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湖を研究する〜植物プランクトン4〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

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植物プランクトンシリーズ今回は、緑藻について。緑藻はその名のとおり緑色をした藻の仲間。クロロフィルという色素を持ち、太陽の光から青と赤の光を吸収して光合成しています。緑色の光は吸収されにくいので、緑色の見えるのです。
昆布やワカメなどの大型の緑藻を含めると、世界で約6,500種が確認されていて、日本では海水域に約300種、湖のような淡水域に約1,500種の、合計約1,800種が生育
すると言われているそう。金魚などの魚を飼っている水槽が緑色の藻に覆われることがありますよね。あれはたいてい緑藻のしわざ。
ちなみに、コケなどの陸上の植物の中には、一部の緑藻から進化したものがあるそうです。コケ類は最も古い陸上植物と考えられていて、今から約4億7000年前に化石が
見つかっています。陸上で生きていくためには乾燥に強くないといけないので、進化の過程で細胞壁が強くなったというわけ。そして、コケ類がシダ植物に進化し、
シダ植物がタネを作る植物、つまり種子植物に進化したのです。今から約3億年前の地球には大型のシダ類の大森林ができていたそうです。これらが地中に埋まって、
やがて石炭となり、いまの僕たちの生活を支えているのです。
さて、この緑藻は、他の植物プランクトンと比べて、私たちの生活の中に最も身近な植物プランクトン。皆さんのご自宅の引き出しの中にもあるかもしれません。
サプリメントで「クロレラ」って聞いたことありませんか?粉上のもの、錠剤のものがあると思いますが、「クロレラ」は緑藻の一種なのです。
自然界でも普通に生育していて、サプリ用のクロレラは人工的に培養し増やしたものから作られているようです。抹茶みたいな味がするそうですが、飲んだ事ありますか?
クロレラは、良質なタンパク質やビタミンB2、そして鉄などを含んでいるので、免疫力を高めたり、貧血予防として愛用されている方がいらっしゃるようです。
緑藻は陸上の植物と同じく細胞壁を持っていて、やや硬いので、サプリにする際は細胞壁がよく破壊されたものの方が体によく吸収されるそうです。
サプリだけではなく、ある種の緑藻が日本のエネルギー問題を救う可能性が指摘されているのですが、バイオエタノールって聞いたことがあるでしょうか?
バイオエタノールとは、植物からつくった石油の事。コストを無視すれば陸上植物からもバイオエタノールを作り出すことができ、代表的なものにパームやしがあります。
パームやしは熱帯の植物。ですから、日本では比較的増やしやすいと思われる植物プランクトンが、バイオエタノールの原料として期待されているのです。
そう考えると、シダ植物の祖先である緑藻もエネルギー源となる可能性が考えられるという事。
もちろん、緑藻だけでなくて他の植物プランクトンも研究されていて、バイオエタノールを作り出すのに最もコストが低いものを探しているのです。
ただ、現在の技術では、例えば日本の全エネルギー消費の1%を担うのに必要な植物プランクトンを増やすためには、宮城県の耕作面積(約13万ヘクタール)と同じ位の
場所が必要と試算されているそうです。それに加え、まだコストに見合うほど藻類から燃料を生産することができていないのが現状。
研究が進めば、将来、藻類から作られたディーゼル燃料をつかってドライブに行くなんてことができるかもしれません。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/5hk83zQFhKA5ruVR18TJpO

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