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北極域研究船の建造(満澤 巨彦編) [varied experts]

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今回は、特に温暖化の影響を大きく受けている北極域を観測調査する船の建造が進んでいるというお話しです。
南極については、南極観測船「しらせ」が毎年、昭和基地への物資輸送やその航海で周辺の観測調査を行っていて、ご存じの方も多いと思います。一方、北極は日本では専用の観測船はありませんでした。かといって調査がされていないというわけではありません。JAMSTECで海洋地球観測船「みらい」が主に夏場、北極海に行き海洋や気象、大気の観測を行っているそうです。ただ「みらい」は耐氷船。砕氷船ではないので、海氷で覆われている場所での観測はできないのです。このため、北極関係の研究者からは大分前から砕氷能力のある研究船建造の要望がでていたそうですが、なかなか実現しなかったそうです。
さて、今建造中の北極域研究船、2年ぐらい前に設計等建造が始まり、2026年の就航を目指して、横浜の造船所で建造が始まっていると・・・。船の大きさは、全長が128m、幅は23m、総トン数は13000トン。JAMSTECでは「ちきゅう」についで2番目に大きな船とのこと。重要な要素となる砕氷能力は、厚さが1.2mの氷海を3.0ktの船速で連続砕氷ができるということです。
海洋の調査観測は海水を採取したり海底までの水温を測ったり、海底の生物や岩石の採取やカメラで海底を観察する場合など、同じ場所に泊まって作業することや、人が歩く速度より遅くゆっくりと移動する必要があるそう。この点が船長泣かせ。でも最近では同じ場所にとどまることができる定点船位保持の機能が向上しているとおっしゃっていました。ダイナミックポジショニングシステム、略してDPSとかDP。普通の船は前後に進むためのプロペラが後ろについていますが、船が横にも動けるようにスラスタと呼ばれる推進器を船の前側と場合によっては後ろ側にもつけて、前後左右の推力をうまく制御して同じ位置にとどまるようにする仕組みとのこと。JAMSTEの船では、飽和潜水の海域実験のために1985年に就航した「かいよう」に国産初のDPSが装備され、その後「新青丸」や「かいめい」「ちきゅう」に装備されているそうです。北極域研究船にもこのダイナミックポジショニングシステム、定点保持機能が装備されることになっているそう。
次に北極域研究船のミッションです。地球温暖化の影響は極域で大きく、特に北極海は温暖化の影響が顕著で、大きな変化がでています。急激に変化が進む北極域で、海洋観測、気象観測、生態系の調査、それぞれの相互関係や、過去の環境履歴やその変遷、また、氷海域の航行の安全性や経済効果、海氷の下の観測技術開発などが主なミッションとして掲げられているそうです。海洋観測では、海の中の水温や塩分、酸性化の指標となるpHを測るCTDと呼ばれる観測装置や深さ毎に海水を採水する採水器が装備され、これで、地球規模の深層循環の大元である北極海での冷たく重い海水の生成規模や状況、その変化の把握を期待しているとおっしゃっていました。
気象や大気の観測では雲の構造や雨や雪の状態などを観測するドップラーレーダーや高層の大気の状態を調べるラジオゾンデの放球システム、広い範囲の海氷状況の確認や安全確保のためのヘリポートも装備されるそうです。また、海底の生物や地形、地質を観察し採取する無人探査機や海氷の下を航行する航行型の無人探査機や海氷下の観測を目的とした水中ドローンも装備される予定と。さらに航行しながら海底地形や地磁気や重力を計測する最新の観測機器等も搭載される事になっているそう。
そして、海洋・地球観測を多角的に観測するための最新の機器が搭載される研究船なので、それらの装置を確実に運用するための船の運航や観測のプロ、観測技術者の協力が必要となります。「私自身は直接このプロジェクトには係わっていませんが、JAMSTECが長年培ってきた経験と実績が求められる国際的なプロジェクトを担う研究船になるので、これからも機会を見て建造状況などお伝えできればと思っています。」
※尚、写真・イラストは JAMSTEC 満澤巨彦氏からお借りしました。
・写真上(左)は北極域研究船の模型:全体、船首の下側の穴は横に移動する時に使うスラスタが格納されている。
・写真上(真ん中)は北極域研究船の模型:船首部分。
・写真上(右)は北極域研究船の模型:後部にはヘリポートがある。
・写真中(左)は北極域研究船の氷海域航行のイメージ
・写真中(右)は北極域研究船の氷海域航行時の横からのイメージ
・写真下は北極域研究船の砕氷航行のイメージ
参考:北極域研究船パンフレットPDF:https://www.jamstec.go.jp/parv/j/overview/pdf/parv_ja_202108.pdf
北極域研究プロジェクト紹介サイト:https://www.jamstec.go.jp/parv/j/
気象庁海氷域面積の長期変化傾向(北極域):https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/shindan/a_1/series_arctic/series_arctic.html

2023.1117 O.A 「阪神フィーバーとおでんの具」 [varied stories]

https://studio-cooper.jp/

プロ野球・日本シリーズは第7戦で阪神が勝ち、38年ぶりの日本一を決めました。やはりその話題から・・と思ったのですが、実はあまり興味がないそうで。。。
ただ大阪の街の中は大きな盛り上がりを見せたそうです。川に飛び込む人もいたそうです。警備もしっかりしていたそうですが、道頓堀川には37人が飛び込んだとか。怪我人はいなかったそうですが、検挙もされなかったそうです。もちろんセールも様々なところで開催されていて、ただ、開店前から並んでいないと・・・いわゆる並ぶ文化の方々でないと大変かも・・・と。「意外だったのは、日本一が2回目だったということ。38年前には実は僕も友達の法被を借りてにわかファンでメガフォンを持って応援していたんですよ〜。岡田監督が選手だった頃です。」興味ないとおっしゃっていましたが、意外と熱い想いが心の底にはあったりして・・・。
さて、寒くなると食べたくなるもの・・・全国共通だと思うのですが、お鍋がありますよね。おでんの具材に何を入れるのか?気になってお聞きしました。
石垣ではおでんに豚足を入れるというお話を耳にしたので、大阪は?と思った次第です。
「京風だし、基本はカツオと昆布。そこに大根、タコ、巾着・・・そうそうスジ肉はマストですね。変わったところではエビイモが入っていたり。子供の頃ですが、クジラのコロが入っていたことも。」
それ何でしょう?食感が変わっていて、ラジオの尻尾の脂とか皮みたいな感じとおっしゃっていたのですが、気になって調べてみました。
〜コロはクジラの皮下脂肪を鯨油で揚げたもの。 見た目は乾燥に見えますが揚げ物。 コロはコラーゲンたっぷりで、おでんにすると臭みがなく、おでんの汁を吸ってもちもちして、美味〜と載っていました。今でも出しているお店があったり、コロを真空パックにして販売しているお店もあるみたいです。
そして・・・もう一つ食べ物のお話。ガイドブックで目にした大阪寿司。箱寿司とありましたが、押し寿司ですね。木製の型にエビや魚の切り身と酢飯を重ねて詰め、押して四角い形に整える寿司のこと。大阪では明治時代にサバやアジなどを材料とした押し寿司が普及、その派生料理として日常のもてなしを目的にタイやエビ、アナゴの高級食材を用いた箱寿司が考案されたそうです。仕込みにかかる手間から提供店は減りつつあるそうですが、今もなお伝統技術と味は引き継がれているそうです。
「そういえば、昔はお店が商店街にはありましたね〜」
※写真は田伏伸次氏からお借りしました。
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