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ウチダザリガニと子供たち(照井 滋晴編) [nature treasure]

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今回はこの夏に照井氏が講師をした子どもたちとのイベントについて。春採湖に生息する特定外来生物ウチダザリガニに関するイベント。毎年釧路市が企画しています。まずは春採湖の湖岸で、子どもたちと一緒にウチダザリガニの防除体験。イベントの前日にウチダザリガニを捕獲するためのカゴ罠をいくつか仕掛けておき、それを子どもたちと一緒に引きあげていくというもの。暑いのが苦手なウチダザリガニとれなかったらどうしようという心配をよそに、多くはないもののある程度の数のウチダザリガニを捕獲することができたそうです。 そして、今年はいつもとは違うことをしたいということで、もう一段階踏み込んだ内容を加えたと・・・。
全国的によく行われるのは、捕獲したウチダザリガニを食べてみよう!というものなのですが、春採湖の場合は水質もそんなに良くなく心配があるので、食べるということはできません。 そこで、捕獲したウチダザリガニを解剖し、ウチダザリガニについてさらに詳しく学ぼうという内容をプラスすることしたそう。実は昔とは違い、今は生き物の解剖はかわいそうだとか気持ち悪い等の理由で避けられてしまうイメージがあるそうです。 そこで、解剖パートは全員参加にはせず希望者だけということに。 あまり参加してくれる子どもたちはいないかなと思っていたそうですが、多くの子どもたちが残ってくれたと嬉しそうに教えてくれました。
解剖パートでは、ウチダザリガニの体のつくりや雌雄の違いについて、いつもの学習会では説明しない部位にまで注目して詳しく話を・・・。 「子どもたちは気持ち悪がるどころか、細かいところまでしっかりと観察をしていてこちらが驚かされました。 そして、実はというと今回のこの解剖パートでは、ただ解剖するだけではなく、さらに特別なことをしてもらおうと考え、ウチダザリガニの体内に住んでいるある生き物の観察まで行いました。 」
その生き物というのは「ヒルミミズ」 世間的にもほとんど知られていない生き物で、研究している人間も日本中探しても片手で数えることができるくらいしかいないとてもマイナーな生き物。ザリガニとは切っても切れない縁のある生き物たそうデス。 そんな生物がいるのだということをぜひ子どもたちに知ってもらいたいと思い、札幌からわざわざ「ヒルミミズ」の研究している方を今回のイベントのためにお越しいただいたそう。 ヒルミミズは、ザリガニのどこに寄生しているのかというと、胴の部分の殻の中には呼吸のための鰓があり、そこにいることが多いとのこと。 そこで、ザリガニを解剖する際に、鰓も取り出し、その中にいるヒルミミズを探したのです。ウチダザリガニに寄生するヒルミミズは1mm~2mm程度の本当に小さい生物なので、肉眼で見つけることは困難で、顕微鏡を使って観察を行ったそうです。
「ヒルミミズというマイナーでかつ、うねうね動くような生き物は、子どもたちが嫌がるかなと思ったのですが、解剖と同様にそんなネガティブな反応もなく、とても真剣に観察していて、子どもによっては「かわいい」なんて感想もありました。 」それを聞いたヒルミミズの研究者は、なかなか言われない言葉に嬉しさ半分、驚き半分という感じで、イベントの講師をした私やヒルミミズの研究者の方が子どもたちから新しい気付きをもらった感じとおっしゃっていました。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/2ln8Xt2DqR8khRj5k16j5u

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