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北の海の春(黒田 寛編) [fun science]

IMG_4395.jpg 資料FM946_20220405_ページ_1.jpg 資料FM946_20220405_ページ_2.jpg
釧路で桜が咲くのはまだ少し先ですが、「桜が満開」になることを英語ではcherry blossom bloom と言います。
このbloom という英単語ですが、「花盛り」という意味。実は海にもspring bloomと呼ばれる春のブルームがあるそうです。
春の海では桜は咲きませんが、陸の草木が勢いよく芽生える様に、植物プランクトンが大増殖します。
日本周辺の太平洋では、日本の南には温かい水を輸送する黒潮、日本の北には冷たい水を輸送する親潮が流れていて、特に、釧路沖の親潮周辺域で、
超巨大な春の植物プランクトンブルームが生じるそうです。
なぜ春のブルームが発生するのでしょう?まず、冬は、風もビュービュー吹きます。海面が冷やされ、海面水温が下がります。
水温が下がると、海水の密度が重くなり、重くなると沈みます。そうなると、海面付近の水が無くなってしまうので、それを補う必要があります。
このため、海面の少し下から水が海面付近に湧き上がってきます。冬に冷やされて重くなった海面付近の水と、海面の少し下にあるやや軽い水が入れ替わることに。
結果として、海面が冷やされると、海面付近の水と海面下の水がまるでベルトコンベアのようにグルグル入れ替わり、徐々に、均質な水になっていきます。
これを専門用語で「対流」あるいは「鉛直混合」と呼んでいると。鉛直混合が起きると植物プランクトンにどんな良いことがあるのでしょうか?
冬が始まる前、秋の海面付近の水は、植物プランクトンの栄養が少ない状態です。
というのは、暖かい季節に植物プランクトンが増殖するために、海面付近の栄養をほとんど使い切ってしまっているからなのだとか・・・。
一方で、例えば、海面下50m位の水には沢山の栄養が含まれています。ほとんど光が届かない真っ暗な海では、植物プランクトンが増殖できません。
ですから、海面下では栄養が余っているということの様です。
さて、植物プランクトンにより栄養を使い切った海面付近の水と、栄養があまっている海面下の水が冬の鉛直混合で混ざるとどうなるのでしょうか?
海面付近の栄養の濃度が上がることになり、植物プランクトンの増殖にとって良い状態になります。
季節は冬から春に移り変わり、気温と共に水温も上がり、さらに日射も強まります。すると、植物プランクトンが大増殖。これがspring bloom という訳なのです。
黒田氏は、3年位前、母なる潮、親潮周辺で発生するspring bloom について調べて論文を書かれました。
「春に海で調査すると、親潮周辺では、とんでもなく大きなspring bloom がしばしば観測されます。とんでもなく大きなものを目の当たりにすると、
その原因を調べたくなった、というのがこの研究の発端でした。」
1)親潮は北の海から釧路~三陸沖などに、太平洋とオホーツク海を起源とする海水や栄養を運んでいますが、このうち、オホーツク海を起源とする非常に低水温で
低塩分の海水が、大きなspring bloom の発生に関連していたことが判りました。
2)さらに、もう一つ重要な事は、オホーツク海から供給される水だけではなく、オホーツク海から輸送される植物プランクトンの「種」も大きなspring bloom の発生に
寄与していました。要するに、親潮が、生産性の高い「母なる潮」である為には、オホーツク海からの海水・栄養・植物プランクトンの種が不可欠なことが判ったのです。
https://www.marinespecies.org/photogallery.php?album=4394&pic=39660
https://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/PS/Bacillariophyceae/Thalassiosira_nordenskioeldii/index.html
https://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/PS/Bacillariophyceae/Chaetoceros_socialis/index.html
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1JqHWy34Xuapa3ITdA7qm2

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