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キタサントーク(照井 滋晴編) [nature treasure]

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7月3日まで釧路市立博物館でキタサンショウウオの特別展を実施していましたが、その最終日に 「キタサントーク」と題してシンポジウムが開催されました。
基調講演は、京都大学の西川先生。日本のサンショウウオ類研究の第一人者の方。 その他、釧路市立博物館の野本学芸員や釧路湿原外のキタサンショウウオ生息地である
上士幌町の学芸員である乙幡学芸員からも事例報告が行われたそうです。シンポジウムやパネルディスカッションの話題の中心に上がったのは、キタサンショウウオの生息地周辺での太陽光発電施設の増加について。
太陽光発電施設の問題については、現在も変わらずどんどんどんどん増えている状況。釧路湿原国立公園の中心部や特別保護地区のような保護するための規制が強いエリアには太陽光発電施設は建設されていませんが、湿原辺縁部では建設が進んでいます。
実はキタサンショウウオの主な生息域は湿原の辺縁部に多く確認されており、中心部ではあまり見つかっていません。
ただ、キタサンショウウオという動物は水が多い湿地環境だけを好むわけではなく、繁殖期以外は陸上で餌をとって生活しています。
冬を越す場所も水の中ではないので、生きていくために陸地も必要な生き物です。
その様な水辺も陸地もある環境というのは湿原の辺縁部に多くあるのです。 そのため、キタサンショウウオは湿原辺縁部に多く確認されていると照井氏。
事業者が施設を建設する予定地にキタサンショウウオがいる或いはいそうなのかという事は、釧路市が作製したキタサンショウウオの生息適地マップに説明されています。
このマップは過去に見つかった全てのキタサンショウウオ生息地の位置情報や環境情報をもとに、キタサンショウウオの生息に適した環境を割り出して作製しています。
https://www.city.kushiro.lg.jp/kyouiku/shougaigakushuu/bunkazai/0002_00001.html
太陽光発電施設の建設予定地がキタサンショウウオの生息適地だった場合はどうなるのかというと、釧路市としては事業者に対し生息状況の調査をする事、
調査の結果、生息が確認されれば保全対策をとることを提案することになります。
現在の法律や条例の範囲内では、キタサンショウウオを太陽光発電施設などの建設から確実に守る事は困難なのです。
この件については、西川先生からも意見があり、ただただ建設はダメだ!やめろ!という訳ではなく、開発業者が環境配慮をすることにより、例えば税金の免除や環境に
配慮した企業だという自治体からの表彰等の何らかのメリットがあれば、企業としての社会貢献の一つとしてキタサンショウウオを守れる部分もあるのではないかと。
太陽光発電施設の建設に関しては、昨年鶴居村では施設の建設にあたり景観や自然環境に配慮をもとめることができる様条例が作られています。
少しずつですが、良い方向にも進んでいます。 まだまだ課題は山積みですががんばらないと・・・と照井氏はおっしゃっていました。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1MqT7ZKWOj9rbwo0NiZV5S

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