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政治とカネ(久保田 裕之編) [varied experts]

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最近の大きなニュースはやはり、昨年から世間を騒がせている「政治とカネ」の問題ですが、今もなお混乱が続いています。この問題は派閥の組織的、継続的な裏金づくりという点で、かなり悪質。ですが、岸田首相は派閥を解散し政策集団に衣替えするなど問題の本質をすり替える対応に終始し、内閣支持率は下がる一方。国民が一番知りたいのは「裏金はあったのか」「何に、何の目的で、いくら使ったのか」ですが、実態解明にはまったく踏み込んでいません。闇の部分が深そうです。
久保田氏は、北海道新聞に入ってから長く政治・行政取材に携わり、そのうち何年かを東京の永田町や霞ヶ関で取材してきました。当時、東京のマスコミ各社は与党担当の場合、政治部の記者がそれぞれ自民党の派閥を担当。いわゆる「番記者」と呼ばれるものです。在京の新聞社やテレビ局、大手地方紙の記者が原則、1派閥1人でつき幹部らを毎日取材し、情報を取ってくる作業を行っていたそうです。「私は当時の橋本派で、今は茂木派になっています。当時は自民党最大派閥で、いずれも亡くなりましたが橋本龍太郎さん、野中広務さん、青木幹雄さんら実力者が幹部でした。私は野中さんや青木さんの議員宿舎をたずねて朝や晩に本人を囲んで取材をしたり、所属議員や派閥事務所を回ったりしていました。」どちらも当時すでに高齢でもあり、日々の生活は質素な印象だったと。議員宿舎の家の中も華美な装飾品などは見なかったそうです。ただ、「政治は夜動く」と聞きますが、夜は赤坂などの料亭に頻繁に通い、党内外の議員や経済人らと会っていたそうです。ドラマに出てくるような黒塀に囲まれた高級料亭等もあったそう。「我々は誰と会って、何を話したかを押さえる必要があるため日程を割り出して料亭まで行きますが、中に入ることはありませんでした。」とても高かそうなイメージですが・・・。「私は入ったことはないですが、相当高いと思います。これは同僚から聞いた話ですが、議員はたまに自分の担当記者を招いて会食をすることもありました。赤坂の天ぷら屋とか、ホテルのレストラン等で会食することもあったそうです。高級な店が多かったですね。中には、秘書から手土産を渡されたなんていう話も聞きました。また、昔の話になりますが、記者が自宅をたずねると、帰り際に押し入れを開け「好きなネクタイを持って行け」と言う議員もいたそうです。」流石にお金がある感じです・・・ただ、それがどこから来たお金で、献金なのかパーティ収入なのか、はたまた党からの政策活動費だったのか。当時は派閥の裏金キックバックという仕組みがあったのは知らなかったそうです。ただ、派閥はトップを総裁選で担いで、総裁・総理を狙うための集団で、「数は力なり」という性格があると。数を集めるにはお金も必要になる。それで権力を握れば、さらにお金が入ってくるという構図。だから、肝心の資金源は極力知られないようにするし、「誰に渡したか」という使途を知られるのはさらにまずい。だから実態解明は阻みたいということなのだと思うとおっしゃっていました。
やはり、政治にはお金がかかるということなのでしょうか。今の政治スタイルを続ければお金はかかるでしょう。よく議員は、「東京や地元選挙区に事務所を構えて秘書を何人も雇う必要がある。だからカネがかかる」と言いますが、そういう仕組みにするからお金がかかるのです。本音は「自分が選挙に勝つためには金が必要なのだ」ということだと思うと・・・。本来そうしないと勝てないような選挙のあり方そのものも見直さなければならないと思います。
この政治とカネの問題は改善されるのでしょうか?「難しいでしょうね。」と即答なさいました。今のおいしい仕組みは手放したくないはずですから。リクルート事件などのときと同じように、少し法律をいじって反省したふりをして、ほとぼりが冷めるのを待つのだと思うとおっしゃっていました。
私たちにできることは選挙で改革を促すしかないのでしょうか・・・。

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