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play back heisei [close to you <art編>]

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今回の展覧会は、平成の約30年間、正確には31年間(1989~2019)に、十勝地域で活動し、制作された作品を展示。
油絵等の絵画や版画、書、写真、創作人形など全部で15点出品とのこと。展示作品の中からご紹介いただきました。
油彩画で、森弘志「それ、普通」という作品。北海道立帯広美術館では、平成10年から10年間、「十勝の新時代」というシリーズ企画を開催しました。そのシリーズ企画は、現在および今後の活躍が期待される十勝ゆかりの作家に着目し、個展形式でその制作活動の現況を紹介するというまさに十勝の美術を現在進行形で紹介するもの。その第1回の作家に選ばれたのが森弘志さん。作品は写実的ですが、描かれるモチーフはよくみると不穏で、なにか黙示的幻想的雰囲気が漂うもの。
八重柏冬雷「花鳥風月~寂韻の響き~」は、前衛書家の作品。前衛書というのは、文字をモチーフとしながらも、文字の可読性を超えた表現世界を展開する領域。書道の典型的な道具である筆だけでなく、ローラーや段ボールなども使い、墨で花鳥風月の文字を表現しているそうです。
池田緑「My Own Speciman」この現代美術の作品は、文字を刻印してラベルなどに使用するプラスチックテープに、作家が生まれた1943年4月3日から、この作品を制作した1999年3月15日までの日付を連綿と刻印したものをつながったまま巻いた状態で透明のアクリルパイプに納めた作品。Specimenとは標本という意味。タイトルは、私自身の標本、という意味です。連綿と刻印された日付は、まさに彼女の人生を標本という形にしたものと言えます。また、その連なる日付は、彼女やそして家族の人生の連鎖を象徴的に表しています。
戸張良彦「104.270480,42.762508 273°」十勝の風景を撮影したもの。タイトルの数字は撮影した緯度と経度、そして、方角を表しているそうです。作家は、むかし札幌で作品を発表した際、美瑛の風景と間違えられたことを契機に十勝の起源ともいえる風景を撮ろうと考え、十勝の風景を撮影しているのです。それは、モノクロームで画面も荒れた感じに撮られていま。誰かが風景の骨格と呼んだそうですが、まさにそのような表現が、より十勝の風景の本質を表しているように見えると敷田氏はおっしゃっていました。
敷田氏曰く・・・「平成という意外に最近のような昔のような、その30年間に十勝で生み出された作品は並ぶと、力強く、大変壮観です。ぜひ、会場で、時代の息吹を感じていただければと思います。」
※尚、写真は北海道立帯広美術館 敷田弘子氏からお借りしました。
(プレイバック平成 十勝美術の30年は3/10まで北海道立帯広美術館で開催中です。)

2024.0110 O.A 市立釧路総合病院 院長 森田研氏  [close to you <dr.編>]

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腕時計や指輪、眼鏡などのセンサーを利用して普段の生体情報を記録することで、長年の蓄積された情報から、僅かな変動を捉えて生活習慣病の対策が可能になる生体デバイスの開発が進んでいます。いわゆるウェアラブルなデバイスがたくさん増えてきたということ。
コロナで身近に売られていた指尖脈波動脈酸素分圧モニタ(O2サチュレーションモニタ)がご家庭にもある方も多いと思います。過去には血液を動脈から注射で採血して調べていた血液中の酸素濃度が装着するだけでわかるようになったのは25年ほど前のことだそうです。
また、実際に全身麻酔の手術中に病院では、この酸素分圧モニタの他にも常時、筋肉の運動誘発電位モニタリングで麻酔の深さをチェックするシールを患者さんのおでこなどに貼り、全身麻酔の調節に役立てているそうです。顔の表面にある筋肉の運動反応を調べながら、微弱な電流を皮膚から流し、反応を読み取っています。それで麻酔のかかり具合等をチェックできるそう。
そのような病院のデバイスが一般生活にも応用されてきていると・・・森田氏。微細な生体の水分量や血管内の酸素化状態をモニターするためのシリコンシールにナノメッシュと呼ばれる装置を付け、微弱電流で端末に情報を送ります。装着しているのを忘れるぐらい軽くて邪魔にならないそうです。
例えば、寝ている人の枕の表面に装着して、皮膚からの呼吸数や心拍数・体の動き・筋肉の活動などをモニター。睡眠の深度を記録する装置は、枕の他にスタンド型や布団の中、アイマスクなどで実用化されてきているとおっしゃっていました。シート型や据え置き型では、実際に寝てみると、何かを装着されているのを自覚することなく、普段通りに生活するだけ。それが、病棟のモニターには遠隔信号で安静な睡眠が出来ているか、急なトラブルが起こっていないかを看護スタッフが見守ることが可能になっているのです(一部の病棟ですが)。患者さんにとっても、器械や点滴をしていなくても良いので、非常に違和感なく受け入れられているそうです。
そして、このような先進機器を用いて、災害時の避難所でメンタルケアを行ったり、睡眠や認知状況を解析する研究を行っている方がいらっしゃいます。慶応大学理工学部の満倉靖恵教授。新たなデバイスとして世界初の「リアルタイム勘定認識装置」を開発し、米国TIME誌の世界の発明ベスト50に先日選ばれたそうです。眼鏡型のデバイスとスマホ送信で、視線や瞬き、眼球運動などの生体情報をモニタし、つけている人が見る視野も同時記録して、何に対して感情的反応が起こったのかを遠隔記録する「気持ち録画システム」で、安全な生活に役立てようというものだそう。
確かに便利になものはたくさん世の中に溢れていて、その反面、様々な弊害もあるのが事実。良い方向に利用され、さらに私たちの生活が快適になるのであれば両手を上げて喜びたいところですが・・・。