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海氷タンク〜氷の底の世界(中山 雅茂編) [fun science]

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海氷の実験をするために作った海水を入れて冷やす「海氷タンク」を大学の屋上から地上に移設したのですが、気温が上がったり、雪が降ったり、気まぐれな天気の中でも、海氷の実験は続けているそう。「そんな中、自然からのプレゼントがあったんですよ」と嬉しそうに教えてくださいました。
新しく作り直した海氷タンクは、直径2.6m、深さ90cmの円形のビニールシートでできた子供用のプールみたいなイメージ。この中に、桂恋漁港から昨年12月7日に、海水をトラックで運び、満タンに。その後、プールの上に屋根をかけ、あまり凍らないようにしておいたそうですが、約2週間後の12月19日に屋根をあけてみると、すでに2~3㎝程度の厚さの海氷ができていたそう。
1月と2月の初旬は、結構、冷え込む日が多かったのを記憶している方も多いはず・・・。1月に最低気温が-10℃以下だった日は12日あり、そのうち3日間は-15℃より低くなったのです。「これは大変だ!ということで、意を決して2月1日の夜中に起きて、実験に向かったそう。「翌日の朝まで作業を行ったのですが、ものすごく寒かったです。日付が変わってからずっと−10℃よりも低く、朝方に-14℃まで冷え込んだ日でした。この日は、一人で作業を行っているので、この冷え込みもあって、結構辛かったのですが、最後にプレゼントがあったんです。」と。
実験の最後にノコギリを使って海氷のサンプルを切り出すと・・・・。実は氷の下、氷の底の面に樹枝状に成長する氷がびっしりとあったと満面の笑みで教えてくれました。空から降ってくる雪で、木の枝のように伸びる氷が6方向に伸びる雪がありますが、そんな感じ。雪の場合は、小さな小さな結晶の中心から6方向に向かい、それぞれ枝が伸びるように氷が成長します。今回、海氷の下では、海氷の底の面から下の方に向かって、たくさんの枝が伸びていたということなのです。海水は塩分を含むので、海氷が成長するときは海水の塩分を排出しながら、水だけが凍って成長します。「海氷の底の面で、綺麗に一面から塩分が排出されれば、氷の底は一面が平らなまま成長するかもしれません。海氷の底の海水が冷やされ、水は個体となり水の一部が奪われた海水は塩分を増します。この個体と液体の境界面でのやり取りのため、平面を維持できず凸凹ができます。時には、この凸凹から樹枝状成長が起こることが教科書に書かれているのですが、その現象に出会うことができたのです。とても寒い日でしたが、氷のブロックを引き上げた時の<お~~~>っと一人で驚いた感動が、忘れられません。」
※写真の一部は中山雅茂氏にお借りしました。

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