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深海の温泉?海底熱水活動のこと(満澤 巨彦編) [varied experts]

写真1_沖縄トラフ伊是名海穴のブラックスモーカー.jpg写真2_小笠原諸島 海形海山の熱水活動域に生息するユノハナガニ.jpg写真3_北フィジー海盆のチムニー.jpg写真4_東太平洋海膨の熱水噴出とチューブワーム.jpg写真5_ケイマン海膨の熱水噴出.jpg
深海の温泉、海底熱水活動についてのお話しです。海底熱水活動は、海底の火山活動に起因し、海底から地下にしみ込んだ海水や岩石に含まれている水分が、
海底下で熱せられ熱水として海底から噴出あるいは湧出するという現象。特に熱水噴出孔と呼ばれる海底の穴や割れ目から勢いよく熱水が噴出し、チムニーと呼ばれる煙突を形成してその先端から熱水を勢いよく噴き出す映像はテレビ等でも見たことがある方がいらっしゃるはず・・・。
海底下で熱せられた海水に溶け込んだ鉱物成分が海底で噴き出す際に析出することで、中心が熱水の通り道となる煙突、チムニーやそれが崩れて高まりとなるマウンドなどが形成されるそうです。噴出する熱水の色も噴出した際に起きる化学反応で、透明なものから白色、灰色、真っ黒など様々な色になるそう。
陸上の温泉も温泉成分によって色や匂いなどに違いがあるのと同じで、その場所その場所で海底熱水活動にも違いがあるとのこと。
海底の熱水活動がはじめて見つかったのは、1977年南米のガラパゴス諸島の沖の東太平洋海膨(EPR)。発見したのは米国の研究グループ。
ディープトゥと呼ばれる、海底を撮影することができる曳航式の深海カメラを海底に降ろして熱水噴出孔周辺の生物群集の撮影に成功、米国ウッズホールの潜水調査船
「アルビン」で潜航して熱水活動を詳細に確認しました。熱水噴出孔周辺には、熱水活動に依存している様々な生き物、カニ・エビ・貝・チューブワームと呼ばれる
目も口も消化管もない不思議な生き物などが群生していることを発見。この事から、熱水活動域は「深海のオアシス」とも言われるそうです。
日本の周辺で最初に海底熱水活動が見つかったのは1986年、奄美大島から沖縄の島々、南西諸島の西側にある沖縄トラフの深海で「しんかい2000」で低温の熱水による
ゆらぎが確認されたのが最初。その後、周辺に高温の熱水活動域があるのではないかと、海底の探査が行われ、1988年に沖縄トラフの伊平屋海嶺の水深1380mで熱水噴出を確認。その後「しんかい2000」による潜航調査が行われたそうですが、満澤氏も潜航し、噴出している熱水の温度や海底の流れについて調査したそうです。
噴出している熱水の温度は220℃。深海は圧力が高いので、海水は100℃を超えても沸騰することはないのです。さらに、沖縄トラフの伊是名海穴と呼ばれる場所では
ブラックスモーカーが発見されました。ほぼ同時期に小笠原諸島、父島の北西にある海底火山の一つである海形海山でも熱水活動が発見されユノハナガニが見つかったと。
この様に80年代後半、日本周辺では、沖縄トラフ、伊豆小笠原の海底火山の複数の場所で熱水活動が確認され、海外ではグアム島の北側のマリアナトラフや
南太平洋北フィジー海盆、90年代以降には大西洋中央海嶺、東太平洋海膨、インド洋中央海嶺、ハワイ島沖やカリブ海のケイマン海膨などで海底熱水活動の調査航海が
実施されているそうです。満澤氏が直接調査に係わった熱水活動域は、沖縄トラフ、伊豆小笠原、マリアナトラフ、北フィジー海盆、東太平洋海膨、北米オレゴン沖の
ファン・デ・フカ海嶺。また、ケイマン海膨は世界最深、水深5000mで確認された熱水噴出で、その調査を2013年にニコニコ生放送によるライブ中継を実施。
「その時、私は広報担当でライブ中継に係わったことから、現場に行っていないのですが、特別な熱水活動域となっています。海底の熱水活動は海底の火山活動、つまり
プレートテクトニクスに起因していて、噴出している熱水の成分等を調べることで、海底下でどのような現象が起きているかを推測することができるのです。」
まさに、熱水は地球からの手紙と言えるかもしれないとおっしゃっていました。さらに、熱水活動域は、「深海のオアシス」と呼ばれたように、熱水に含まれる化学物質をエネルギー源とした生物群集が形成されています。太陽のエネルギーに依存しない生態系、そこには微生物が深く関わっていて、生命の起源となる可能性も示唆されているそう。生命の起源については地球外生命の研究にもつながっていて、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスでは氷の下で火山活動が起きている可能性があり、
氷の下で深海と同じ様に熱水活動がおきていると、そこには深海と同じような生態系が形成されている可能性があるそうです。
※尚、写真は JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左)は沖縄トラフ 伊是名海穴のブラックスモーカー
・写真上(真ん中)は小笠原諸島 海形海山の熱水活動域に生息するユノハナガニ
・写真上(右)は北フィジー海盆のチムニー
・写真下(左)は東太平洋海膨の熱水噴出とチューブワーム
・写真下(右)はケイマン海膨の熱水噴出(世界最深の熱水活動域、ニコニコ生放送で「しんかい6500」からライブ中継した熱水噴出)

2022.1216 O.A 「日本だよ〜」 [varied stories]

上村知弘さん(フォトグラファー&ガイド)
http://www.tntnaturecon.com/

今回はまだ時差ぼけがある中での収録。今まで同様skypeでの収録なので、カナダユーコンにいる時とあまり変わらない感じがしました。
ユーコンを出る前には氷点下30度も経験したそうで、小さな湖沼は凍って、アイスフィッシングを楽しむことができたそうです。ただ魚は釣れなかったみたいです。
おそらく氷の厚さも25cm以上はあったのでは?と。雪かきはほぼ毎日。すっかり冬ですね。
さて、日本に帰る前にバンクーバーに3泊ほど。奥様のタミーの実家があるのですが、彼らが到着した日に雪が降って交通が麻痺していたそう。
意外だったのですが、バンクーバーは冬でも暖かく、ほとんど雪が降らないそうです。ほぼプラスの気温で冬を過ごすそう。
ところが雪が降って、今、バンクーバーでは電気自動車Teslaが人気とのことですが、そのTeslaがあちらこちらで立ち往生していたそうです。
冬タイヤではなく、夏タイヤですから仕方のないことかもしれません。坂も多く、もちろん登れず、止まらず・・・通常30分で到着するところ、何時間もかかったり、
中には車中泊する方もいらしたとか。
さて、上村氏が東京についたのが、ちょうどサッカーワールドカップの日本対クロアチア戦の日。
日本橋でホテルを確保し、2時間の仮眠の後、バンクーバーから電話で予約していたスポーツバーへ。
すごいエネルギーです。通常はダーツを楽しんだり、ゴルフシュミレーションをしたりするところらしいのですが、特別なことがある時にはテレビ5~6台がフル稼働。
夜遅くまで熱い夜を過ごしたそうです。実はタミーのお父様がクロアチア人。同じところでテレビを見ていたら気まずい雰囲気になっていたかも・・・なんて。
今回は神戸中心に年末年始を過ごすそうです。ただ、釣りに行きたいと。
「日本は魚がバラエティ豊か。ブリとかアジとかメバルとか釣りたいです。」もうすでに予定はあるみたいです。
※写真は上村知弘氏からお借りしました。
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