SSブログ

湖を研究する〜植物プランクトン2〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

IMG_6264.jpg IMG_6265.jpg
数ある植物プランクトンのうち、藍藻という植物プランクトンのことについて。藍藻は人間が地球上で生活できるようにしてくれた生き物。
地球が誕生したのが今から46億年前、この時は大気の90%以上が二酸化炭素で、酸素はありませんでした。
35億年前に地球上に酸素ができたのですが、同時期に藍藻が誕生し、光合成によって海の中に溶けた二酸化炭素と太陽の光から酸素を生み出してくれたからなのです。
それにより、酸素を吸って生活する動物が地球上で生活できるようになりました。
また、35億年前の海は、生物にとって有害な重金属が多量に溶けていたと考えられていて、魚のような大型動物は棲めない環境でした。ところが、藍藻が酸素を生み出してくれたことで、酸素と重金属がくっつき鉱物ができ、これが海の深い所に沈殿していくことで、海の中から徐々に重金属が少なくなっていったのです。
現在、私たちが資源として使っている鉄やマンガンなどの鉱物も、この様なプロセスによって作られたもので、地上で採掘されている鉄やマンガンの鉱床は、
一旦海底に溜まったものが地殻変動などによって地上に現れたものなのだそう。
ですから、藍藻は人間が生きていく上で必要な酸素を作り出しただけでなく、人間の生活に必要な鉱物資源をつくってくれた生物なのだとか。
藍藻ってとてもありがたい生き物なんだな、と思うかもしれませんが、実はちょっと困った面もあるそうです。
夏の湖や沼などで、水の色が抹茶を溶かしたような緑色になることがありますが、これは通称”アオコ”と呼ばれるもので、藍藻が異常増殖をした状態。
特に栄養が豊富な湖沼で起こる現象で、生活排水や汚水を湖に流していた時代に深刻な水質汚染を引き起こしていたそうです。
ろ過しても匂いが残るので、水道の水がカビくさくなり・・・。現在でも日本の一部の地域で問題となっているそうです。
阿寒湖でも、1970年代頃から藍藻の大発生が問題となっていて、湖周辺がカビ臭くなったり、何より景観が悪化してしまったそうです。
その後、1980年代に公共下水道が整備され、生活排水等が湖に流れ込まなくなり、湖の栄養が徐々に低下し、現在は昔ほどアオコが発生しなくなっているとのこと。
さらに困るのが、一部の藍藻はシアノトキシンという毒素を持っていて、日本にはあまりいないそうですが、海外ではこの様な藍藻の多い地域があるそうです。
人間への被害も報告されていて、湖水浴をしていた人が湖の水を誤って飲み、腹痛を引き起こした事も。その為、この様な地域では湖の環境基準に藍藻の濃度が採用されているそうです。藍藻は人間に多大な恩恵を与えてくれた生き物である反面、現在の水利用の観点からはちょっと困った存在になっているとおっしゃっていました。
「湖や沼にアオコが発生しているのを見かけた際には、太古の地球の環境について思いをはせつつ、上手につきあっていけるような環境というものを考えてみては
いかがでしょうか。」と尾山氏。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3kyGyCeIxC6FQJFtve0iNz

Facebook コメント