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海の環境を調査〜厚岸沖Aライン(黒田 寛編) [fun science]

00CTD.jpg 01CTD_船上モニター.jpg 02プランクトンネット_VMPS.jpg03船内研究室.jpg04キタオットセイ♂.jpg05イルカ.jpg
黒田氏は船に乗る事があります。海の環境調査が目的で、1回あたり10日から2週間ほど、年に数回。「船は、人との深い関わりや、未知との遭遇、人間ではどうすることもできない自然の力を実感したり、あるいは、自然の中で、突然の閃きがあったりするので止められません。」と。
彼が乗船する船は、長さが65m程、900トン程の船。通常の漁船と比べると圧倒的に大きな船です。
この船を使い、北海道の周辺、オホーツク海と太平洋が調査の対象とした調査を実施しているそうです。太平洋では、厚岸湾から南東沖に伸びる約500kmの
「Aライン」という直線、調査線上に、観測点を30点ほど設けて調査を実施していると。1987年から開始なので、現在35歳。親潮の状態を定期的にモニタリング
しているそうです。「モニタリング」とは「海の健康診断」。かなり地味な調査の様です。
①船から各種センサーを降ろす②海水をとる③各種ネットを曳いて動物プランクトンを採取する、3点セットで観測点を変えながら、同じ様な調査を
ひたすら繰り返す。そして、海の水温や塩分、海流などの物理環境、海の栄養状態(化学環境)を調べ、さらに、そこで生息する植物や動物プランクトンの種類や
密度を調べます。調査を行うことで、今年の海は、通常よりも親潮が弱いであるとか、栄養状態が良くないとか、魚の餌が足りていない可能性があるということを
把握できるのです。さらに35年という長い年月調査を続けてきたことで、例えば、温暖化や気候変動で、親潮周辺の環境は長期的にどのように変化してきたのか?
あるいは、今後、どのように海が変化していく可能性があるのか?等を調べ、社会に提供することができるようになるということ。
親潮を調査するための基本的なセンサーは、水温・塩分・圧力センサーと、蛍光センサー、溶存酸素センサー。親潮の流れはゆっくりですが、根の深い流れなので、
Aラインでは、海底直上か、水深3100mまでセンサーを降ろすそう。各種センサーは船上のパソコンとオンラインでつながれていて、パソコンのモニターで得られた情報をリアルタイムに表示させることができるそうです。さらに、センサーを最深部まで降ろして、引き揚げてくる時に海水を採取。
海水を目的別に分けた後は、その海水を濾過したり、薬品を入れて生き物が腐らないように暗所で保存したり、化学薬品で滴定したり、冷蔵・冷凍したりと、船内での作業が続くのです。さらに、動物プランクトンの種類や密度を調べるネット観測も行うそうで、次々に、サンプルが上がってきて、それらを処理する必要があるとおっしゃっていました。調査項目にもよるそうですが、一つの観測点で数時間~8時間くらい船を止めて調査。そして、調査が終わると1時間ほど移動し、
また、次の調査点で調査をするということを繰り返します。
「様々な生き物との遭遇もあります。魚が跳ねたり、珍しい海鳥や渡り鳥をみたり、イルカやクジラ、オットセイなどは船の近くに寄ってきて、踊ってくれたりすることもあります。さらに、夜の大海原は人工的な光がないので、月の明るさを実感したり、満天の星空はとにかく壮大。移動中に流れ星をみることもありますよ。」
※写真は黒田寛氏にお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/5L88ZaStPf6MYkU8sICVGA

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