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今年のキタサンショウウオの繁殖期(照井 滋晴編) [nature treasure]

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今年の春のキタサンショウウオの様子について。 今時期は、もう彼らの繁殖期も終わり、非繁殖期に突入しています。非繁殖期は、主に陸上で生活していて、鳴きもせず、活発に動きもしない時期なのでその姿を見ることはほぼ不可能な時期。 キタサンショウウオの姿を見ようと思うと、やはりオスもメスも繁殖水域に集まり活発に活動する繁殖期が一番。その時期が調査をするにも忙しい時期になると照井氏。
今年の繁殖期はいつ頃からいつ頃までだったのかというと、始まりは3月20日前後。「例年と比べ早いスタートで、私が把握している範囲では、これまでで最も早い繁殖期のスタートでした。単純に地球温暖化の影響だとは言えませんが、だんだんスタートが早くなってきている印象はあります。 この春に、30年以上前に精力的にキタサンショウウオの調査研究をされていた方が釧路市にきて、生息地の案内などをさせてもらったのですが、昔と比べて繁殖期の開始が1週間以上早くなっていて本当に驚かれていました。」今年は、釧路湿原も広いので場所によって差があるのですが4月上旬までに多くの生息地で繁殖期が始まり、4月の下旬頃にはほとんど新しく産卵された卵嚢を見ることがなくなったと。 ただ、今年は繁殖期中にも繁殖期後にもそれなりの降水量の雨天があったため、産卵された卵嚢が日照り続きで干からびてしまったという問題が発生した生息地は少なかったという印象とおっしゃっていました。
孵化した幼生が変態し上陸するのが8月頃なのでまだまだ試練の時間は長いのです、まだ、油断はできません。 ちなみに今年の繁殖期は、2019年以来コロナ禍の影響で実施できていなかったキタサンショウウオの観察会を実施したそう。 実は開催日まで心配事があり、当日まで本当にドキドキだったと。観察会の当日にキタサンショウウオを観察できるのかどうか・・・。 生きものを相手にしているので、見ることができないということも十分にあり得るのですが、できるだけ観察できる可能性が高い日や場所で実施したい。 観察会は4月22日に開催することに一か月以上前に決定していたので、タイミングが悪そうだからといってずらすことはできません。今年はキタサンショウウオの繁殖期のスタートが早かったので、観察会の当日まで1か月ほどあり、繁殖期が終わってしまっている可能性が十分にあったのです。 結果的には、繁殖期のピークは越えてしまっていたものの、観察会に参加してくれた子どもたちにはキタサンショウウオの成体と青白く光る卵嚢を観察してもらうことができたそうです。産卵されたばかりの卵嚢があったり、多くの個体が水中で確認できるわけではなかったので、本当にギリギリだったなという感じだったとおっしゃっていました。
「観察会では、一つだけ悔しかったことがあり、キタサンショウウオを見ることができた瞬間の子どもたちの盛り上がりもすごかったのですが、同じ水域の中を鳴きながら泳いでいるエゾアカガエルがとても人気者で、もしかするとキタサンショウウオよりもカエルを見たり触れたりする方が盛り上がったのではないかという点です。」 キタサンショウウオを未来の子どもたちにも見てもらえるような環境を守っていくには、キタサンショウウオという生きものについて、たくさんの人たちに知っていただくことが大切だと思うので、知ってもらう機会になる観察会は来年以降も続けていきたいと照井氏。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/6uQ6kqC2EP63tGE9jJ77xB

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