SSブログ

キタサンショウウオの1年(照井 滋晴編) [nature treasure]

IMG_2574.jpg IMG_2584.jpg IMG_2583.jpg
IMG_2582.jpg 今回はキタサンショウウオの1年について。
1年のはじめの1月は厳冬期なので当然動かず、おそらくヤチボウズの中や土の中等に潜ってじっとしているはず・・・。
雪がとけた4月初旬、冬越しを終え、野外活動のスタート!
まず繁殖活動!!キタサンショウウオの繁殖期は4~5月。繁殖活動のために水の中に入り産卵。
繁殖期が終わるとオスもメスも陸上に戻り、雪が降るまでエサを食べながらのんびり過ごすそう。
産卵された卵は1ヶ月強で孵化し、6月初旬にはウーパールーパーの様なエラのついた幼生に。
孵化した幼生は7月下旬から8月初旬くらいまで水の中で過ごし、手足が生えそろった頃に陸上に。。。
その年に生まれた子供は卵の時期から考えると4〜7月の4ヶ月間は水中で過ごすのです。まさに両生類。
水域と陸域のどちらの環境もなければ生きていけないのです。とにかくこの4ヶ月間は産卵された水域が無事に維持されることが必須なのです。キタサンショウウオは湿原の中の水たまり等で産卵するそう。その様な場所の水は雪解け水や雨水に由来しているので、雪が少なければ繁殖期である4月に水がなく、雨が少なければ幼生が上陸する前に干上がってしまうということ。
今年、2021年はどうだったのでしょう?2016年からの6年間の気象データを調査。今年4月の降水量は6年で1番多く、5月の降水量も2番目に多かったそう。
そして6月、雨が降りませんでした。7月も同じく。6年間でも一番降水量が少なかったと。
実際にキタサンショウウオの幼生の調査で6月末に繁殖地に行ったそうですが、行く先々で水域が干上がってしまって、幼生がすむ事のできる環境ではなくなっていたそう。
「今年の春先は非常に環境が良く、多くの幼生が孵化したと思いますが、最終的に上陸まで成長できた個体は非常に少なかったと思われます。」
たまに雨が少なく繁殖水域が干からびてしまう年があっても他の年に成功すれば個体群を維持することができるそうです。
「ただ、今後気候変動で6月くらいにあまり雨が降らなくなってしまったとしたら、釧路湿原のキタサンショウウオは数年で絶滅寸前になってしまうと思います。」
それが現実にならないことを祈るばかりです。そして保護に関してもしっかりと考えていかなくてはならない時期にきているのでは?と思った収録でした。

Facebook コメント