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suspicion depiction [close to you <art編>]

いつもと違った切り口で収蔵品をご覧いただきたく第2弾。
題して「疑惑の○○」シリーズ。第2回目は疑惑の描写シリーズです。
何が描かれているのかな?というのを考えていきましょう!!という2作品をご紹介。
深いものもあるし、個人個人で面白がって見て!・・・という作品もあるので。
4星降る街.jpegまず、板谷諭使の「星降る街」。
要素がいっぱいあり、混乱する作品。
北海道立釧路江南高校で美術教諭をなさっていました。
大きな具象の油彩作品。画面の中には人物や小物がたくさんあり、それぞれに意味がありそうな感じです。
ストーリーがあるような描き方をなさっています。
人物が3人描かれています。メインとなるのが女性と思われる人と年配の男性と赤ちゃん。
まず描かれている人物の関係性が不明。メインの人物は他の人たちとは逆の方向を向いています。
一つの部屋に3人がいる。部屋がおそらく高いところにあり、海外と思える街並みが外に見えている。
その手の上に赤い丸い球状のものが浮いています。この人は一体何をしているのでしょう?
男性は赤ちゃんをあやして見つめ合っている。その側に器に入った赤い球状のものが見えます。
これは果物?現実離れした人間関係が見えてきます。他には天秤、ランプ、猫、ジャガイモ、チェロ等があります。
ただ、受ける印象は違和感。おそらくこの違和感は作者が意図的に色々な要素を入れて、ある意味現実離れした空間を描いたのでは?
あえて疑惑を持たせるようなことをしたのでは?と考えてしまいます。タイトルにある星降る街は窓から見える風景。でもあまり目立たない。
窓はガラスがない感じ。窓の外に見える星、天の川を描きたかったと思われるけれど、そこに一番最初には目が向かないようになっている。
気づきが永遠に終わらない・・そんな作品です。
5北の海.jpeg
続いて、木下勘二の「北の海」。
半具象、半抽象を描いた作家。彼も北海道立釧路江南高校で美術教諭をなさっていました。
夕張出身の彼は北海道らしい広い空間に憧れ、釧路へ。釧路にいらしてから摩周湖や漁船等を描かれていたそうです。
晩年、流氷にはまり、そればかり描かれたそうです。「北の海」というタイトルの作品がたくさんあるそうです。
その中でも物語がある作品と感じている武束氏。
他の作品と決定的に違うのは、ここに珍しく人物の頭部が描かれています。
作者のものと思いきや、これは俺という人物が現れそう。一緒に流氷をスケッチしに行ったことがある方。
ただ、作者もその方も亡くなられたので、真実は不明。
そして、作品の中にある旗らしきものも不明。これは本人が流氷を見に行った時にゴミなのか?チラシなのか?旗なのか?を
舞っているのを見たことがあり、それが面白いと思い、それからずっと描かれているそう。
描いた人にしかわからない。自分が解釈したもので作品を楽しむということが良いのかなと思います。
※尚、写真は釧路市立美術館 武束祥子氏からお借りしました。

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