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野生動物の住むところ、人のすむところ(笹森 琴絵編) [nature treasure]

笹森1シャチ.png笹森2 ヒグマ.png笹森3   エゾシカ.png 
全国的にクマやエゾシカによる農業被害や想像もしない場所でばったり出会うことによる被害が相次いで報告されています。
酪農家はもちろん、自治体、科学者、ヒグマ対策の専門家、ハンターチームらが4年間追い続けた、オソ18の最期とその後の顛末をご存知でしょうか?釧路町の役人の方がオソとは知らずに駆除。首都圏に売られ、人間に食べられてしまった。あっけないその結末に驚いた方は多かったのではないでしょうか。
テレビでも各社が報道していましたが、笹森氏が色々と番組をみる中でNHKスペシャルを見て思ったことを教えてくださいました。オソの骨をみつけ分析。見えてきたのは・・・仮説にしても、あまりに深い闇。雑食であるヒグマが、放置されたエゾシカの肉を日常的に食べたことで肉食に偏り、エゾシカの代わりに牛を襲うようになったのでは?と。怪物と呼ばれたヒグマのオソ18の異常性は、そもそもは人間活動が野生動物の食性や行動をも変えてしまったことで生まれたのです。つまり怪物を生んだのは、人間に他ならないという話しです。オソはヒグマとして異常で、この一頭を駆除すれば解決と誰もが思っていました。ところが本質はもっと根源的で、オソにまつわる一連の問題は始まりに過ぎないかもしれない・・・そんな可能性が見えてきたということなのです。異常にみえる野生動物の行動の背景にあるものをみない対症療法をメインに続けている限り、この流れは止まらないかもしれないと・・・。
鯨類については、魚を食いつくす人間の敵呼ばわりされる場面もあります。「ただ個人的には、鯨だけが原因でイワシやサンマやイカがいなくなるという言い方は、少々偏っているのでは?と思います。」これらの実態、あるいは真偽を客観的に知ることは何より大切。ただ、野生動物に対する行動を起こす前に、なぜそうなったのかという背景も検証し、根本から正す・直すのでなければ、長い目で見ると別の問題が起きることが危惧されると笹森氏。「確かに、ヒグマ・シャチ・エゾシカ等から実際に被害に遭われている方にとっては死活問題。手っ取り早い解決手段としての駆除を否定はしません。でも、オソのハンターチームの1人が先の番組でもらしたように、第二第三のオソは必ず出てくる。いや、もう出ているかもしれないという言葉。狂った果実あるいは異常な個体を取り除いても、問題の本質が根元にあるなら、駆除では本当の意味での解決にはならないのです。」海の幸も山の幸も、そこでしか生きられない、その幸を作り出すために貢献、つまり生態系を構成している生き物たちのためにあります。彼らの食べ物を搾取しない事もこれからは双方のために必要。また、環境保全について学ぶ科目をしっかりとカリキュラムに加えることも必要とも。「鯨やイルカウォッチングも、末永く安定した事業を行いたいなら、こちら側にもそれ相応の節度が求められます。接近距離、観察時間、接近観察を行う対象につき、細かく厳しくルールを設定し、動物にストレスや危害を加えないこと。ザトウクジラが船にのしかかってきた、シャチが船を襲撃する、イルカスイム中に噛みつかれたり、水中に引きずり込まれたといった事故は、人間側の落ち度や過剰な行動が招いた事故、あるいは拒否反応と受け止めるべき。これらの全てが人間側に落ち度があるとはいえなくとも、動物の棲み処にお邪魔している側が行動を正すのが当たり前。配慮が行動につながれば、このような事故を未然に防ぎ、動物も安心して自然な行動や姿を見せてくれる・・はずです。」人間も地球に生きる動物の一部。野生動物たちが形づくる自然界に属し、依存し、生かされています。たとえ町で暮らす日常の中では実感はわかなくても、このような概念を持つ事が、自然を、そして私たちを救うことに、やがてはつながると笹森氏はおっしゃっていました。
※写真は笹森琴絵氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/04fjlZfXlFmhuJKskP0dQ4

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