に人工的に繁殖水域を掘って移転させました。その後の道路事業でも同じ様な事が行われ、合計2000対を超える卵嚢と250個体以上の成体が移転されました。その移転先、現在は、わずかにキタサンショウウオが定着している可能性があるものの、ほぼ絶滅寸前の状況になっていると。おそらく移転先はキタサンショウウオにとって本当に住みやすい環境ではなかったのだと思われます。キタサンショウウオについての色々な知見が集まってきた現在でも、移転によって保全する為には膨大な時間と労力が必要になるのでとても現実的ではないとおっしゃっていました。 その様な意味では、そもそも開発しないのが一番の保全対策なのは間違いありません。それも難しいお話しですが・・・。「特に現在の状況ではゲリラ的に太陽光発電施設の建設が始まるので気づいた頃には時すでに遅しといった状況なのです。
まずはどこにいるのかをできる限り詳細に把握する為の調査に力をいれなければと思っています。そして、新たな生息地が見つかり、もしそこが私有地であれば、土地の所有者さんに理解を求め開発をせず守ってもらえれば御の字です。その管理が難しいという場合は、環境保護活動をされている団体と協力し、土地の受入れや買取等も進めていきたいと考えています。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。

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