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釧路湿原から考えてみる(黒田 理編) [varied experts]

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1967年7月6日は釧路湿原が国の天然記念物に指定された日。国立公園に指定されたのはその20年後。
釧路湿原のうち5000ヘクタールが天然記念物に指定されています。「先日、その中にある鶴居町のキラコタン岬というところに行ってきました。湿原の中なのに岬となぜ言うのかなと思っていたのですが、大昔はそこまで海になっていたとの事。立ち入りの許可を得ているガイドの方と一緒でないと入ることができません。」キラコタン岬は大手旅行代理店のパックツアーのコースにもなっていて、週末などは団体客もやってくるそうです。
思いもしなかったエゾフクロウに会えたり、ウグイスの鳴き声、エゾハルセミのさわやかな高音の鳴き声が心地よく響いていたと嬉しそうに教えてくださいました。キラコタンの高台の岬から、緑の湿地が見下ろし、その間を蛇行する川が光り輝いている光景に感動を覚えたそうです。タンチョウや鹿の姿も見たそうですが、普段から見慣れた動物であるにも関わらず、人の立ち入ることのできない湿原の中で鹿とタンチョウが仲良くのんびりと一緒にいる姿をみて、これが本来あるべき光景なのだろうと・・・そして、人と動物の関係はどうあるべきなのだろうかと考えさせられたとおっしゃっていました。
この他にも釧路湿原に関する取材をする機会があり、やはり人と他の生き物の関係を考えさせられましたと黒田氏。4月中旬の夜、住宅地に近い湿地に、キタサンショウウオの卵を見に行ったそうです。キタサンショウウオは国内では釧路湿原と北方領土の国後島といった極めて限られた場所でしか見つかっておらず、環境省が絶滅危惧種に指定している希少生物です。キタサンショウウオは湿地の中の池のような場所に卵を産みます。真っ暗闇の中で懐中電灯を当てると、透明感のある青色に光るものがあったと。長さ10cmあまり。キタサンショウウオの卵を包む卵のう。中に200個ほどの卵が入っているそうです。青白い卵のうは、色が宝石のサファイアに似ているので「湿原のサファイア」とも呼ばれています。
いま釧路湿原の周辺では太陽光発電所が乱立し、キタサンショウウオの生息地が脅かされていると聞いたて出かけたそうです。太陽光発電などの再生可能エネルギーは私たちの暮らしにますます重要になっていますが、あまりに無秩序に建てられるのも困ります。
その後、ヘリコプターで上空から湿原を見る機会もあったそう。「その季節の釧路湿原はまだ緑に覆われる前で茶色っぽく、毛細血管のように川が流れているのが見えました。その周辺のあちこちに真っ黒な太陽光発電パネルが規則正しくびっしりと並んでいました。ちょっと不気味な感じ。空からだとよくわかります。湿原を異物が浸食しているように映りました。」釧路湿原の国立公園周辺では大型の太陽光発電所、いわゆるメガソーラーが12施設建設され、埋め立て工事も行われています。さらに大規模な計画も持ち上がっています。このままではキタサンショウウオの生息が脅かされる、市がなんとか手を打つべきだという声は、自然保護関係者や研究者から上がっていました。その声を受けて釧路市もようやく動き出しました。7月1日から太陽光発電施設の建設を規制する指針、ガイドラインを施行。太陽光発電施設に「適当でないエリア」を示しました。キタサンショウウオやタンチョウ、チュウヒの生息地などです。そのようなエリアでは建設計画の中止や抜本的な見直しを求めています。ただ、このガイドラインには法的拘束力はないそう。
「湿原保護の取り組みは56年前の7月6日に湿原を天然記念物に指定した時に始まり、試行錯誤しながらもずっと続けてきました。湿原について考えることは、人と他の生き物の関係を考えることだとあらためて感じます。人が暮らす為には他の生き物との折り合いをつける必要があります。でも一方的に人の都合を押しつけ、他の生き物の領域を侵してきたのでは?という気がします。身近な湿原を・・身近だからこそしっかりと考える機会にしたいですね。」

2023.0707 O.A 「長距離列車XPTに乗ってみた! 」 [varied stories]

鈴木雅章さん(翻訳者・ライター)

ゴールドコーストに長距離列車で行ってきたよ〜と言う話題です。
息子さんの学校がスクールホリデー(冬休み)に入ったので、ゴールドコーストのサーファーズパラダイスに初めて長距離列車で行ってきたそうです。鈴木氏はオーストラリアに住んで20年以上。ただ長距離列車には一度も乗ったことがなかったとおっしゃっていました。
ちなみに・・・シドニーからゴールドコーストは、飛行機なら1時間20分、車ならセントラルコーストからなら770キロメートル、8時間あまり。 (ちなみに根室から函館まで車で660キロ、9時間くらい。)
シドニーからNSWトレインリンク(TrainLink)でクイーンズランド州ブリスベンまで行くことができるそうで、直行で14時間。
鈴木氏は、現在住んでいる場所近くのセントラルコーストのゴスフォード駅から乗ったそう。
午後4時発。ゴールドコーストのサーファーズパラダイスが目的地だったので、NSW州北部カシノまで長距離列車まで移動。そこまで10時間20分。夜中の2時半にカシノに到着。そこからコーチ(長距離バス)に乗り換えて2時間50分でサーファーズパラダイスに到着。それが朝の5時半。タクシーも走っていなかったので、そこからホテルまで歩いて15分。家を出てから約14時間。 聞いているだけでも大変そうな感じが伝わってきましたが・・・。
一番気になったのが、乗り心地。新幹線というよりは特急みたいな感じで、エコノミー、ファースト、寝台の3つに分かれているそう。「僕たちはファーストだったのですが、飛行機のファーストクラスとはわけが違いまして。。。エコノミーとの違いは座席のリクライニングの角度と座席の足のスペースの違いくらい。とにかくお尻が痛くてほとんど眠ることができなかったです。」と。
だいたい4~7両編成との事なので、それほど大きなものではないのでしょう。
ちなみに長距離列車はNSW TrainlinkのXPT(Express Passenger Trainの略)だそう。以前も長距離列車はあったそうですが、いまの形の新型車両XPTが導入されたのが1982年。これもかなり老朽化しているので、新しい車両を導入する計画のようです。
※写真は鈴木雅章氏からお借りしました。
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