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ストーリーからおう〜1月の鶴亀(中西 紗織編) [varied experts]

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4.jpg今回は《鶴亀》。観世流の謡曲季節表では「正月」の能として取り上げられていて、大変おめでたい内容。
シテは皇帝。この皇帝は数々の戦に勝ち、とても強く、おそらく人徳も高く、国を治めることにもたけた皇帝なのでしょう。
人々が平和に豊かに幸せに暮らす世が続いているので、鶴と亀の神様のような存在が出てきて皇帝に長寿をさずけます。
豊かで平和な世がずっと続いていってほしいという願いはいつの世にも普遍的なもの、この能にもその様な思いが込められているのでしょう。現行の能では一番詞章の短い曲。謡だけ謡うなら一番短い曲ですが、能としてフルに演じると、
鶴と亀の《中ノ舞》と皇帝の《楽》という舞もあるので、それなりの長さの能となります。
能《鶴亀》・・・作者 不詳
登場人物・・・・・シテ:皇帝 ツレ:鶴、亀
         ワキ:大臣 ワキツレ:従臣 アイ:官人
場所・・・・・唐土
季節・・・・・正月(観世流謡曲季節表より)(曲柄 初番目)    
●作り物が運ばれる:一畳台の上に引たて立大宮。囃子方と地謡方が着座すると、後見が一畳台を舞台に運び込み、囃子方の前に置きます。そして、その上に引立大宮と
いう四本の細い柱の上に屋根のついたものを乗せます。舞台が一気に華やかになります。この後に登場する皇帝がここに座ります。
●狂言方口開:皇帝(シテ)が大臣と縦臣(ワキ、ワキツレ)を従えて登場:狂言方の官人が登場。狂言方の台詞で始まります。
皇帝に仕える官人は皇帝の御代をことほぎ、四季の節会の初めに帝は不老門にお出ましになり舞楽を奏され、鶴と亀も参内して舞い遊ぶ。今年もその時期となったので、
老若共に残らず出でて拝するようにとふれまわり、退場。その後直ぐシテの皇帝が登場。多くのシテは面をかけていますが、このシテは直面、面無しの役。頭には唐冠。
この皇帝は玄宗皇帝とわかっています。能のタイトルは《鶴亀》、喜多流では「月宮殿」といい、またこの能には「玄宗」という別名もあり、玄宗皇帝のことを言います。
その皇帝が最初に謡います。「それ青陽の春になれば 四季の節会の事始め」。「青陽」とは春のこと、特に初春、正月のことで、新年の晴れ晴れと清々しい気に満ちた
季節に「四季の節会の事始め」つまり、四季の行事の始まりとして正月の行事があるという訳です。
その様子は実に壮大で、皇帝が姿を現すと、多くの役人や大臣たちが「袖を連ねくびすを接いで」、前後左右隙間もないほどにびっしりと並んでいる。
その数は一億百人を越えるというのですから、すごい光景です。そういう場面から始まります。
●鶴と亀が登場:〈中ノ舞〉を相舞で舞う。ワキの大臣が、毎年この行事で行っている様に、鶴と亀に舞を舞わせて、その後、月宮殿で舞楽をなさいませと言います。
月宮殿とは、月の都にあるという伝説で知られる、天人たちが住む美しい宮殿のこと。その様な宮殿に例えて、皇帝の宮殿の一つをそう呼んでいます。
鶴と亀が〈中ノ舞〉という舞を「相舞」で舞います。「相舞」とは複数の演者が揃って同じ舞を舞うこと。
●皇帝の舞《楽》:鶴と亀の舞により皇帝もおおいに喜び、自ら《楽》という舞を舞います。皇帝の舞なので、厳粛に重々しく堂々と威厳をもちつつ、祝賀の雰囲気をもって舞います。シテが持っているのは、唐団扇、瓢箪型の中国風の団扇。手で持つ所も合せて70~80cm。紗という薄い織の布が枠に張ってあり美しい模様が描かれている。
●皇帝は月宮殿から長生殿へ還御:いよいよ最後の場面。これは仕舞《鶴亀》として演じられる部分。仕舞とは能の見どころをシテと地謡だけで演じる上演形式。
月宮殿で殿上人たちがまるで天人のように美しく舞います。美しい言葉がたくさん出てきてこの場面の華やかさを彩ります。
「山河草木国土豊かに千代萬代と舞ひ給へば」、神羅万象国土豊かにずっとこの良い時代が続いて栄えるようにと祝賀の場面が盛り上がり、皇帝は御輿に乗り長生殿、
長く生きるという名前のついた御殿、長生殿へと還御、帰っていきました。「還御なるこそめでたけれ」まことにめでたいという詞章で終わります。

2023.0113 O.A 「3年ぶりの釧路はやはり寒かった」 [varied stories]

鈴木雅章さん(翻訳者・ライター)

3年ぶりにやっと帰省できた鈴木氏、真夏のオーストラリアから真冬の釧路へようこそ!といった感じです。
釧路に到着した日は氷点下7度。この寒さを忘れていたそう(笑)。
雪や雪かき、凍った川に感激したのは、オーストラリア生まれの息子さん。雪の上にダイブしたり、凍った川に雪の塊を投げてみたり。
その純真な気持ち忘れているわ。。。と思った私。
「もう出歩いたので帰っても良いかも、少々疲れてきました」なんて。
実は3年ぶりということもあり、今回日本の滞在は6週間。すでに東京では昭和の街が残されているところに感動したとおっしゃっていました。
東武東上線の中板橋に民泊したそうで、その商店街が温かみがあって、彼の好きな雰囲気が残されていて良かったと。
釧路では雪や氷、そして青春の味、スパカツに舌鼓。なんと大盛りを注文したそうですが、カツの部分はほぼ息子さんに奪われてしまったと少し寂しそうな笑顔。
鶴居の実家では温泉を楽しまれているとおっしゃっていました。
さて、オーストラリアの年末年始についても伺ってみたのですが、やはり海外は新年のカウントダウンが多いみたいです。家族や親戚が集まるのはクリスマス。
彼も以前、シドニーのハーバーブリッジでのカウントダウンにいかれたそうで、ものすごい人が集まっていたそうです。
仕掛け花火には毎年テーマがあったり、船の上での打ち上げがあったり。
お話しを伺っていると、一度海外のカウントダウンも体験してみたいと思いますね。
今後は札幌で千歳空港の温泉を楽しんだり、大阪でたこ焼きを食べたり、広島は一度もいったことがないので、原爆ドームにも足を運んでみたいとおっしゃっていました。
何と言ってもこのあとの一大イベントは、東京での大相撲の観戦みたいです。「チケットが取れたので〜」と嬉しそうに教えてくださいました。
※写真は鈴木雅章氏からお借りしました。
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