SSブログ

冬の阿寒湖調査(尾山 洋一編) [nature treasure]

IMG_9165.jpgIMG_9166.jpgIMG_9167.jpg
今年の冬は暖かく、阿寒湖でワカサギ釣りが始まったのは1月20日頃。5年ほど前までは元旦からワカサギ釣りができたとか・・。マリモへの影響については、湖が非常に冷たい時にマリモに強い光が当たるとダメージを受けて回復しにくくなることが最近の研究で分かっています。もし、温暖化の進行で湖が凍りそうで凍らないような日が長く続いた場合、マリモが受ける影響が心配されると以前にお話しなさっていたのですが、それが現実となりそうなほど最近の気候はおかしいと尾山氏。「将来、阿寒湖が凍らなくなる可能性もゼロではない気がしますね。」湖の研究者の間では、温暖化が湖に与える影響のうち、冬に凍るはずの湖が凍らなくなった場合、湖の生態系にどのような影響を与えるのかに関心が持たれているそうです。
冬の凍った湖は、凍っていない時期と比べて湖の環境が異なります。例えば水温は非常に低く、最大でも4℃。氷に閉ざされるので湖の中は暗く、風が水面を乱すことが無いので水が停滞しています。温暖化によって湖が凍らなくなると、このような冬の特徴が無くなってしまうことになるのです。
もしかしたら、こうした冬の厳しい環境の中で、ある種の生物は死んでしまうのかもしれないし、その種が死ぬことで、春になって新たな生物が繁栄するきっかけとなっているかもしれない。そのような事をこれから長期にわたって調べる場所の一つとして、阿寒湖が候補に挙がっているのです。マリモ研究室では、3年前から国の研究機関と共同で地球温暖化の調査を阿寒湖で行っているとおっしゃっていました。
今年は1月下旬に総勢8名で冬の阿寒湖調査を行ったそう。氷に穴を開けて、氷の厚さを測ったり、水温センサーを入れて深さ方向の水温分布を調査。さらに、環境DNAを想定するために湖水も採取。氷の下以外にも、湯壺と呼ばれる氷の張らない場所でも水をとったそうです。
湯壺のように湖の凍らない場所は、渡り鳥が羽を休める場所としても機能しています。
今回の調査では、鳥の専門家も同行。オオハクチョウ、マガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、カワアイサ、オオバン6種類の鳥類が水面を利用していて、主に河川の流入部に集まっていたそうです。「ボッケの周辺では、浅い場所でマガモが湖の底をつついていたんですね。石についた藻を食べているようでした。オオバンは冬の北海道ではあまりみられない鳥類、水中にもぐっては水草を水面に引き上げて食べている様子が見ることができました。」
湖が凍らなくなると、生態系に様々な変化が現れるのでしょうが、それは必ずしも悪いことだけではなく、水面を利用する渡り鳥のような生き物にとっては過ごしやすくなるのでしょう。「重要なのは、そうした生き物の細かい変化を見逃さないようモニタリングを続けて、未来の人たちに向けて記録を残すことだと思いました。」
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/75ufrMYOYhVGhtdctm1btM

Facebook コメント