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湖を研究する〜透明度〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

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今回から湖の研究についてのお話し。まずは透明度に関する話題から・・・。
湖の環境を表す項目として、皆さんが最も聞いたことがあるのは「透明度」ではないでしょうか。
例えば、摩周湖の透明度。1931年に41.6mという値が記録され、これは現在においても更新されていない値。
摩周湖の透明度は昔と比べて減少していますが、それでも20m程度で推移していて、世界で2番目に高い値となっているそうです。
現在の世界1位はロシアのバイカル湖、年によって変動しますが、高い時は昔の摩周湖と同じで40m程度の値と言われているそう。
実際に、湖の透明度がどのように測定されているのでしょう?
直径30cm程度の白い円盤にロープをつけて、船の日陰側から湖にゆっくり沈めて、円盤が見えなくなった時の深さの値を透明度としているそうです。
この方法は1865年にローマ法王庁の海軍士官だった「セッキ神父」が考案したもの。ですから「セッキ板」という名前がついているそう。
セッキ版は規格化されたものが市販されていて、白い円盤であれば何でもいいというわけではありません。
考案当時は海で使われていたのですが、非常に簡単に測定できるので、湖や沼などでも使用されるようになり、湖によっては100年以上も前のデータが残っていたりもするそうです。大昔の湖の水質を知ることができ、現在の状態と比較できるので、透明度は水質検査の項目の一つとして、今でも湖の綺麗さを表す指標に使われているのです。
ところで、過去の摩周湖や、現在のバイカル湖のように、40mの透明度を計測するのは、とても視力のいい人がいないと難しい・・・。
また、湖に沈めた円盤が見える、見えないというのは、観測者の感覚に頼っている部分があります。ですから概ねプラスマイナス1m程度の誤差があるそうです。
さて、阿寒湖周辺の湖で最も透明度が高い場所は、阿寒湖の上流にあるパンケトー。高い時は20m程度の値が記録されていて、日本の湖のトップ10に入るほど綺麗な湖。
阿寒湖の透明度は、最初に測定されたのは今から100年以上も前の1917年。9mという記録が残されているそうです。
1970年頃から北海道が年に4回程度、透明度を定期的に観測する事になり、2000年頃までは年平均2-4m程度で推移していたのが、
2010年に1917年と同じ9mが再び観測されました。どうして透明度が変化するのでしょう?・・・次回へ続く。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/6dVgcJ1FdWgT5cni3MwBNS

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