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鉛中毒ゼロを目指して(齋藤 慶輔編) [nature treasure]

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画期的なニュースが飛び込みました。2021年9月10日、小泉環境大臣(当時)が記者会見で、2025年度から全国の狩猟を対象に鉛弾の使用を段階的に規制し、
2030年度までに野生鳥類の鉛中毒ゼロを目指す方針を表明。日本では1990年代から北海道でオオワシ等が200羽以上も鉛中毒死しているそうです。
北海道では2000年から段階的に鉛弾の使用が禁止され2014年からはエゾシカ猟時の鉛弾所持も条例で禁止されたのですが猛禽類の鉛中毒は依然として発生していました。
鉛弾が合法的に使われている本州以南から持ち込まれ密かに使われている可能性があるのでは?とこの番組でも以前お話ししてくださっていました。
さらに、猛禽類の鉛中毒は本州のイヌワシやクマタカなどでも発生している現実があります。
また、カモ等の水鳥は消化を助けるため胃内に小石を蓄える習性があり、鉛散弾を誤食して鉛中毒になることが知られています。
その水鳥の多くは長距離を移動する渡り鳥なので、特定の湖沼での鉛弾規制だけでは根本策にはならないのは周知の事実。
今のところ、鉛散弾は北海道を含め地域を限定した規制しかされていません。ということで、この様な鉛弾の誤食による野鳥の鉛中毒を根絶するため、
全国規模で狩猟に使われるすべての鉛弾の規制が急務だったのです。
希少猛禽類の鉛中毒が明らかになった当時から25年以上も環境省内で鉛弾の全国規制は棚上げにされ、状況調査などが細々と行われてきたに過ぎなかったと慶輔獣医。
無毒弾の普及がなかなか進まない背景には、銅弾の価格が鉛弾と比較して高価である事や北海道以外での入手が困難な場合がある事、
そして、ハンターの鉛中毒に関する知識や意識が不十分である事などが考えられるとおっしゃっていました。
鉛弾をすでに規制している国は日本以外にも存在するそうです。ただ、人間の健康被害対策を主たる目的としていたり、カモ類の鉛中毒防止を目的としているもの
(主に水辺での規制)、狩猟そのものを禁止している国などで、野生鳥類の保全を目的にした日本全国の鉛弾規制は評価に値すると慶輔獣医。
「既に規制が行われている北海道以外では鉛弾は2025年まで合法的に使用が続けられます。野鳥における鉛中毒の根絶こそ目指すべきゴールという事を忘れず、
私たちがしっかりとその状況に目を光らせる必要があると思うのです。」
※写真は齋藤慶輔氏からお借りしました。

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