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2023.1026 O.A 邦楽 [chord 5]

・満ち汐のロマンス / EGO-WRAPPIN'
・くちばしにチェリー / EGO-WRAPPIN'
・PARANOIA / EGO-WRAPPIN'
・A Love Song / EGO-WRAPPIN'
・色彩のブルース / EGO-WRAPPIN'
~今回は邦楽一般。EGO-WRAPPIN' 特集です。
セレクトは村田氏。今回の出演は、村田氏とmidoriでお送りします。

サンマ不漁要因の仮説:サンマ、負の連鎖に陥る(黒田 寛編) [fun science]

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今年4月に黒田氏の所属する水産研究・教育機構から「サンマの不漁要因解明に関する」調査・研究の進捗という資料が公表されました。今回はその内容をご紹介。
まず、サンマの漁獲量は2010年に突然減少。その要因の一つとして、サンマの分布が2010年に突然、東に移動したこと。サンマ棒受け網漁が開始される6-7月のサンマの分布を調査すると、日本近海~東経165°に分布するサンマが2010年に突然消えたのです。2009年まではたくさんいたにも関わらず。この原因は未だわかっていないそう。6-7月の日本近海~東経165°に分布する1歳のサンマは、その後、成長して西側に回遊し、かつては8-9月の道東沖で漁獲されていたため、2010年の8-9月に行われる道東沖のサンマ漁にまず影響が現れたと。
次にサンマの餌について。サンマは動物プランクトンを食べるのですが、実は、サンマの食べる動物プランクトンは日本近海、特に、釧路沖などの親潮域にはたくさん生息。厳密にはかつてはたくさんいたそう。一方、日本から離れた東の海域には餌となる動物プランクトンが少ないという特徴があるそうです。
ですから、2010年以降の6-7月の日本近海に分布するサンマが消えた事でサンマは悪い餌環境で生活することに・・・。それに加え、2010年以降、サンマの餌となる動物プランクトンがサンマの生息する海域で減少する傾向があり、最近年のサンマは「泣きっ面に蜂」状態の餌不足。さらにこの餌不足で、サンマの成長が低下。
問題はこれだけでは終わりません。サンマの成長が遅れるとサンマの西側への(日本近海への)回遊が遅れます。回遊が遅れるということは日本周辺でのサンマの漁期が遅れるということを意味していると。ですから、最近年の8-9月は、サンマが回遊を始める前の公海に漁船を走らせてサンマを捕りに行く(サンマを迎えに行く)という状況。しかも西側へ回遊する前のサンマは痩せています。そもそもサンマが西側へ回遊するのは産卵することが目的なので、西側へ回遊する前に、サンマは餌をたくさん食べて太って産卵への準備を整えている段階。このような成長と回遊の遅れのために、最近年では10月くらいになり、やっと日本周辺にサンマが回遊してきます。しかし、魚群の中心は日本周辺の公海に近づいてくる程度で道東や三陸沿岸にはほとんど回遊しません。
道東沿岸に分布するマイワシの存在や、2010年代以降の夏秋に弱まり続けている親潮に原因があると考えられていると黒田氏。調査結果としてマイワシとサンマは同じ場所にはほとんど分布しません。サンマがマイワシを避けている、あるいは、マイワシがサンマがかつていた水温帯を占拠しているという事実。そして、秋の道東沿岸にはマイワシがたくさんいて、サンマはそれを避ける=沖を南下すると考えられているとおっしゃっていました。
道東や三陸沿岸を避けて南下するもう一つの理由としては、本来、親潮が運ぶ冷たい水を追いかけるようにサンマが南下回遊してくるはず。ただ、親潮が弱いので親潮が運ぶ冷たい水も道東から三陸沿岸に南下・分布しづらい状況で、最近年のサンマは暖かい水を避けるように、沖の公海を南下せざるを得ない状況が続いているそう。
さらに問題は続きます。サンマは冬の日本南岸沖の黒潮域で卵を産みたいのですが、サンマが秋に道東のはるか沖の公海を南下すると、冬の日本南岸沖の黒潮域にたどり着きにくい状況が・・。すると、日本から東に離れた黒潮域で卵を産まざるを得ないことになります。
さらに生まれた卵は、黒潮続流と呼ばれる東向きの強い流れで東へ東へ流される。その結果、日本南岸沖の黒潮域で産まれた卵以上に東に東に流されてしまう事に。「日本のはるか東の海域は日本近海に比べてサンマの餌条件が良くありません。これが成長の悪化につながり、成長が悪いと西側への回遊が遅れてしまい、親潮も弱いので日本沿岸に沿って南下できず沖を南下。卵を産むのは日本南岸沖の黒潮ではなく東の黒潮続流で、東に流れすぎたサンマは餌条件の悪い日本のはるか東で暮らすことになり・・・という繰り返し。このような負の連鎖が続いているというのが、現在、サンマの研究者が考えるサンマ不漁要因の仮説になるのです。」
いずれにしても、どこかのタイミングで、現在の負のスパイラルを抜け出す必要があるので、その時までサンマを乱獲しないことが必要。かつて、1969年に日本のサンマ漁獲量が一気に落ち込み、その5年後に急激なV字回復をみせたという事例も。今は、サンマ資源が枯渇しないように、大切に利用する(消費者は大切に食べる)ということが必要な状況ですとおっしゃっていました。「気候変動がサンマ資源に影響していることは間違いありませんが、気候変動が水産資源や漁業に与える影響は複合的で複雑、かつ、負の連鎖的に生じるという特徴があり、このような教訓を地球はサンマを通じて私たちに教えてくれているのかもしれません。」
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1ezfKDTfS1AFzqTHSSsn0r

キタサンショウウオはどうなったの?(照井 滋晴編) [nature treasure]

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今年の春は例年になく早い産卵開始、その後も雨が降ったので、繁殖期の間は水域の水が枯れる様なことなく、無事に繁殖期を終える事ができただろうというところまではお聞きしていました。 その後どうなったのでしょう?
実は6月末~7月初め頃に改めてキタサンショウウオの生息地を見て回ったそうですが、大変ショックなことに、十分にあった繁殖水域の水がほとんどなくなっていたと。場所によっては干上がって底の土が見えている場所もあったそう。 今年の4月は昨年と比べて約5倍にもなるたくさんの雨が降りました(148.0mm)。ただ、5月は昨年の3分の1程度しか(38.5mm)雨が降らず、6月も昨年の半分程度(77.0mm)の降水量。さらに7月、8月も昨年の半分程度の降水量しかなかったそうです。 その結果、キタサンショウウオの繁殖水域の水はすっかりなくなってしまったみたい。 6月~7月頃は、卵から孵化した幼生が繁殖水域の中で生活する時期。 そのため、この時期に雨が降らず繁殖水域が干上がってしまうとせっかく孵った幼生が死んでしまうことに・・・。「まさに今年は、幼生の時期に繁殖水域に行ってみたところ全然水がなく、幼生がほとんど見当たらなかったので、多くの幼生が死んでしまったのではないかと心配していました。」
本来であれば、8月頃には幼生はエラがなくなり、上陸し陸上生活を始めているはず。この時期以降にトラップによる捕獲調査を実施すれば少なからずその年に産まれた幼体が捕獲できるそう。 そこで、9月にトラップによる捕獲調査を実施し幼体が無事に上陸できているのか調査。 結果は・・・幼体は1個体も捕獲できなかったとおっしゃっていました。 ただ、幼体以外、例年になく多くの個体を捕獲することができたそうで、キタサンショウウオにとっては動きやすい気象条件だったのは間違いないのかなと照井氏。 「そんな良い条件が揃っていたにも関わらず、幼体の捕獲がゼロだったという事は、今年は卵から孵化した幼生があまり上陸することができなかったのだと想像できます。 もちろんその様な年は度々あり、今年の状況が悲惨だったから来年以降個体数が激減するということはないとは思います。」
10年以上寿命があり、繁殖できるほど成熟してからも何年も生き、何回も産卵するチャンスはあるので、何年かに1回繁殖が成功すれば個体群を維持できるそうです。
「上陸したばかりの幼体っていうのは頭が少し大きくて、とにかく可愛いんですよ。来年はたくさんの幼体を見たいなと願うばかりです。 」
実は調査前は他にも心配事があったそうです。今年はとにかく暑かった事。 冷涼な環境を好むキタサンショウウオにとってはあまりよくない気候だったのでは?と。湿原の中に入ってしまえば、植物もたくさんあるので炎天下にさらされる様なことはないのですが、例年以上に暑かったのは間違いないので、調査で個体が捕獲できるまでは本当に心配していたそうです。結果としては、例年以上の個体を確認することができたので一安心。「キタサンショウウオは越冬前にあたるこの時期が、餌もたくさん食べていて1番栄養状態が良くむちむちしているのですが、今年の秋に捕獲した成体もとてもいい感じにむちむちしてました。来年の春も元気に産卵してくれるだろうと期待しています。まずは、来年の繁殖時期に繁殖水域に十分な水が溜まる様、適度に雪と雨が降ってくれるよう願っています。」
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/0ipMELvBXDXorL0Kjim5hd