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湖を研究する〜植物プランクトン〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

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今回は、湖の生き物としてのプランクトンのお話し。プランクトンは、植物プランクトンと動物プランクトンの2種類に大きく分けることができます。
植物プランクトンは、サイズが1 µmから100µm程度と非常に小さいものがほとんど。顕微鏡を使わないと見れないのですが、非常に多くの種類がいるそう。
例えば緑藻、珪藻、藍藻、渦鞭毛層といった様々な種が海や湖には暮らしているのです。それぞれ形や大きさが様々ですが、最も特徴的なのは、それぞれの色。
緑藻は、その名の通り緑色をした植物プランクトン。陸上植物の葉っぱと同じくクロロフィルという色素を持っているため。
珪藻は、茶色っぽい色、その理由はクロロフィルの他にフコキサンチンという色素を持っているから。
また、珪藻はガラス製品の素材であるケイ素でできた殻で表面が覆われていて、珪藻の「珪」はケイ素を意味します。
他の植物プランクトンと比べて硬くて、死んでも殻だけが化石として形に残ることがあるそうです。
藍藻は、緑藻と比べてやや青っぽいのですが、これはクロロフィルのほかにフィコシアニンという色素を持っているから。
そして何より、藍藻は人間が地球上で生活できるようにしてくれた生き物なのです。地球が誕生したのが今から46億年前、この時は大気の90%以上が二酸化炭素でした。
そして35億年前に地球上に酸素が増えたのですが、これは同時期に藍藻が誕生し、海の中に溶けた二酸化炭素と太陽の光から酸素を生み出してくれたからなのです。
あとは渦鞭毛藻。昨年に沿岸域で魚介類が大量に死んだと問題になりました。これは渦鞭毛藻が大量に増えたためと考えられています。
渦鞭毛藻は珪藻を同じくフコキサンチンを持っているので黄色っぽいをしているのですが、面白い所は鞭毛という細長いひげのようなものが数本生えているそう。
しかもこの鞭毛を使って自由に泳ぎ回ることができるのです。
では、なぜ色の異なる種がいるのでしょう?その理由は、光合成に必要な光をできるだけ多く獲得するための生存戦略から来た進化の過程を意味しているそうです。
クロロフィルという色素は、ほぼ全ての植物プランクトンが持つ色素。この色素は、青色と赤色の光を吸収することができ、その他の色の光はあまり吸収できないのです。
一方で、珪藻や渦鞭毛藻が持つフコキサンチンという色素は、緑色の光を吸収してくれます。青や赤の光以外に緑も吸収できるのですから、クロロフィルしか持たない緑藻
よりも有利ですよね。また、藍藻が持つフィコシアニンという色素は、赤色の光をクロロフィルよりも多く吸収します。
海や湖のような水域では、浅い所だと青や緑、赤など様々な光を浴びることができますが、深い所には青い光しか届かないので、藍藻はガス胞という浮き輪のような器官をもっていて、浮いて水面上に留まることができて、赤い光を独占してしまうそう。
渦鞭毛層は珪藻とほぼ同じ色素を持っていますが、泳いで動き回れる分、他の植物プランクトンが少ない所まで行って光を吸収できるといった長所があるのです。
植物プランクトン、それぞれが様々な色素を持っていたり、中には鞭毛を使って泳げる生き物もいるのですが、これは光合成して成長するために、他の種よりもできるだけ多くの光を吸収しようとして進化した結果を表しているという事なのです。
※写真は尾山洋一氏が所属するマリモ研究室提供。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/6qxxnivSQxyjo8K4A8PvZ2

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