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cheers to the poster. [close to you <art編>]

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北海道立帯広美術館の収蔵品の中から、お酒をテーマにした1800年代終わりから1940年代までのヨーロッパのポスターを取り上げた展覧会。
全部で13点。どれも同時の街を彩った大型のポスターで、デザインの面からみてもとても興味深いポスターばかりと・・・。
ポスターは、何か情報を伝達するもの。今回展示のポスターはほとんどが商品としてのお酒を扱ったものです。お酒の宣伝のためというのがが目的ですが、その時代のデザインの傾向を反映した多様な表現を見ることができるそうです。


敷田学芸員がが気になった作品を数点ご紹介いただきました。
1つは、ジョルジュ・ファーヴルによる「ティタン」というビールのポスター。白色とグラデーションのない赤、青、黄色という色の三原色を用いて、明快な形と色で構成された画面を作っています。画面の真ん中には赤い巨人(ティタン)。この巨人がビールジョッキを担いでいて、そのジョッキの側面にはポスターと同じ図柄がそのままラベルのように描かれていて、その中のジョッキにも同じように図柄が描かれ・・・と入れ子のようになっているのが、目を楽しませてくれると。
2つめは、クロード・ガドゥーの「ローマ軍」というワインのポスター。1920年代から30年代にかけてヨーロッパで非常に人気のあったアール・デコの様式で描かれています。ローマ軍とおぼしき3人の兵士が、直線と曲線によってシルエットのように簡略化され、ワインボトルを掲げた同じ姿で重なって描かれ、その3人はワインの3つの種類―赤、ロゼ、白の3種類の色でそれぞれ配色されており、その色がつくるグラデーションと相まって、非常にリズミカルな構成になっているそう。
3つめは、カッサンドルの「ボナル」というキナ酒の一種のポスター。中央にお酒を瓶から飲む人物が、直線と曲線でシルエットとして描かれています。その直線と曲線が非常によい形を作っていて、ストライプにグラデーションの掛かった背景に対して、画面にはっきりとしたリズム感と整然さを与えています。ポスターは、モティーフと文字のバランスも重要ですが、このポスターは、人物が文字の上に立つように配置され、さらにその影が文字に重なることで、画面に奥行きまで出しているとおっしゃっていました。
「お酒という嗜好品を宣伝するために、ただずばりお酒を描くのではなく、お酒を連想させるモティーフを選んだり、ユーモアあふれる図柄にしたり、色彩の効果を十分に活かしたり、画面を時に繊細に、時に大胆に構成したり・・・。その様な造形の感性は、いつみてもデザイン豊かさを示してくれると思います。ポスターの多様で多彩な表現をご覧いただくと同時に、日本では聞き慣れないものもあったりする、ヨーロッパのお酒の文化にも触れていただける展覧会だと思います。」
※尚、写真は北海道立帯広美術館 敷田弘子氏からお借りしました。
(ポスターに乾杯!は6/11まで北海道立帯広美術館で開催中です。)

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