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寒い冬に春からの調査研究を考える(照井 滋晴編) [nature treasure]

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この時期は、春からの調査に向けて、一緒に研究をしている研究者の方々と共に春からどのような調査・研究に取り組むかを相談したりしているそう。 打合せでは、まずこれまでの調査研究でわかったこと、そして次に明らかにしたい課題を整理。 要するに、キタサンショウウオの何がわかっていないのか?どんなことを明らかにしたいのか?ということを話す感じと。 よくわかっていないことと言えば、キタサンショウウオはどこで冬を越すのか?ということが一つ。また、越冬に限らず、繁殖期以外の時期にどんな場所を生活の場として利用しているのか?そして、どれくらいの範囲を生活圏にしているのか? そのようなこともまだまだデータが少なくてわかっていないのです。 そのように課題を挙げ、次にその課題を解決するためには、どのような調査をすれば良いか?ということについて話し合いをするそうです。
例えば、越冬場所や行動圏といった課題を解決するためには、どうすれば良いでしょうか? 最も確実なのはキタサンショウウオをストーカーのように追いかけること。 これができれば、越冬場所も行動圏も好きな環境もすべて明らかにできます。その方法の一つに、標識再捕獲法というものがあるそう。捕まえたサンショウウオに標識を着け、捕まえた場所に返し、後日もう一度捕獲することで、同じサンショウウオがどれくらい移動するのかを推定。「この方法だともう2回以上同じサンショウウオを捕獲しなければならないので、たくさんのデータを得ることがなかなか難しかったりします。 もちろん不可能というわけではなく、過去の研究ではこの方法でキタサンショウウオが繁殖池から100mくらい離れたトラップで捕獲されたことがあり、キタサンショウウオが少なくても繁殖池から100mは移動することが明らかになっています。 これはとても大事なデータで、このデータからキタサンショウウオを守るためには繁殖池から少なくても100mの範囲は生活圏になっているので守った方が良いということが言えるようになります。」ただ、この方法では行動圏を推定することはできても、移動のルートや好みの環境など詳細なことはわかりません。この様な問題を解決するためにはリアルタイムで居場所を特定する方法にしなければいけません。そのための方法の一つに発信機調査というものがあると・・・。 ラジオのような電波を発信する発信機をサンショウウオにとりつけ、そこから出る電波を受信器の音の強弱を頼りに追跡するという調査。
「でも、1個あたり数万円と高額なうえに、始めてしまうと電池が切れるまで毎日調査に行かなければならず、労力もかなりかかります。 キタサンショウウオでも過去に実施され、それなりの日数と距離を追跡できていたのですが、あと一歩で越冬場所などを完全に明らかにするまではできず、悔しい思いをした記憶があります。」
それ以降、予算や時間の関係で進めることができていなかったそうですが、次年度は再び発信機による追跡調査にチャレンジしてみようかという話も出たそう。何かもっと効率的にできる方法が見つかれば良いのですが・・・。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/6Bg8VKn0alDM67rjxZXIL9

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