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みんなで考えよう海洋ゴミ問題 〜1(黒田 寛編) [fun science]

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3.jpg今回は「海ごみ」「海洋ごみ」の問題について。
最近、テレビ等でもこの問題がクローズアップされ、例えば、人間が海に捨てた漁網に絡まって死んだ
ウミガメや、大量のプラスチックを誤食して死んだ海鳥の映像などをご覧になり、多くの「海洋ごみ」が海にあるという事実をご存じの方も多いと思います。
ただ、釧路のように一見するときれいな海の近くで暮らしていると、身近に感じられない方も多いと思います。
一方、実際には「海洋ごみ」問題が着実に身近なところまで迫ってきているという事と、それぞれが知らず知らずの間に「海洋ごみ」を増やしている可能性がある事を知り、どうすればよいかを考える機会になればと・・・。
「海洋ごみ」は、海水の中を漂っているゴミ、海底に沈んだゴミ、砂浜等の海岸に漂着したゴミなどがあります。
さらに、「海洋ごみ」の種類、大きさ、素材は、様々。例えば、世界の海で年間、約800万トン
(例えるとジャンボジェット機 5万機分の重量)の「海洋ごみ」が海に流出しているそう。
これはとんでもない量で、WWFのHP等によると、このまま「海洋ごみ」の放出が続けば、2050年までにゴミの重量が魚の重量を上回ることが予想されているそうです。
日本の海岸に漂着したゴミ、日本中でどれほどの重量があるかイメージできるでしょうか?
平成26年度に環境省がまとめた調査報告書では、日本の海岸には31万トン〜58万トンの「海洋ごみ」が漂着していたと推算されています。
漂着ゴミの種類、重量TOP10では、おおよそ3割が木材(1位)、9位(靴)と10位(ガラス製食品容器)を除くと、2位以下はプラスチック製品で占められているそう。
また、漂着ゴミの個数TOP10では、3位の木材を除くと、1~10位までがプラスチック製品で占められていると。ちなみに個数TOP10の1位はボトルのキャップ・ふた。
このプラスチックゴミが「海洋ごみ」の問題をより複雑に難しくさせていると黒田氏。プラスチックは、戦後急速に普及し、身の回りにも溢れています。
例えば、平成28年度に環境省が海岸線に漂着したペットボトルの国別内訳を報告、道東の根室では、72%は日本語の印字があり、その他、ロシア語、韓国語、中国語の
印字されたものが根室まで流れてきていることがわかっているそう。
さらに、東南アジアの国々は「海洋プラスチックごみ」を発生する大きなソース、いわゆる汚染源になっていると考えられているとおっしゃっていました。
また、「海洋プラスチックごみ」のほとんどは、海で投棄されたゴミではなく、陸から川を通じて海に流出したゴミであると考えられています。
ですから、アジアの国々の陸から川に出るゴミを止めないことには「海洋ごみ」問題は解決しないのです。
また、使い捨てプラスチックの使用を全世界から全廃すれば全てがhappyになり、解決できる問題でもないのです。
というのも、綺麗な水道水がない飲料水を得られない人たちにとっては、ペットボトルの水は命をつなぐために不可欠であり、単純に、プラスチックを全廃すれば
良いわけではないという、非常に難しい問題です。
プラスチック自体は、体に有害ではないものもあります。非常に利便性の高い良い素材であることも間違いありません。
一方で、プラスチックに添加されている化合物、例えば、プラスチックの劣化を防ぐために混ぜられている素材、着色を防止するための素材、プラスチックの帯電を
防止する素材、このような化合物の中には人体に有害な成分が含まれています。
さらに、プラスチックは石油から作られたものなので、油分を吸着しやすい特徴があり、ゴミとして海を漂う間に、例えば、PCBという残留性有機汚染物質
(POPsと呼ばれる有害物質)が、プラスチックに吸着・濃縮されることもあるそうです。
無害あるいは有害なプラスチックゴミが海の中で、どんどん小さなプラスチックに砕かれて、もはや回収できないレベルの大きさになることで海を汚染し、
新たな生物、人類の脅威になるかもしれないという可能性が危惧されています。
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1Ga632jHa08s87ALec6Nwy

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