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カワシンジュガイのこと(照井 滋晴編) [nature treasure]

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1.jpg実はサンショウウオはペットとして結構人気が高く、売れるそう。カワシンジュガイはどうなのかというと
サンショウウオよりもはるかに多くの個体が販売されていたと。
この10年間で約90,000個体のカワシンジュガイ類が野外から乱獲され、販売されているそうです。
そして、そのほとんどは北海道のカワシンジュガイ類。
カワシンジュガイ類は北海道にカワシンジュガイとコガタカワシンジュガイという2種が生息しています。
どちらも冷涼な環境を好み、水中で有機物をこしとって食べるそうです。
さらに、とても変わった生活史をしているそう。 カワシンジュガイ類にはオスとメスがいて、メスが卵を産みます。
孵化した卵からは幼生が産まれます。産まれた幼生は親と変わらぬ二枚貝というわけではありません。
親と変わらぬ形の二枚貝に成長する前に、グロキディウム幼生と呼ばれる期間があるそう。
幼生は、メスの貝の中から川の水に放出されますが、近くにサケ科の魚類がいると、そのエラに寄生を始めます。
国内のカワシンジュガイ類2種では、普通のカワシンジュガイは主にヤマメに、コガタカワシンジュガイは主にイワナに寄生することができるそうです。
逆はダメ。サケ科のエラに寄生しないと生きていけないのにえり好みをして、気に入ったサケ科の魚にしか寄生しないのです。
とても人工的には用意してあげられないので、人工的に繁殖させるのは不可能に近いのです。
寄生した幼生は、宿主である魚から栄養を摂り50~60日の間寄生して過ごし変態。変態を遂げて稚貝になると宿主のエラから離れて川底で生活を始めます。
その後、数年~数十年かけて大人の貝に成長していきます。 ただ、成長が遅い分、とても長生きです。
北海道東部の川では150歳を超える年齢のカワシンジュガイが見つかっているとか。
さて、カワシンジュガイ、何を目的として売買が成立するのかという事ですが、これには、また他の生物が関わってきます。
タナゴという魚。 北海道には分布していませんが、種類も多くコレクション性があり、見た目も美しいものもいるので、とても人気の魚なのです。
実はこのタナゴは、二枚貝に産卵するという生態を持っているのです。
要するに、ペットとして飼育しているタナゴの繁殖のため、産卵させる為にカワシンジュガイを買う人が山ほどいるということのようです。
ある研究で、他の二枚貝よりカワシンジュガイの方がタナゴのたまごの孵化率がよかったと報告されていることが発端になったそう。
ですから北海道のカワシンジュガイが大量に乱獲されていたのです。タナゴの産卵母貝になったカワシンジュガイは長生きできずにほぼ確実に死んでしまいます。
「要するに使い捨てにされる為に、販売されているのです。 何十年もひっそりと川の中で生きて、命を繋いできたにも関わらず・・・
使い捨てにされるために乱獲されていたわけなので、今年に入って特定第二種というものに指定されて販売が禁止されたのは本当によかったと思っています。 」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1VQ5S9OEbKEKHiV8I46kqD

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