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people people people [close to you <art編>]

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川瀬敏夫氏は芦別市に生まれ、1952年、北海道学芸大学釧路分校(現・北海道教育大学釧路校)美術科に入学。
卒業後、定年を迎えるまで釧路市内の小中学校で美術教員を務めた方。
また釧路においては学芸大の学生を中心としたノワール同人会(後のノワール美術協会)を設立し、市内で展覧会を開催するなど精力的に活動なさいました。
様々な表現で人々を描いていることが特徴の川瀬氏。アンフォルメルのような抽象表現を試みた時期、大学時代には<工場>と題する作品で全道展に入選するなど
建物を描いた作品もあります。しかし「ただ〜物〜を写すことだけが絵を描くことなのか」という疑問を抱き続けていた彼は人を描くことに行き着いたのです。
人間という存在そのものを問うため、群像表現を追求した川瀬の<人たち>シリーズは彼の画業の中でも代表的な作品群なのです。
沼前学芸員から作品に関するmemoをいただきましたので、ここで紹介させていただきます。
《ヒト達》:1956年に「世界・今日の美術展」が開催され、日本にアンフォルメルが紹介されると、「アンフォルメル旋風」と呼ばれるほどの大きな反響があった。
本作ではアンフォルメルのような厚塗りの表現がみられるが、同時に人々の顔が描かれており、後の〈人たち〉シリーズに続くことを感じさせる。
《人たち》1970年頃:水俣病がテーマだという(所蔵者の話による)。この作品に限った話ではないが、川瀬は人々の描き方や導入するモチーフといった造形の
側面だけでなく、公害問題や、教員として働く中で感じた葛藤など、自らが生きる社会の問題を表現することも追求した。
《人たち》(1975年):釧路市立美術館所蔵と年間スケジュールのメインビジュアル。
アトリエで並べて描いていた。どちらも通りを行きかう人々を眺めているような感じ。他の作品と比べると現実味のある感じがしてくる。
《作品97》1997年:1990年代に入ると、〈人たち〉シリーズ以外にも自然をモチーフとしているような作品も描くようになる。
木のうろや、そこから顔をのぞかせる鳥がいたり、幻想的な印象もあるが、画面右上には黒い円が不気味に描かれていて緊張感もある。
《作品名不詳》2015年:本作は気候変動をテーマにしたものだったという。1976年に釧新郷土芸術賞を受賞した際の釧路新聞の記事では、「風景はどうも描けない。
大き過ぎ、美しすぎる自然に負けて、ただ“物”を写すだけに終わりそうだから」との川瀬の言葉が紹介されている。本作は荒涼とした大地に葉の落ちた木が生えていると
いう「風景」だが、川瀬にとっては、写し取った風景なのではなく、気候変動というテーマの象徴としての風景なのだろう。
「〈人たち〉シリーズは造形の面だけでなく、川瀬が教員として生活を送る中で感じた様々な問題意識が含まれていると思います。
ではなぜ、その問題関心を表現するために、このような独特な形の人の表現に行き着いたのか、という疑問は残るし、そこは今後の研究課題だと思っています。
現在の世の中は、川瀬が生きた時代とは異なるかもしれないが、今、この作品を見てもいろいろと感じることがあると思います。」と沼前学芸員。
人というものを通して見えてくるもの、今だから感じるもの、その表現の多様さ試行錯誤の流れ、様々なことを感じる作品群だと思います。
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(川瀬敏夫展〜人たち〜は12/18まで釧路市立美術館で開催中です。)

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