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日本系サケ稚魚の大冒険(黒田 寛編) [fun science]

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春に放流されたサケ稚魚達、今、どこで?何をしているのでしょう?
夏も始まろうかというこの時期、今年の春に本州や北海道の川を下って海に入ったサケの稚魚は、今、オホーツク海を目指して頑張って泳いでいると考えられています。
サケ稚魚が川に放流されると、これに加えて、自然産卵した卵から生まれた自然魚の稚魚が加わり、川を下り、海に入ります。まずは、海と陸の境界付近の極沿岸いわゆる「なぎさ帯」で生活するようになります。その後、海に慣れてくると沿岸近くを泳ぎ始めるようです。沿岸で見つかる稚魚は海面水温が5~13℃に分布することが多いので、これがサケ稚魚の適水温と考えられています。海面水温が13℃を越えるタイミングが、サケ稚魚が沿岸を離れるタイミングと考えられています。
さて、日本系の全てのサケ稚魚はオホーツク海を目指して泳ぐと考えられていますが、オホーツク海方面に「一方向に」泳ぎ続けるわけではないそうです。
興味深いのは、例えば、釧路川などから放流されたサケ稚魚は、一旦、襟裳岬の西側に移動する稚魚もいて、その後、再び道東周辺に戻ってくる稚魚もいるようです。
さて、海面水温が13℃を越える初夏には、サケ稚魚が北海道沿岸から一斉にいなくなります。オホーツク海を目指して泳いでいると考えられているわけですが、
なぜそのように考えられているのでしょう?9~10月にオホーツク海の真ん中付近で調査をすると、日本とロシアの川を下ったサケが集合していることがわかっています。
しかも、北海道だけではなく本州の様々な川を下ったサケ稚魚が夏のオホーツク海に集合します。
では、なぜ、オホーツク海に色々な出生をもったサケ稚魚が集合していることがわかったのでしょうか?
当然、サケ稚魚は、どの川出身という名札は付けていません。しかし、サケ孵化場では、耳石温度標識をつかい、サケ稚魚の耳石にバーコードをつけています。
短期間に水温を変えて稚魚を飼うと、それが耳石に輪紋として刻まれ、孵化場毎に異なる耳石温度標識をつけると、どこの川で放流した稚魚であるかが同定できるそう。
ということで、サケ稚魚は、今、まさにオホーツク海を目指して頑張っているのです。まさにオホーツク海に全員集合!!の状態ですね。
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/66KsPaC9Kre1XRf33ps6sD

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