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マリモ研究情報〜マリモにとって理想的な水温環境〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

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今年の10月にマリモの最新研究成果が論文で公開されました。神戸大学、神戸大学附属病院、北見工業大学、釧路市教育委員会との共同研究でタイトルを和訳すると「巨大マリモの理想的な水温環境」
そこで分かったことは主に3つと。マリモは大きくなるほど成長が早くなること。水温が高くなるとマリモが痩せてしまうこと。そして、約35年前と比べてマリモの厚さが減った可能性があること。
まず、「マリモは大きくなるほど成長が早くなること」について。具体的には、直径5cmのマリモが10cmになるのと、直径15cmのマリモが20cmになるのを考えた場合、どちらも5cmの成長ですが、5cm〜10cmに成長するのは約6.6年に対し、15cm〜20cmに成長するのは約4,6年と、2年ほど早いと計算されたと・・・。
また、マリモの年齢を計算できるようになったそうです。例えば、直径5cmのマリモが0歳だとすると、直径20cmのマリモは14歳から18歳くらいであると計算できるとおっしゃっていました。
次に、「水温が高くなるとマリモが痩せてしまうこと」について。直径15cmのマリモを水槽に入れて、暗い場所に約290日間置き、水温はずっと測定。また、マリモは定期的に取り出して医療用のMRIで密度が減っているかどうか計測。そうすると、実験期間中にマリモの密度がどんどん減っていることが分かったそう。さらに、密度の減るスピードは積算水温と関係していることが分かったそうです。
そして、「約35年前と比べてマリモの厚さが減った可能性がある」について。積算水温が高いほどマリモが痩せるということが分かったので、約35年前のマリモ生育地の水温データから、当時のマリモの厚さを推定。その結果、約35年前のマリモは厚さが約4,7cmと計算されたのに対し、近年では厚さが約3.7cmと計算され、1cmほど厚さが減っている可能性が示された。約35年前の夏の最高水温は約23度、現在は25℃から27℃の間を推移していて、今年は27.5℃と非常に高かった。このような水温の違いが、マリモの厚さに現れている可能性が示されたということ。マリモは寒い場所が好きな生き物なのは分かっていたのですが、水温が上がるとどのような影響を受けるのかが具体的に明らかとなったのです。マリモは薄くなって密度が下がると、壊れやすくなったり、強風で打ち上がりやすくなったりします。温暖化の影響で今後も水温が上昇していくと、マリモにとっては厳しい環境になるかもしれないのです。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3DSf85Y1osUDn2itnD65Qf

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