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釧路のことあれこれ(黒田 理編) [varied experts]

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釧路にいらして1年が過ぎた黒田氏。釧路で暮らしていて、釧路の方達からよく聞く言葉があると・・。「釧路はなにもない」。
先日も北海道新聞の記事の中に見つけたと。20年間続いた夕刊の地方面『どどんと』という欄が朝刊に移るのに合わせ、振り返る連載記事が掲載されました。そこで見つけたそう。釧路で生まれ育った記者は学生時代、釧路は何もないと思っていたそうです。ところが、取材で多くの人に会うようになり釧路の魅力を教えてもらい考えが変わっていったそう。たとえば、避暑のために毎夏、釧路を訪れていた愛知県の画家の方との出会い。その方がご自身の目で見た釧路は『フランスの地方都市のような趣がある。なにもないことはない。素敵な風景があるじゃない』。この記者は、通勤で毎日見ている景色が、こんなに魅力的に見えるのかと衝撃を受け、いかに自分が故郷をきちんと見てこなかったのかを反省したそうです。
先日、釧路にいらした黒田氏の知人をヒアガーデンに案内したそう。その人はロンドンに長く暮らしていたのそうですが、弊舞橋から河岸にテントを張り、にぎわっている様子を見て『テムズ河みたいだ』と懐かしがっていたそうです。
10年以上前の全国に釧路をPRする大型ポスターを制作したという記事をご覧になった黒田氏。人々がつぶやく吹き出しがいくつかあり、『何もない街』から始まり『カニやら魚やら美味いモノいっぱい』と魅力を語ります。中には『ゴキブリもいない』という『ないこと』を売りにしたものも。
「釧路の人は実は『なにもない』と言って、本当にはそう思っていないんじゃないかと感じるのです。『魚はおいしいじゃない』『湿原みたいな自然はほかにはないよ』という答えを待っているんじゃないかなという気がしています。どうでしょうか。」
昔の映画とか小説等を読むと、確かに違う釧路があると・・・。「1984年の『男はつらいよ』の33作目『夜霧にむせぶ寅次郎』を見ると、釧路駅前から弊舞橋までの景色がいまと全然違います。40年前、たしかにデパートも映画館もなんでもあったんだと思います。北大通は、人と人の肩がぶつかったというのも本当だと思いました。また、原田康子さんの有名な小説『挽歌』を読むと、もっと時代の流れを感じますよね。1956年の作品。冒頭のほうにこんなくだりがあります。〜繁華街のほうから街のざわめきがきこえてくる。自動車のクラクション、街頭放送のアナウンス、なにかの音楽、通行人たちの足音と会話と衣ずれ。それらの音が全部溶け合い、重なり合った街のざわめきがきこえてくる。あるいは…。街はにぎやかであった。高い百貨店の陰の道路に、風船売りや花屋の車がたくさん並んでいた…(中略)…百貨店の前の停留所からバスに乗り込む。次々とくるバスの車体には行先が書いてあった…〜。目に浮かんでくる風景は、いまの北大通や末広のものとは違いますよね。そういう景色と比べて『釧路はなにもない』『なくなった』というのかもしれませんが、実は釧路の人は心のどこかで、そんなことはないと思っているような気がするんです。」と黒田氏。黒田氏は釧路に来るまで12回、転勤。色々なまちに住み、そこの暮らしぶりを知っているつもり・・・と。その中でも釧路は印象に残るまち、大好きなまちとおっしゃっていました。廃墟ビルや廃墟のような飲み屋街は困りものだなとは思うそうですが、それでもどことなく情緒があると。
「実は私、会社を退職するので、今回の収録が最後になります。近く釧路を離れます。残念だなと思います。でもまた戻ってきたいと思っています。」
短いおつきあいでしたが、とても興味深いお話しをたくさんお聞きすることができました。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

2023.1006 O.A 登録有形文化財〜銀座ライオンビル [varied stories]

菊田真寛さん(会社役員)

今回は、登録文化財の一つ。菊田氏曰く、ある意味、有名で、ある飲み物の聖地ではないかと思っているビールに関する話題です。ただ、ビールのお話だけではなく、ビヤホールのお話しと。
令和3年11月登録有形文化財の建造物で、文部科学大臣に答申され、決定された銀座7丁目に建つ銀座ライオンビル。戦前から営業を続ける我が国ビヤホールの一大傑作と言われているそうです。現存する日本最古のビヤホールで、1934年、昭和9年4月大日本麦酒の本社ビルとして竣工した「銀座ライオンビル」1階にビヤホールが開店されたそう。ビヤホールの内装は、当時としては贅をつくし、工夫を凝らした造りになっていて、建築家などから賞賛を集めたと・・・。
店内は『豊穣と収穫』をコンセプトに大麦やぶどうをモチーフとして装飾が施されていて、誰もがゆったりと生ビールを楽しむという雰囲気があるそうです。この建物は、戦時中空襲を免れて、90年ほどの歴史ある建物であることが、中に入ってつくづく感じたそうです。「圧巻なのは、我が国初めてらしいですが、すべて日本人が制作したガラスモザイクを使った、入って正面にある大壁画です。ビール麦の収穫に働く婦人たちを描いたもので、縦2.75m、横5.75mのものすごいい大きな壁画です。お店の左右の壁にも同じような壁画が飾られていて、改めて歴史を感じることができます。」
続いて、ビールのお話し。この銀座ライオンの生ビールにもこだわりがあるそうです。ビールグラスへのビールの注ぎ方にこだわりと伝統を受け継いだ技があると・・・。飲食店で一般的に使用しているビールサーバーは、ビールの液体と泡を別々に抽出するタイプ。注ぎ方は、最初のビールの液体を注いでから、最後に作った泡をのせます。ところが銀座ライオンで使用しているビールサーバーは仕組みが違い、『注ぎながら泡を作る』という注ぎ方にこだわっているとのこと。これが、伝統に『一度注ぎ』というそうです。まず、グラスやジョッキを11度から12度に傾け、抽出口から勢いよく出るビールをグラスの内側面で静かに受けて、左回りの渦を作るそうです。この瞬間、細かな泡が広がって液体内は白っぽくなるそう。グラスをビールで満たし、渦の回転がゆっくりになると、液体内に広がっていた泡がビールの表面に上がり、ふんわりとした泡の層が出来上がる。注ぎながら、ビールをグラスの中で回転させることで、余分な炭酸ガスを抜き、雑味を泡に閉じ込め、すっきりとしたのど越しと苦味の少ないビールに仕上がることができるそうです。「これが、美味しいんです。いくらでも?飲めてしまうのです。総席数は280席。ワイワイガヤガヤ、外よりも、むしろ店の中の方がうるさいかもしれませんが、それがいいんですよ。行った日は満席でした。」
そして、ビールといえば、ソーセージ。他に鶏のから揚げ、プレッツエル(ドイツの焼き菓子パン)、昔ながらのスパゲッティナポリタンなどなど、メニューをみるとどれも食べたくなり、注文しちゃいましたと菊田氏。
「銀座の中央通りに面したお店で飲むビールは最高でしたね。歴史を感じながら最高のビールを頂く、最高の一日でした。」
※写真は菊田真寛氏からお借りしました。
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