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太陽光発電施設〜実際に根室に行ってみた(照井 滋晴編) [nature treasure]

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前回収録の後に根室の状況が気になり、実際に根室まで太陽光発電所の状況を見に行ってきたそうです。
一応事前に下調べをして。。。まず、資源エネルギー庁のHPで根室市の太陽光発電施設の件数の年変化をチェック。2014年4月時点では、家庭用の小さなサイズの太陽光をのぞくと、全部で16件の施設があり、そのうち1件がメガソーラーと呼ばれる大型の施設。そして、2022年12月時点では、全部で169件、そのうちメガソーラーも12件とどちらも10倍以上に急増。ちなみに、釧路市の2022年12月時点の件数は、573件(うちメガソーラー22件)なので、釧路市の方が圧倒的に件数は多いのですが、根室市もものすごいスピードで太陽光発電施設が増えているのがわかります。
さらに、根室市は太陽光発電と同じ再生可能エネルギーである風力発電施設の建設も急増、2014年4月時点では1件もなかった風力発電施設が、2022年12月には大小合わせて79件も建設されていることがわかったそうです。
「いざ根室へと向かったのですが、考えてみると10年ほど根室に行っていないことに気づきました。その頃の根室には太陽光発電施設も風力発電施設もまったく印象にはなかったのですが、今は至るところに太陽光発電のパネルや風力発電の風車があり、かなり驚きました。しかも、釧路とは違い太陽光発電施設単体ではなく太陽光発電施設の脇に小型風車が建っているハイブリッド型の施設がとても多いことにもびっくり。もっとも衝撃的だったのは、根室の町中から半島の先端方向に向かう途中、町中を過ぎてすぐに複数の沼があるきれいな海岸草原の景色が広がっていたはずが、けっこうな面積が太陽光発電施設になり、この地域の特徴的な景観の一部が失われていたことです。」私のそのあたりはしっていますが、とても素晴らしい異国情緒漂う場所です。
他にも貴重な高山植物の群落や希少な昆虫が生息している環境のすぐ近くまで太陽光や風車がきている場所もあったそうで、釧路湿原とは異なり根室では太陽光に加えて風力発電でも自然環境や動植物との軋轢が生まれてしまっているということが今回の訪問でよくわかったとおっしゃっていました。
根室では太陽光発電施設や風力発電施設だけではなく、歯舞湿原という湿原も見てきたそう。この湿原は、近年の研究成果で「ブランケット湿原」と言われるタイプの少し変わった湿原であることが明らかになった湿原。泥炭がブランケットのように地面を覆っていることからそう呼ばれているそうですが、このタイプの湿原が低標高地にあるというのはこの場所が国内で唯一、非常に貴重な湿原なのだそう。歯舞湿原がとても特徴的なのは、河川や海から水が流れ込むような場所ではないこと。歯舞湿原は中に河川が通っていないにも関わらず湿原を形成しています。 なぜかというと、とても冷涼な環境で、濃霧に覆われやすい湿った環境であったため、雨や雪をもとに河川がないにも関わらず湿原が形成されてきたと言われていると・・・。 貴重なのは湿原のタイプだけではなく、カラフトルリシジミという天然記念物の蝶やその他貴重な植物等も多く確認されています。歯舞湿原は、今年に入り根室市の天然記念物に指定されたそうです。さらに、民有地の一部は根室市が買い取っているそう。
「それまでは湿原の周辺地域は保護区ではなく、歯舞湿原の中にも民有地がそれなりの面積があったため、太陽光発電施設の乱立が進む可能性が懸念されていた場所だったそうですが、天然記念物に指定されたことで、今後は開発の波から守られていきます。今回の訪問で、新聞記事や公表されている数字から想像する以上の状況がみえ、また、釧路湿原域とは違う課題を抱えているという事もよくわかりました。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/2fOoTKgPo6P5UqJmmhVeZW

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