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サンショウウオの調査方法〜食べ物編(照井 滋晴編) [nature treasure]

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今回はキタサンショウウオが一体何を食べているのかをどの様に調査するのかについて。
ある生き物が何を食べているのかを知る事は、その生き物を守っていくためには非常に重要。
例えば、キタサンショウウオが絶滅寸前になり、人工繁殖で増やさないとすぐに絶滅してしまうという状況になった時、野外から捕まえてきても食べる餌がわからなければ飼育することができません。それに、捕まえてきた成体の餌がわかったとしても、その後生まれた幼生の餌がわからなければ次世代を育てることができません。
もちろん野外でも同じこと。キタサンショウウオの餌になる生物が減ってしまえば、キタサンショウウオ自体も減ってしまいます。
生物の調査をする時は、その生き物が何を食べるのかを必ず調査。 そのための調査方法はいくつか挙げることができるそうです。
まずは、直接観察法。野外で何を食べているかじっと観察して突き止めるという方法。 野外でも観察が容易な生き物であればこの方法が有効。
ただ、 キタサンショウウオのような生き物はそもそも見つけることが難しいので、野外で何を食べているか観察することなんかほぼ不可能。
その場合は、捕獲した個体に色々な餌を与えてみて食べるのかどうかを確かめるという方法もあるそうです。
ただ、それだと実際に野外でサンショウウオ自身が捕まえることができるのかどうか、好みなどはわかりません。 その為、直接観察法はあまり現実的ではないのです。
他に、糞を分解して内容物を調べる手法。調査対象の生き物の糞を分解することで、未消化のものを見つけ、何を食べたのか特定するというもの。
しかし、先ほどと同様、サンショウウオの場合、そもそも糞を見つけることができず、捕獲した個体が糞をしたとしてもほとんど消化されていて種の特定は非常に困難。
では、どうしたらいいのでしょうか?まだ胃の中にある未消化の餌を調べるという方法があるそうです。
解剖して胃の中身を取り出し調査する場合もあるそうですが、そうではなく、胃の中に残った餌を吐き出させて中身を確認。
スポイトに水を入れ、それをサンショウウオの口にくわえさせ、一気に水を流し込むことで、胃の中身を逆流させて吐き出させる・・・。
これがサンショウウオ自体を傷つけずに胃の中身を得る方法なのだそうです。
実際にサンショウウオの胃の中身を吐かせると、消化されにくい小さな巻貝や甲虫の欠片だけではなく、ダニやクモ、消化されやすいミミズ等も出てくるそう。
「その種類や割合、重量等を調査し、サンショウウオがどの時期に、どの様な餌を、どれ位食べているかを調べ保全対策に生かしていける様にデータを取集しています。」
この胃洗浄法と呼ばれる方法はサンショウウオに限った話ではなく、魚等でも使われていて、調査研究をする人間でなくても実施していたりもするそうです。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3pZ8VAueOm4Ek8xhvQPlF1

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