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express everything in life [close to you <art編>]

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藤原千也氏は現代立体空間作家。私にとっては巨木の中に入って黙々と木と対話し、制作なさる・・・そのイメージでした。
ところが今年2月に札幌で開催した作品展は今までとは少し違ったみたいです。
作品についてわかりやすい説明が彼の書かれた文章にありましたので、引用させていただきます。
・・・・・
僕の今回の作品は、いつも木の中に潜って掘っている内部をもっと間近に見たいと思ったことから始まりました。
斧や削岩機のようなものを使用して、手で剥ぎ取りながら現れたのは、強く繋がりあった命の叫びでした。
枝の出る手前の繊維が入り組み固まったコブは星の爆発のよう、伸びやかな繊維は滔々と流れ、天まで伸びた証。
小さく光り脈打つ、あてと呼ばれる枝の下は雪や風に耐えたり、いなしてきた証だろう。
至るところにある鋭く小さな突起は、枝の始まり。そのどれか一つでも欠けたらこの生命はここになかった。
作品と呼んでいるこの生命の全てをここに表したい。だから少しの間痛い思いをごめんなさい・・・と木に謝ったり願ったりしながら彫ってきました。
どうなっても良いので、今の全てを。そんな思いです。
母が4年前に、いつも木のことを教えてくれた隣の大工のおじいちゃんが、少年のような父が、制作に寄り添ってくれた犬が立て続けに他界しました。
そばで生きていてくれたのは、アトリエで転がり、切られてもなお、毎年小さな葉っぱを芽吹かせるポプラの木でした。
この生命にふれ、この生命の全てを讃えようと彫りはじめた時、僕はいつの間にか普通の日常を送れていたのです。
この木を、様々人に見てもらいたい。できるなら希望をもらって帰って欲しい。中心の光は、この巨木が生まれた時の光。
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ポプラの木を彫れて、本当に嬉しい。。ものすごい偉大なペットと一緒にいるような感覚です。小さい頃に見た、自宅近くの公園に聳え立つポプラ並木。
ものすごい迫力で、でもすごく動物的というか、可愛らしくて、獰猛で、不細工で、かっこいい、まさか今、こんな木を彫れているなんて・・・ああ。幸せです。
※尚、写真は藤原千也氏からお借りしました。
(作品「given」は2023年4月から北海道科学大学高校の学校の校舎に設置されています。)

2023.0419 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏 [close to you <dr.編>]

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今回は、南海トラフを想定した大規模災害や異常気象・地震に伴う根釧地区の災害対策として3月18日に行われた訓練についてのお話しです。
土曜日の早朝1時に釧路沖地震が起こり、夜間に釧路市全域が津波被害に遭遇したことを想定。
釧路市のハザードマップに従い、浸水地域の被害状況を想定し、全道各地の医療施設からDMATが実働しました。
災害時医療チーム(DMAT)隊が緊急車両で出動し、釧路市立高等看護学院体育館に集結。
(参加DMATチームの編成病院リスト)名寄市立・北見日赤・帯広厚生・市立札幌・苫小牧市立・
函館市立・製鉄室蘭・札幌医科大学病院・北海道医療センター・小樽市立・苫小牧王子・旭川医大病院・富良野協会・手稲渓仁会・深川市立・旭川赤十字・
釧路赤十字病院・・・とかなり大掛かりな訓練です。
このチームは、医師・看護師はもとより、薬剤師・臨床工学技士・事務部門で構成する災害医療のチーム。実際の災害を想定し出動したそうです。
そこでは、釧路市内の医療機関・介護施設・避難所の想定と津波被害の把握を行いつつ、災害対策本部に集結し、市立釧路総合病院のDMATチームは本部運営と
救助されてきた外傷患者さんを診療開始。さらに、遠隔搬送が必要な患者さんの搬送ルートを検討し、救急麻酔科のチーム別隊が釧路空港に展開したそう。
ここに、厚生労働省から派遣されたDMATのナショナルチームが合流し、災害対策が適正かどうかを検証したとのこと。
「災害時は、各病院が被害により壊滅状態にある時には、どの程度の被害か、職員の確認、災害救助の状況などをすぐにネットワークや衛星電話でDMAT本部に
連絡することになっていますが、一瞬にして災害によってダウンしてしまった病院からは、そのような緊急連絡自体が発信されないという現象が起こるそうです。
今回も浸水・壊滅した病院や施設の状況を把握するため、緊急連絡自体が発信されていない根釧地区の施設には、集結した遠隔DMATチームが分担して、現地に赴き、
調査・情報収集を行いました。」とおっしゃっていました。
さらに、津波に襲来されると、浸水地域は水が引いた後も道路に瓦礫が散乱し、通行不能の状況となるため、海岸線から前線基地までの間の道路をセンターライン沿いに
1車線のみ確保して、交通を確保するという作業を道路事業や北海道開発局などの国交省の職員が他の災害事例を参考に浸水状況を想定したそう。
「意外だったのは・・・津波の浸水エリアが市立病院の周囲の春採湖や釧路川流域に広がるため、陸の孤島となる可能性があり、釧路空港までの道路が釧路外環道路以外
通行が出来なくなる場合、他の地域に被災者を広域搬送するルートをどう確保するか、という医療以外の考え方を十分考慮せねばならない点でした。場合によっては
釧路外環道路が使えず浸水被害がひどい場合、釧路町の沿岸を経由して、標茶経由で中標津空港方面へ患者移送をしなければならない可能性があるという話も・・・。」
この訓練を通じて、実際に災害が起こった場合にどう動くべきか、或いは動かない方が良いのか、など日頃から危機意識を持って道路を見るようになったと。
各病院に勤務する職員も時間帯によっては災害の影響で登院できない場合も考えられ、災害救助に従事する職員の安全確保も大きなテーマともおっしゃっていました。
災害医療は、医療従事者だけが活動をしようとしても通信手段や物資の供給、移動手段や経路の確保など医療以外をサポートする職種(DMATロジスティクス)が
いなければ成り立たないそう。各施設で経験を積んだロジスティクスが今回のDMAT災害実働訓練でも活躍なさっていたそうです。