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海の生き物たちの今は、私たちが招いたもの・・・(笹森 琴絵編) [nature treasure]

1  アホウドリの仲間 コアホウ 笹森.png2  コアホウとアホウドリ 笹森.png3  アホウドリの仲間 クロアシアホウドリ 笹森.png
4 ザトウの頭上を舞うコアホウドリ釧路沖 笹森.png「海を見続ける者として伝えたいことは素晴らしさや美しさなど多々あるが、残念ながらそれだけではない。
今では、汚染や水温上昇、中でもプラスチックごみの内容を外すことはできない。」
去年、12月18日付け北海道新聞の一面に大きく掲載されたコアホウドリの記事を読んだ方もいらっしゃるはず・・・北大などの研究チームが2014~18年に小笠原諸島周辺で回収したコアホウドリ約100羽の死骸のうち、9割の胃からプラスチック片が見つかったという内容。
実は釧路市沿岸でも、ゴム手袋を飲み込んだコアホウドリが発見され、別途報道されています。
道内への海洋ごみの漂着量は国内で最も多く、専門家は「北海道を含む日本近海でも海洋ごみの問題は深刻化している」と指摘しているそうです。
コアホウドリは、アホウドリの仲間。小さいアホウドリという名がついているが、翼を広げると2mほどになる巨鳥。繁殖期以外は海上で生活し、北緯20~60度の北太平洋、ベーリング海に分布。
羽毛採取のための乱獲や、繁殖地の消失、延縄漁などの漁業による混獲でアホウドリと同様、絶滅すれすれなのだとか・・・。
実は釧路沖は、アホウドリ、コアホウ、クロアシと、アホウドリの仲間3種全てが集う海なのだそう。
中でもコアホウとは、私たちの秋の釧路沖調査では毎回、出遭ったとおっしゃっていました。
「海面を軽やかに走って風を掴み、ふわりと風に乗ってグライダーのように滑空する優雅な姿を見せてくれる。一見カモメ風だが、目の周りにサングラスをかけたような模様があり、何より体の大きさがカモメとは全く違います。」
餌は海面に浮いている小魚など。そのためレジ袋やプラスチック片、たばこのフィルター、ゴム手袋の破片などが浮いていれば、イカや小魚と間違えて呑み込んでしまうのです。コアホウドリなどの海鳥と同様に小魚などを餌とする鯨類や鰭脚類、さらには餌となる生物もまた、同じ状況に巻き込まれているということ。海では全てがつながり巡るのです。
私たちは今、自然な状態の千倍もの速さで絶滅が進み、生物多様性が急速に失われる、第六の絶滅期を生きているといわれているそうです。その原因は、温暖化やゴミ問題、各種汚染などの人間活動。「私などは、私たちは人間だけの地球にしようとしているのだろうか?と疑ってしまう時があるんです。でも、人間と他の生き物とは一蓮托生。同じ地球で、自然界や生物から恩恵を頂き続ける人類の一人勝ちなどということはありえないのです。」
ゴミの漂着量は国内最多。また、温暖化が原因とみられる気象の激甚化、食べなれた魚が食卓から消えるなどの異常事態がすでに身近で起きています。さらに、ゲリラ豪雨、どか雪、猛暑なども皆さんご存知の通り。海を取り巻く問題は科学者らの予想を遥か超えたスピードで進んでいると言っているそう。これに対する社会の動きが後手後手に回っているのは、素人目にも明らかです。「激変する現実に手をこまねき、そこから目を背けて、これまでと同じ価値観で同じ生活を続けようと、過去にしがみついている私たちを置き去りにして、時間と事態はどんどん進んでいきます。海の変化を目にしている私としては、ひたひたと押し寄せる激動を感じ、身がすくむ思いがします。」
※写真は笹森琴絵氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/2MJ7ulpFr65FBcgFuu9MZA

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