SSブログ

Allegedly, the Nusamai Bridge [close to you <art編>]

3回にわたってお送りしてきたいつもと違った切り口での収蔵品紹介。
題して「疑惑の○○」シリーズ。第3回目は疑惑の幣舞橋シリーズです。
Allegedly, the Nusamai Bridge
非常に幣舞橋を描いた作品が多く、幣舞橋の描き方にフォーカス!!
テーマはどこから描いたかのか問題です。
6夕陽のぬさまい橋.jpegまず、小川原脩の「幣舞橋風景」。
1957年の作品です。今の時代なら考えられることなのですが、1957年にはこんな感じで描くことができたのでしょうか?
高いところから幣舞橋と出世坂を見て描かれています。現在のラビスタ釧路川 の2~3階から描いた感じの構図。
当時、北海道新聞の社屋があったのですが、そこから描いたとしたら角度が違う感じがするのです。
実際に見ずに想像で描けるのが絵ですが、もしかすると色々な要素を抜き出してこの構図にしようとしたのかもしれません。
様々な建物が描かれているのですが、普通に真正面から見た建物と右から見た建物が同じ列で描かれたりしています。
もしかするとそれはわざとなのかも・・・?いろいろな視点から見たものを組み合わせて描いたのかも・・・?
そう思って眺めると余計にわからなくなってくる。そんな作品です。
街灯も描かれているのですが、とても変わった形をしています。
ただ、その時代の看板や公民館等はそのままに描かれています。
その意図がわからず、様々な見方ができるという事を武束氏はご自身の中にためているそうです。
7幣舞橋風景.JPG
続いて、赤穴宏の「幣舞橋」。
小川原脩氏の作品が1957年、こちらは1959年。街灯の様子が全然違うのが疑問。
形が全く違うのです。2年間でこんなに変わったのでしょうか?
構図は久寿里橋みた幣舞橋かな?と思ったそうですが、そこに異議ありと言ったのが私です。
幣舞橋の端のたもとから橋を見上げた感じかな?と思ったのですが・・・。
漁船、木材、船の衝撃吸収用タイヤみたいなものが描かれている感じです。
やはり一番の謎は街灯の形が違うこと。なぜなのでしょう?
さらに、これは幣舞橋なのか?というそもそも論まで出てしまいました。
でもタイトルが幣舞橋なので、やはりそうなのでしょう。
8幣舞橋.jpeg

今回のラストは、大本靖の木版画「夕陽のぬさまい橋」。
おそらく久寿里橋から描いた幣舞橋。川の上には蓮の葉氷がたくさん浮いています。
ですから季節は冬。でも夕日が幣舞橋の真ん中に落ちています。実際冬にはこの位置には落ちないはずですが・・・。
そして、道東の四季の像がたつ前の年に制作されたものだったそう。なぜか完成前の四季の像が・・・。
実は、完成前にこんな銅像が完成しますよということでミニモデルを公開しているそうです。
ですからそれをご覧になっていたのでしょう。その後に寄付を募ったそうで、これは寄付のために制作されたのかもしれません。
むしろ銅像をたてるために作られた作品で、逆に外せない要素だったのかも?と武束氏。

今回は釧路美術館の収蔵品の中からのご紹介でしたが、ほかの作品をご覧になる時に作者になった気持ちで作品を見たり、
斜めから目線で眺めて見たり、違った角度から作品をみると面白い発見があるかもしれません。
※尚、写真は釧路市立美術館 武束祥子氏からお借りしました。

Facebook コメント