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エジプトと環境問題、にとどまらず(黒田 理編) [varied experts]

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ニュースにはあまり出てこないその周辺のお話し。まずはCOP27の開催地、シャルムエルシェイクという場所。紅海に面したリゾート地。ダイビングの名所として有名。
カイロからは飛行機で1時間ほど。砂漠の中にいくつもの高級リゾートホテルが造られている人工的な街。「私もカイロ支局にいた頃、2000年10月に取材で行きました。
当時、パレスチナ問題が世界の注目を集めていました。パレスチナ自治政府のアラファト議長や米国のクリントン大統領が急遽、シャルムエルシェイクで開かれる会議に
出席することになりました。私はその直前9月にフセイン大統領が統治していたイラクに取材に入っていました。世界中から厳しい経済制裁を受け、
インフラはぼろぼろ、携帯電話などない時代です。入国すれば、外との連絡がほとんど絶たれる状況でした。『パレスチナが大変なことになっているから行ってくれ。
パレスチナの子どもが銃殺され、衝突が激しくなっている』と。慌てて荷物をまとめて砂漠のなかの道を車で1日がかりでヨルダン、イスラエルに向かいました。
イスラエルが圧倒的な武力と経済力を持っていて、パレスチナの人たちを押さえ込み、領地を拡大しています。それを巡り、常に争いが起こっています。この一連の衝突で100人以上が、大半はパレスチナ人ですが、犠牲になるなど、その燃えさかった争いを収めようと和平会議がシャルムエルシェイクで開かれたのです。苦労の末、
衝突停止で合意。もっとも、まもなく元の木阿弥、流血の争いに逆戻りしましたけれど。」
エジプトといえば、カイロ近郊のピラミッドやスフィンクスが有名。アブシンベル神殿のアスワン、ルクソール神殿のあるルクソールも観光地としてよく知られています。
シャルムエルシェイクは歴史的な建造物があるわけではありませんが、エジプトで一番のリゾート地と言えるそうです。
中東地域の人たちは暑い夏、数週間のバカンスをとります。お金持ちは湾岸諸国の人たち。ゆったりとした白い衣装を着た人たちがそうです。
カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など、産油国の人たちが多いそう。そして本当のお金持ちは涼しいヨーロッパに行くのです。
さらに、イスラム教の戒律が湾岸諸国に比べると、エジプトは緩い。酒は簡単に手に入ります。ワールドカップ会場のカタールの首都ドーハで1カ月の大会期間中、イベント会場内だけでビール販売が容認されたそうですが、これは本当に例外中の例外だと。
一方、エジプトではホテルやレストランでお酒は飲めます。戒律の厳しい湾岸諸国からバカンスでエジプトに来て、はめを外す人もいるそうです。
「COP27はなぜシャルムエルシェイクで開かれたのか。まずは警備のしやすさ。さらに今回は人権問題でも厳しい指摘がありました。また、「グリーンゾーン」と呼ばれる会議場近くに専用のデモ会場を設け、そこだけでデモを認めました。この様な場所をつくるのにシャルムエルシェイクは好適地だったに違いありません。」
ワールドカップのカタールも、大会に使う競技場の新設や地下鉄工事で大勢の外国人労働者が死亡したとか、性的少数者への理解が低いことが問題視され、
欧米ではボイコットを呼びかける動きもあります。華やかな舞台の裏には見えにくい問題も隠されていることを忘れてはいけないとおっしゃっていました。

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