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牛乳を飲もう!(西山 由佳子編) [varied experts]

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新年度とはいえ小中学校はまだ春休み中。春休みに学校給食が休止される事で、牛乳や乳製品の原料である生乳が余って大量に廃棄されるのではと再び懸念されています。
やはり給食が休止になった昨年の暮れから年明けにかけても、全国で過去最大級の5000トンの生乳が廃棄されるのではという危機がありました。
その時には、酪農家の方々が生乳生産を抑えり、乳業メーカーが工場を稼働させ続けて生乳を加工したり、農業団体や企業がさまざまな消費促進に取り組み、
道内の牛乳の売れ行きが前年より5%伸びたりした結果、廃棄は免れました。
釧路市内などに工場を持つよつ葉乳業は工場を24時間稼働させ、保存期間が長い脱脂粉乳の生産量を通常より2割増やしたそうです。
道内の各農協は春に向けて農家に生産を抑えるよう呼び掛けています。そのために乳量が落ちるなどした牛を「廃用牛」として出荷する動きが拡大しています。
廃用牛は一般的には、搾乳を終えて精肉などに向けられる牛を指しますが、今はまだ搾乳できる牛をやむなく廃用牛として出荷している農家さんもいます。
ところが、生産調整の影響で競りにかかる頭数が増えたため、廃用牛の競りの価格が下がっています。
生産調整で生乳の収入が減るだけでなく、牛自体の値段まで下がる「二重苦」で、酪農家の経営に大きな打撃に・・・。
生乳は生産増加が続いてきました。これは国が貿易自由化を見据えて、酪農経営の大規模化を促し、生乳の生産拡大を主導してきたからです。
「環太平洋連携協定(TPP)などで、乳製品の輸入が増えるのは国産が足りないからだ」との見立てで生産拡大を進めました。
その結果、全国で生産量が伸び、供給過剰となっています。国産が足りないからではなく、安価な輸入品が買い求められているんだという状況を
甘く見てきた国の失政だと指摘する専門家は少なくないそうです。
2006年にも消費低迷から生乳の生産調整が行われたことがあります。その後には経営が行き詰まって離農する農家が全国的に相次いで、生乳不足を招きました。
今回、酪農家の離農や生産基盤の弱体化につながることがあれば、乳製品の安定供給が揺らぐだけでなく、地域の経済や社会にも大打撃です。
生産基盤を守るために国の最大限の支援は待ったなしです。さらに、消費拡大へ官民一体で取り組むのももちろんですが、私たち1人1人もできることがあるはずです。
まずは、牛乳を飲みましょう。体質的な問題がない人は、ですけどね。
最近は「乳和食」が注目されています。味噌や醤油といった伝統的な調味料に牛乳を組み合わせ、食材本来の風味や特徴を損なわずに食塩やだしを減らし、
おいしく和食を食べてもらう料理法のことです。健康的な食事と思われている和食も、実は塩分量が多かったり、カルシウムが不足がちだったりするそうです。
実は、コクやうまみを有してカルシウムも豊富な牛乳がその弱点を補うという事。
例えば、みそ汁にだし代わりに牛乳を入れれば塩分は半分で済んでコクも出るとか、納豆に少し垂らしてよくかき混ぜるとたれも半量で十分とか。
別海町の上西春別中学校では3年前から、生徒が授業で和食作りに取り組んでいるそうです。

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