SSブログ

鳥インフル・講演会・クラファン・・(齊藤 慶輔編) [nature treasure]

IMG_8597.jpgIMG_8599.jpgIMG_8600.jpg
非常に疲れた様子でスタジオインの慶輔獣医。
「今年は異常だよ。毎日、鳥インフルエンザの検査に明け暮れている感じです。もちろん防護服をきて、息ができない感じの防護マスクをつけて・・・」
カモやカラスではなく、タンチョウにいきなり出たのが不思議。しかも道東・・・と。
いきなりクマタカ、タンチョウ、ハクチョウ等・・・こんなことは今までなかったとおっしゃっていました。
今後どう対処していくのか?検査と会議の連続だそうです。予防策がなかなか見つからない。一つには給餌方法をかえることも考えていらっしゃるそうですが・・・。
話は変わり、そのようなことを含めて大学の講演会で話しきたそうです。母校大学での講演でしたが、高校生もいらしたので、野生動物を相手にする獣医は、ただ治すだけではなく、それ相当の覚悟がいることを伝えていらしたそうです。
「今年もクラウドファンディングを始めました。今まで皆さんにご協力いただきたいと話していましたが、違うと思ったんです。協力ではなく皆さんにも参加してほしい!そう思っています。」
※写真は齋藤慶輔氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1fZFL0E1TT5jTn4xt8GFc7

マリモ研究情報〜マリモにとって理想的な水温環境〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

IMG_8552.jpgIMG_8553.jpg
今年の10月にマリモの最新研究成果が論文で公開されました。神戸大学、神戸大学附属病院、北見工業大学、釧路市教育委員会との共同研究でタイトルを和訳すると「巨大マリモの理想的な水温環境」
そこで分かったことは主に3つと。マリモは大きくなるほど成長が早くなること。水温が高くなるとマリモが痩せてしまうこと。そして、約35年前と比べてマリモの厚さが減った可能性があること。
まず、「マリモは大きくなるほど成長が早くなること」について。具体的には、直径5cmのマリモが10cmになるのと、直径15cmのマリモが20cmになるのを考えた場合、どちらも5cmの成長ですが、5cm〜10cmに成長するのは約6.6年に対し、15cm〜20cmに成長するのは約4,6年と、2年ほど早いと計算されたと・・・。
また、マリモの年齢を計算できるようになったそうです。例えば、直径5cmのマリモが0歳だとすると、直径20cmのマリモは14歳から18歳くらいであると計算できるとおっしゃっていました。
次に、「水温が高くなるとマリモが痩せてしまうこと」について。直径15cmのマリモを水槽に入れて、暗い場所に約290日間置き、水温はずっと測定。また、マリモは定期的に取り出して医療用のMRIで密度が減っているかどうか計測。そうすると、実験期間中にマリモの密度がどんどん減っていることが分かったそう。さらに、密度の減るスピードは積算水温と関係していることが分かったそうです。
そして、「約35年前と比べてマリモの厚さが減った可能性がある」について。積算水温が高いほどマリモが痩せるということが分かったので、約35年前のマリモ生育地の水温データから、当時のマリモの厚さを推定。その結果、約35年前のマリモは厚さが約4,7cmと計算されたのに対し、近年では厚さが約3.7cmと計算され、1cmほど厚さが減っている可能性が示された。約35年前の夏の最高水温は約23度、現在は25℃から27℃の間を推移していて、今年は27.5℃と非常に高かった。このような水温の違いが、マリモの厚さに現れている可能性が示されたということ。マリモは寒い場所が好きな生き物なのは分かっていたのですが、水温が上がるとどのような影響を受けるのかが具体的に明らかとなったのです。マリモは薄くなって密度が下がると、壊れやすくなったり、強風で打ち上がりやすくなったりします。温暖化の影響で今後も水温が上昇していくと、マリモにとっては厳しい環境になるかもしれないのです。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3DSf85Y1osUDn2itnD65Qf

about bec〜special version〜(齊藤 慶輔編) [nature treasure]

IMG_8462.jpgIMG_8463.jpgIMG_8465.jpgIMG_8466.jpgIMG_8469.jpgIMG_8470.jpgIMG_8474.jpgIMG_8478.jpgIMG_8484.jpg
今回は獣医と歯科医と歯科技工士のタッグを組んだお話し。
フランス語でくちばしの意味のbec。ベックは交通事故にあい、上のくちばしがなくなってしまったオジロワシです。
自分で餌を食べることができない。どうにかQOLを少しでもあげることができないかと当初はレジンでくちばしを作ってみたそうです。
日々使うものですから変化もし、動作によっては不都合も生じます。
そんな中相談なさったのが、慶輔獣医がご自身でお世話になっている歯科医。
そこからも挑戦は続き・・・今後もまだまだ続いていくのです。
※音声はこちら・・・

JICAで研修員と九州へ・・・(照井 滋晴編) [nature treasure]

1.jpg2.jpg3.jpg
長期出張のため、収録時現在は九州、熊本からの電話収録となりました。開発途上国への国際協力を行う組織JICAのが主催する研修にスタッフとして参加しているから。海外から日本に来ている研修員を引き連れて国内のいたるところで研修をしているのです。 照井氏の参加している研修のテーマは「湿地生態系における自然を活用した社会課題の解決」要するに、釧路湿原などの湿地を含む自然環境の持っている色々な機能を生かして気候変動対策や防災減災対策、生物多様性の保全などの社会的課題の解決に取り組みましょうということ。 多様な動植物が生息・生育している釧路湿原は、実は様々な機能を持っていて、私たちの生活を支えてくれています。 湿原に生える様々な植物は光合成をするので温室効果ガスである二酸化炭素を吸収して酸素を出してくれます。また、釧路湿原は冷涼な環境なので植物が枯れた後もなかなか分解されず積みあがっていきます。つまり、植物が体に蓄えた(温室効果ガスになる)炭素を空気中に放出せずにそのまま蓄えてくれるということ。これらの機能は、社会的な課題である温暖化の抑制、要するに気候変動対策に繋がるのです。また、釧路湿原はたいへん高い保水力を持っているので、大雨が降っても一時的に雨水をため込み、一気に下流へ流れ出すことを防いでいます。これは、湿原の持つ防災減災の一つの機能。
熊本県を含む九州各地では、近年、気候変動の影響と考えられる豪雨災害が頻発しています。 2020年には7月3日〜4日にかけて時間雨量30mmを超える激しい雨が降り続き、この豪雨により球磨川という河川流域では甚大な災害が発生。人々の生活に大きな爪痕を残し、3年たった今も復興工事が続いているところもあるそうです。そのような背景から、熊本県では近年「緑の流域治水」という新しい考え方で防災減災対策に取り組んでいると・・・。
「流域治水」ですが、 これまで日本では雨が降った場合、できるだけ早く河川の本流に水を集めて下流に流してしまおうという治水対策を行ってきました。近年は気候変動の影響もあり、一度に降る雨の量が増加する傾向に。これまでに整備していた河川堤防で想定していた流量を越え、堤防を越えて市街地に溢れて洪水被害をもたらすようになってきました。 そのため、今までのように河川区域に堤防やダムを建設したりするだけの対策ではなく、雨水が河川に流入する集水域から河川の氾濫によって浸水が想定される氾濫域も含めた流域全体で治水をしようという考えが「流域治水」。 熊本県では、この対策に環境的な視点を組み込み、環境保全にもつながる「緑の流域治水」という考えのもと、様々な取り組みを行っているそう。大雨が降った際にその水が一気に河川に流れ込まないように、水を貯留できるような環境を作る活動を行っている高校にお邪魔し、その様子を見学させていただいたそう。学校の校内に雨水を一時的にためることのできる環境を一から手作業で作る取り組みをしていたと。 緑のある庭園のようなものです。 そのような環境を「雨庭」といいます。 地上に降った雨水を下水道に直接放流することなく一時的に貯留させ、ゆっくりと地中に浸透させる構造を持っている緑を植栽した空間。 アスファルトなどに覆われた都市部では、地上に降った雨はほとんど地中に浸み込むことなく排水されていきます。そして、排水路を通った水は一気に集まり、排水能力を上回ると洪水を引き起こしてしまいます。 この「雨庭」を高校生たちが「緑の流域治水」や雨水の浸透について県内の大学の専門家とのワークショップを通して学び、自分たちで雨庭をつくる場所の選定やデザインを考えて校内に作っていたとおっしゃっていました。 高校生たちが作った雨庭には、降雨時に高校の屋上から排水される水をそのまま排水路に流さず、雨庭に流れ込むようにしたそう。効果を検証する実験を行った結果、2020年の豪雨災害の際と同等の雨が降っても、その水を貯留し、ゆっくり排出できる能力があることが分かったそうです。
また、 高校生たちは、現在「庭」を作ることができないような地域の民間企業の施設にプランター型雨庭を制作・設置する取組みも行っていて、民間企業、高校、専門家、行政などが協力体制を組み治水対策に取り組んでいるそうです。「 私たちの場合は、すぐそばにあたりまえの様に日本一の湿原があり、湿原が雨水を一時的に貯留してくれ、私たちの生活を守ってくれていることもあたりまえのように感じてしまっているところがありますよね。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1mOR0eIITWIdSTFWtnVcEx

野生動物の住むところ、人のすむところ(笹森 琴絵編) [nature treasure]

笹森1シャチ.png笹森2 ヒグマ.png笹森3   エゾシカ.png 
全国的にクマやエゾシカによる農業被害や想像もしない場所でばったり出会うことによる被害が相次いで報告されています。
酪農家はもちろん、自治体、科学者、ヒグマ対策の専門家、ハンターチームらが4年間追い続けた、オソ18の最期とその後の顛末をご存知でしょうか?釧路町の役人の方がオソとは知らずに駆除。首都圏に売られ、人間に食べられてしまった。あっけないその結末に驚いた方は多かったのではないでしょうか。
テレビでも各社が報道していましたが、笹森氏が色々と番組をみる中でNHKスペシャルを見て思ったことを教えてくださいました。オソの骨をみつけ分析。見えてきたのは・・・仮説にしても、あまりに深い闇。雑食であるヒグマが、放置されたエゾシカの肉を日常的に食べたことで肉食に偏り、エゾシカの代わりに牛を襲うようになったのでは?と。怪物と呼ばれたヒグマのオソ18の異常性は、そもそもは人間活動が野生動物の食性や行動をも変えてしまったことで生まれたのです。つまり怪物を生んだのは、人間に他ならないという話しです。オソはヒグマとして異常で、この一頭を駆除すれば解決と誰もが思っていました。ところが本質はもっと根源的で、オソにまつわる一連の問題は始まりに過ぎないかもしれない・・・そんな可能性が見えてきたということなのです。異常にみえる野生動物の行動の背景にあるものをみない対症療法をメインに続けている限り、この流れは止まらないかもしれないと・・・。
鯨類については、魚を食いつくす人間の敵呼ばわりされる場面もあります。「ただ個人的には、鯨だけが原因でイワシやサンマやイカがいなくなるという言い方は、少々偏っているのでは?と思います。」これらの実態、あるいは真偽を客観的に知ることは何より大切。ただ、野生動物に対する行動を起こす前に、なぜそうなったのかという背景も検証し、根本から正す・直すのでなければ、長い目で見ると別の問題が起きることが危惧されると笹森氏。「確かに、ヒグマ・シャチ・エゾシカ等から実際に被害に遭われている方にとっては死活問題。手っ取り早い解決手段としての駆除を否定はしません。でも、オソのハンターチームの1人が先の番組でもらしたように、第二第三のオソは必ず出てくる。いや、もう出ているかもしれないという言葉。狂った果実あるいは異常な個体を取り除いても、問題の本質が根元にあるなら、駆除では本当の意味での解決にはならないのです。」海の幸も山の幸も、そこでしか生きられない、その幸を作り出すために貢献、つまり生態系を構成している生き物たちのためにあります。彼らの食べ物を搾取しない事もこれからは双方のために必要。また、環境保全について学ぶ科目をしっかりとカリキュラムに加えることも必要とも。「鯨やイルカウォッチングも、末永く安定した事業を行いたいなら、こちら側にもそれ相応の節度が求められます。接近距離、観察時間、接近観察を行う対象につき、細かく厳しくルールを設定し、動物にストレスや危害を加えないこと。ザトウクジラが船にのしかかってきた、シャチが船を襲撃する、イルカスイム中に噛みつかれたり、水中に引きずり込まれたといった事故は、人間側の落ち度や過剰な行動が招いた事故、あるいは拒否反応と受け止めるべき。これらの全てが人間側に落ち度があるとはいえなくとも、動物の棲み処にお邪魔している側が行動を正すのが当たり前。配慮が行動につながれば、このような事故を未然に防ぎ、動物も安心して自然な行動や姿を見せてくれる・・はずです。」人間も地球に生きる動物の一部。野生動物たちが形づくる自然界に属し、依存し、生かされています。たとえ町で暮らす日常の中では実感はわかなくても、このような概念を持つ事が、自然を、そして私たちを救うことに、やがてはつながると笹森氏はおっしゃっていました。
※写真は笹森琴絵氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/04fjlZfXlFmhuJKskP0dQ4

高校の同窓生との時間(齊藤 慶輔編) [nature treasure]

差し替え分.jpgIMG_8386.jpg IMG_8387.jpg
初めて高校の同窓会に参加。色々と感じるものがあったそうです。
一人の人間齊藤慶輔として存在したかった・・・ということで、クラウドファンディング等はなさならなかったそうです。
「道東を中心に仕事をしていると、自分がどう知られているのかなんてわからないですよね。意外に認知されていたことに驚きました。」
テレビにもたくさん出演なさっていますし、CMでも扱われているので、もちろん全国区ですよね。
そう思っていないのはご本人だけかもしれません。
同窓会といえば・・・甘酸っぱいお話しもあると思いますよね?なのでズバリお聞きしてみました・・。
「えっ?まさかこんな展開になる〜〜〜〜〜〜?」とおっしゃっていましたが、もう少し深く追求したかったのですが、我慢しました。
「でも人間、そんなに変わらないものだな〜」って感じたそうです。このコーナーでは人間齊藤慶輔にこれからも迫りたいとあらためて思いました。
もちろんお仕事のお話も忘れずにお聞きします。
※写真は齋藤慶輔氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4cOR8f8DXxvFzyeu8vnzMq

マリモ研究情報〜健全なマリモとは?〜(尾山 洋一編) [nature treasure]

01.jpg 02.jpg 03.jpg
マリモが健全な状態というのは、具体的にどのような状態なのでしょう?
・大きいマリモが多い方が良い?小さいマリモが多い方が良い?
・マリモにとってどのような場所だと居心地がいいのだろうか(温度・光・底質)
・マリモは阿寒湖でどのくらい増えることができるのか?(環境収容力)
・硬いマリモがいいか、やわらかいマリモが良いか(比重で計測できるかも)
・壊れていてはだめなのか(特別天然記念物としては大きなマリモが大事だけど・・・)。
・マリモの「あるべき姿」とは何だろうか。
マリモのあるべき姿を知るにはどうしたら良いのでしょう?
・人がいない昔の状況を「あるべき姿」としようとしてもデータが無いので分からない。
・まずは現状を把握する。
・そのためにはマリモと生育地の状況(水温、水質など)を定期的に調査する。
・データを長期的に蓄積する。
・その得られたデータからマリモと生育地の状況との関係を調べる。
・マリモにとっての「あるべき状況」とは何かを知ることで、守っていくためにはどのような手段が適切かを理解できる。
※写真は尾山洋一氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/75pOEpYzZeBbl2uNgyq9ZV

キタサンショウウオはどうなったの?(照井 滋晴編) [nature treasure]

IMG_8161.jpgIMG_8162.jpg
今年の春は例年になく早い産卵開始、その後も雨が降ったので、繁殖期の間は水域の水が枯れる様なことなく、無事に繁殖期を終える事ができただろうというところまではお聞きしていました。 その後どうなったのでしょう?
実は6月末~7月初め頃に改めてキタサンショウウオの生息地を見て回ったそうですが、大変ショックなことに、十分にあった繁殖水域の水がほとんどなくなっていたと。場所によっては干上がって底の土が見えている場所もあったそう。 今年の4月は昨年と比べて約5倍にもなるたくさんの雨が降りました(148.0mm)。ただ、5月は昨年の3分の1程度しか(38.5mm)雨が降らず、6月も昨年の半分程度(77.0mm)の降水量。さらに7月、8月も昨年の半分程度の降水量しかなかったそうです。 その結果、キタサンショウウオの繁殖水域の水はすっかりなくなってしまったみたい。 6月~7月頃は、卵から孵化した幼生が繁殖水域の中で生活する時期。 そのため、この時期に雨が降らず繁殖水域が干上がってしまうとせっかく孵った幼生が死んでしまうことに・・・。「まさに今年は、幼生の時期に繁殖水域に行ってみたところ全然水がなく、幼生がほとんど見当たらなかったので、多くの幼生が死んでしまったのではないかと心配していました。」
本来であれば、8月頃には幼生はエラがなくなり、上陸し陸上生活を始めているはず。この時期以降にトラップによる捕獲調査を実施すれば少なからずその年に産まれた幼体が捕獲できるそう。 そこで、9月にトラップによる捕獲調査を実施し幼体が無事に上陸できているのか調査。 結果は・・・幼体は1個体も捕獲できなかったとおっしゃっていました。 ただ、幼体以外、例年になく多くの個体を捕獲することができたそうで、キタサンショウウオにとっては動きやすい気象条件だったのは間違いないのかなと照井氏。 「そんな良い条件が揃っていたにも関わらず、幼体の捕獲がゼロだったという事は、今年は卵から孵化した幼生があまり上陸することができなかったのだと想像できます。 もちろんその様な年は度々あり、今年の状況が悲惨だったから来年以降個体数が激減するということはないとは思います。」
10年以上寿命があり、繁殖できるほど成熟してからも何年も生き、何回も産卵するチャンスはあるので、何年かに1回繁殖が成功すれば個体群を維持できるそうです。
「上陸したばかりの幼体っていうのは頭が少し大きくて、とにかく可愛いんですよ。来年はたくさんの幼体を見たいなと願うばかりです。 」
実は調査前は他にも心配事があったそうです。今年はとにかく暑かった事。 冷涼な環境を好むキタサンショウウオにとってはあまりよくない気候だったのでは?と。湿原の中に入ってしまえば、植物もたくさんあるので炎天下にさらされる様なことはないのですが、例年以上に暑かったのは間違いないので、調査で個体が捕獲できるまでは本当に心配していたそうです。結果としては、例年以上の個体を確認することができたので一安心。「キタサンショウウオは越冬前にあたるこの時期が、餌もたくさん食べていて1番栄養状態が良くむちむちしているのですが、今年の秋に捕獲した成体もとてもいい感じにむちむちしてました。来年の春も元気に産卵してくれるだろうと期待しています。まずは、来年の繁殖時期に繁殖水域に十分な水が溜まる様、適度に雪と雨が降ってくれるよう願っています。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/0ipMELvBXDXorL0Kjim5hd

教育の現場としての海(笹森 琴絵編) [nature treasure]

笹森①.png 笹森②.png 笹森③.png
笹森氏の仕事あるいは活動は、海と海洋生物の素顔と現状を各地の住民や児童生徒、さらに、より多くの方々に伝えること。10年ほど前から非常勤講師を勤めてきた東海大学での役割も同様。今夏も札幌キャンパスの生物学部で鯨類について学ぶコースを選んだ学生や、全国に所在する附属高校の生徒が室蘭にやって来て行動を共にたそうです。大学生たちには、4月から鯨類や、北海道や噴火湾の鯨類と海洋環境について、調査の内容と意義などについて講義を通して知識を積み上げ、夏にその成果を現地(室蘭)で発揮してもらっているとおっしゃっていました。また、全国から集まった高校生らには室蘭で、笹森氏のレクチャーと現場見学に参加してもらったと。現地見学といっても自然が相手。海の状況により、乗船か水族館の見学か・・流動的。「時化ればそもそも海には出られないという現実もまた、海に関わる活動の難しさ。同時に、何があるかわからないという面白さでもあるので、その醍醐味も伝えられたらと思うのですが、船に乗ってイルカに遭うことを楽しみにしていた若者には酷ですね。時化た時に何をするのか?代替活動は、乗船よりも調整や準備がずっと大変で大切と笹森氏。「水族館、マリンパークニクスは30年近い付き合いで、いつも私の無茶な要求にもこたえるべく、バラエティー豊かなメニューと内容を用意してくれます。私の海活動にとっては、今や不可欠なパートナー的存在です。」以前は、釧路海でも、同様に学生実習をしていました。釧路での活動期間は2003年から、専門学校生の実習として始めたそうです。その後、乗船を希望する若者たちを可能な限り調査船に載せて、ダイナミックな釧路の海をまずは体感し、データをとり、それを元に釧路の海と生き物との関係性に光をあてようとしてきたのです。「釧路の海は様々な種が次々に姿を現すいわばクジラ銀座ですので、鯨類についてのデータはもう、てんこ盛りでした。」小型鯨類はもちろん、中型~大型鯨類、例えばナガスクジラ、ザトウクジラ、マッコウクジラ、シャチなどが現れます。どれか一種にでも会えたら嬉しいというレベルの花形種が次々と現れるので、調査で船を出した15年間は毎年驚きの連続だったと。
噴火湾では30年近く、釧路では15年以上、羅臼は10年ほど、北方四島は6年間など実にあちこちで海の生き物を見つめ続けてきた笹森氏。だからこそ、かつて知っていた、今もよく知る、近年の海の変化には敏感にならざるをえなく、時には底知れない怖さを感じてしまうこともあると・・・。
海の素晴らしさ、現状、課題、問題など、若者たちに伝えたい・知らせるべき事柄は枚挙にいとまがない、ただ、忘れてならないのは、海を活用すること=海に負担をかけるという現実。「現在のところ、私自身は、海に足を踏み込む機会は極力抑制的にと、自らを律しています。」
『地球沸騰の時代が来た』国連のグテーレス事務総長が最近になって発した警告。この言葉が決して大げさではないことを、この夏、私たちは身をもって知ったはず。異常が日常となってしまった感が強く、これをどうしたら止められるのか、元に戻ることはできるのか、日々不安はつきません。「若者たちが希望を持って環境を守る道を選び歩むことこそが、暴走する地球への強いブレーキとなると私は信じています。同時に、この非常事態を招いた大人の一人として責任の重さを深く胸に刻み、彼らにしっかりと寄り添うためにも、古い価値観は換えなくてはならないのだと覚悟し、その覚悟を実際に言動で表明していかなくてはと強く感じています。」
市民活動センターわっとで10月いっぱいにさかまた組の大型写真の展示。釧路市立博物館では、常時大型モニターで常時釧路の鯨類の紹介をしています。
「ぜひ、シャチがやってきている今この時期に、ご自分の町の目の前に広がる海を悠々と泳ぐ仲間たちの姿をご覧に、足をお運びください。」
※写真は笹森琴絵氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/59Ea177ulxQ1q9zXYjVtz3

天皇皇后両陛下との時間(齊藤 慶輔編) [nature treasure]

IMG_8151.jpgIMG_8152.jpg
IMG_8155.jpgIMG_8157.jpg
9月、全国豊かな海づくり大会の時に釧路にいらした天皇皇后両陛下が釧路湿原野生生物保護センターを訪問され、
その時に慶輔獣医は色々なお話しをなさったそうです。
台本も作成なさったそうですが、それは使うことなく、時間も延長しての充実した時間だったみたいです。
お話しをするというよりは、「伝える」ということに注力なさったそう。
今まで獣医がなさってきたこと。現状を含め、それは確かに伝わったのではないでしょうか。
たくさん質問をいただいたとおっしゃっていた獣医ですが、その中から一部だけですが、教えていただいた内容です。
というのは、慶輔獣医がSNSにアップした関連記事に関して、たくさんの質問を一般の方からいただいたそうで、今回はこの話題になりました。
※写真は齋藤慶輔氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/3FyO19uKkhzgp5gQgNcgkA