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130 years of Western-style Painting in Japan〜山下りん [close to you <art編>]

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現在、北海道立釧路芸術館で開催中の「日本の洋画130年〜具象表現の栄光」の中から、山下りんの作品について熊谷学芸員のお話しです。
山下りんは、茨城県笠間市に生まれ、明治8年3度目の上京で、中丸精十郎に師事し西洋画を学びました。
明治10年、工部美術学校に入学し、在学中にハリストス正教の洗礼を受けました。その3年後、ロシアに向かい、横浜から三ヶ月の旅の末にペテルブルグ女子修道院に
入り、ギリシャ正教の聖画を本格的に学ぶことになったのです。
明治16年に帰国し、神田駿河台教会内に住み、それ以降全国のハリストス正教会の聖画を描き続けたのです。ですから全国に山下りんの作品が残っているのです。
「コゼリシチナの聖母」の原作は、ウクライナのコゼリシチナの女子修道院にあるそうです。
1880年、この地の領主カプ二スト伯の令嬢の病をいやすという奇跡で有名になったイコン。山下りんの遺品にはこのイコンの石版画が残されているそう。
ですから、日本に招来された石版画をもとに、このイコンが制作されたことがわかるのです。
山下りんの同時代の作家たちは、洋画というものをどう自分の中で消化し、制作していくのかを模索していました。
そんな中、イコンに心血を注いだ彼女はどんな気持ちでイコンを描き続けたのでしょう。
「イコン(聖画)には作家の独自性は求められていないのです。昔から引き継がれてきたものを描く・・・
ただ、作品によっては背景などに彼女の気持ちが現れている様な気がするんですよね。」と熊谷氏。
キリストの足がつかっている水の様子、その周りの植物等、ここを描く時はどんな気持ちだったのだろうと思わず考えてしまいました。
(日本の洋画130年〜具象表現の栄光は6/19まで北海道立釧路芸術館で開催中です。)

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