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分類学からサンショウウオを考える(照井 滋晴編) [nature treasure]

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分類学とは、「生物を分類することを目的とした生物学の一分野であり、生物を様々な種類の特徴によって分類し、それらの種にどのような関係があるか調べ、
それを体系的にまとめ、生物多様性を理解するもの。」です。
要するに、あのサンショウウオとこのサンショウウオはとても似ているけれど、実は違うのでは?ということを、分布(どこに生息しているか)や形態的な特徴、
生活史、遺伝的特徴などの違いから明らかにしていたりしています。 その様な分類学的な研究の成果により、日本のサンショウウオについても似たような見た目だけれども実は何種類もいるのだということが段々と明らかにされてきました。
ちなみに、現在日本には2022年7月の時点では、在来のサンショウウオが全部で47種が確認されています。狭い国土の中にこれだけの種がいるのは世界的に見ても稀と。
なぜ狭い国土の中に47種ものサンショウウオがいるのか?という理由ですが、まず第一に日本が縦に長い国だというのが挙げられます。
その違いがサンショウウオの生態などにも影響し、その地域によって種が分かれていったと考えられます。 また、同じ地域であっても、低地から高山まで、河川から湿地
まで様々な環境があることも理由の一つです。 その他、地理的な歴史も関係しています。
サンショウウオの仲間は、人間が日本のあたりに入ってくるよりも、もっと昔から存在しています。 その頃は日本も今の形ではなく海も山も位置や形が違っていました。
ただし、47種もの種がいたという事が昔からわかっていたわけではありません。 今から約10年前の2013年には日本産のサンショウウオは24種といわれていました。
では、この10年ほどで、今まで誰にも見つかっていなかったサンショウウオが20種以上もこの狭い日本の中から見つかったということかというとそうではありません。
それは、2013年までに確認されていた種に複数の種が混ざっていたということが明らかになったということなのです。こういった種を「隠蔽種」というそうです。
実は、つい先日も関東方面に分布するサンショウウオで新しい種が発表されており、日本のサンショウウオはまだまだ増えていきそうな気配とおっしゃっていました。
では、北海道にいるエゾサンショウウオとキタサンショウウオは今後複数の種に分けられる可能性があるのかということも気になるのではないかと思います。
「私も気になったので、先日のシンポジウムの際に京都大学の西川さんに聞いてみたのですが、北海道にいるサンショウウオは分かれなさそうということでした。
とはいえ、もしかすると大雪の山奥や、釧路湿原の奥地には未知のサンショウウオがいるかもしれません。 自分では探しにいく気力がないので、
誰かが見つけてくれないかなと期待しています。 」
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/09zvoFDY7WZzMn6tj9HFB1

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