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2024.0125 O.A BAND [chord 5]

・終わらない歌 / THE BLUE HEARTS
・NO NO NO / THE BLUE HEARTS
・パンク・ロック / THE BLUE HEARTS
・世界のまん中 / THE BLUE HEARTS
・裸の王様 / THE BLUE HEARTS
・君のため / THE BLUE HEARTS
・リンダリンダ / THE BLUE HEARTS
~今回はバンド編です。THE BLUE HEARTS特集 第2弾です。
セレクトは河口氏。出演は、河口氏&midoriでお送りします。

道東周辺ニシンの話:2010年代以降の漁獲量増加(黒田 寛編) [fun science]

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お正月にカズノコを食べた方も多いと思いますが、今回はその親、ニシンのお話しです。明治時代、道東ではコンブ・サケ・ニシン漁が漁業の中心でした。特に、明治30年頃から道東では、春ではなくて初夏にもニシンが獲れていたという記録があり、当時、小ニシン・馬鹿ニシン・油ニシンと呼ばれていたそうです。襟裳の西側から道東に、回遊するグループがいたようです(今はいません)。
明治期以降、1970年中頃までタイムスリップすると、このニシン明治時代ほどは獲れなくなりました。温暖化の影響を指摘する人もいます。そして、これでもう北海道のニシンの時代はもう終わったのか・・・と考えていたら、実は、2010年代中頃から北海道周辺でのニシンの漁獲量は再び増えたそうです。道東で漁獲されるニシンの代表は『地域性ニシン』と呼ばれるグループで、汽水湖沼内の産卵場で産卵、その周辺海域で小さく回遊して生活史を閉じる集団になり、大回遊しないのが特徴。
例えば、近年の厚岸湾・厚岸湖では、ニシンの卵は厚岸湖東側の密集するアマモや海藻に産み付けられ、その後、孵化した仔稚魚は厚岸湖内で生息、水温が20℃を超えると厚岸湖から水温の低い厚岸湾の底層に生息場所を移動することが知られていて、さらにその後は湾外を小規模に回遊する特徴があり、成長段階に合わせて異なる海域を複合的に利用することが報告されているとおっしゃっていました。
さて、最近の北海道周辺の沿岸漁業でとられているニシンの特徴ですが、まず、厚岸湾・厚岸湖の地域性ニシンの漁獲量が2015年から突然増えました。2015と2016年には1000トン越えして、その後はいくぶん減少傾向。増えたのは2012年級群(2012年生まれ)であり、この年のニシンの生き残りが非常に良かったということが指摘されているそうです。「厚岸ニシンの専門家とも2012年級群の増大要因について話をしたことがありますが、正直予想外で、大変驚きだったことと、産卵場や初期成育場周辺の水温と関係があったのでは?ということでした。」ニシンは非常に浅い場所で産卵し、2012年当時、産卵場周辺の水温を観測していなかったため、その真意は未だ明らかではないそう。
最近年、厚岸ニシンの漁獲量は減少傾向ですが、根室海峡周辺、特に標津町や羅臼町周辺でニシンの漁獲量が増えているそうです。根室海峡周辺では風連湖の『地域性ニシン』の漁獲量が2010年代に徐々に増加しはじめ、2018年以降、特異的な豊漁状態にあるということです。特に増えているのが、風連湖の『地域性ニシン』とは異なるグループの漁獲のようで、漁獲量増加の原因は未だ不明・・・と。
また、北海道のオホーツク海沿岸(紋別など)でも2020年の前後でニシンの漁獲量は増えているそうです。でも、どの集団を漁獲しているかがわからないのが現状で、漁獲量増加の原因が特定されていないと。中には国境を越えてくるニシンもいるので、なかなか科学的に理解するのが難しいのが現状とのこと。「いずれにしても道東沿岸周辺では2010年代以降、ニシンの漁獲量が増えているので余裕があれば、輸入物(アメリカ産やカナダ産)よりも少し値段は高いですが、北海道産、特に、道東産を買って頂ければと思います。」
※写真は黒田寛氏にお借りした資料です。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/4aeKDmyORB6FerlhX4HBlv

キタサンショウウオの冬の乗り切り方(照井 滋晴編) [nature treasure]

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キタサンショウウオのような両生類は、こんな寒い時期にはまったく動かず、というよりは動けず・・・じっとして春の訪れを待っています。
では、どんなところでじっとしているのでしょう?「 過去の観察記録では、ヤチボウズの中や防風林のコンクリートブロックの下、大きな石の下、大きな倒木の中や下、ヤチハンノキ林の根元などと報告されています。」 照井氏は10年以上前、教育大学の後輩と一緒にキタサンショウウオに発信機をつけて、その発信機から出る電波を頼りにサンショウウオを探すという研究をしていたことがあるそう。その際にヤチボウズの中に入り込んだ越冬中かな?と思われるキタサンショウウオを確認したそうです。ヤチボウズの中とは言え、確実に氷点下まで温度が下がるのに、よく生きていられるものだと思った記憶があると照井氏。
実はそれはいらぬ心配で、キタサンショウウオを含む両生類は意外に寒さに対する抵抗力をもっているそうです。キタサンショウウオは日本よりも北に位置するロシアにも広く分布していますが、当然ロシアの冬は日本よりも厳しいもの。ロシアでの研究成果ではキタサンショウウオは-50℃もの低温下でも生存する能力を持っていることが明らかになっているとおっしゃっていました。
では、なぜそこまでの低温に耐えることができるのでしょう?例えば哺乳類のヒグマの場合、冬になると冬眠穴の中に入ってあまり動かずにエネルギー消費を抑えて冬眠します。冬眠中は飲まず食わずで心拍数や呼吸数を低く保ち、体の脂肪を代謝しながら過ごすのです。この時のヒグマの体温は通常の状態よりも4~5℃程度下がるだけで、32~33℃をキープしているそうです。これが可能なのは、ヒグマが高度な体温調節能力がある生き物だから。キタサンショウウオなどの両棲類は体温が外気温に左右されてしまうので、外気温が氷点下まで下がればそれに応じて体温も低下します。そして、体温が0℃以下まで下がれば体内の水分が凍り始めてしまうはず。でも、実際にはそうはならないのです。「そのメカニズムですが・・・ まず、キタサンショウウオは冬に向けて肝臓でグリコーゲン(糖質)を合成します。越冬場所の温度が氷点下まで下がった時、このグリコーゲンは、グリセロールという物質に変化して、細胞の内部を含む体内のあらゆるところに浸透。これがとても大事。
普通の水は0℃以下で凍結。ですが、塩を混ぜた水は0℃では凍結せず、もっと温度を下げなければ凍結しません。糖分も同じ働きをするそう。体内に糖分を浸透させることで、体内の水分は不凍液のようになり、キタサンショウウオの体内が0℃以下に下がっても凍結しない状態になるのです。その結果、細胞の縮小と死滅を防がれ、-20℃、-30℃の寒さでも体内を凍結させずに生命を維持することができるようになり、釧路湿原の寒い冬をやり過ごすことができるということ。
ちなみに釧路周辺にも分布していて、日本でポピュラーなアマガエルも凍結に対する抵抗性を持っていることが研究の結果明らかになっているそうです。「静岡大学で耐寒性を確かめる実験が行われました。アマガエルを-40℃で6時間凍結させた後、室温で1時間解凍した場合にどれくらいの個体が生き残るかというもの。結果としては、80%以上の個体が生き延びたのです。アマガエルがキタサンショウウオのような凍結耐性を有する種であることが明らかになりました。そのメカニズムは、キタサンショウウオと同じで、血中のグルコースやグリセロールの濃度が高まり、血中糖度が上がることで不凍液のような役割を果たし、冬期の氷点下の環境をじっと耐えることができるようになるのです。」同じ機能を持つ両生類は海外でも確認されていて、両棲類の寒い冬の乗り切り方としては一般的な方法のようです。ただ、中には冬越しをできずに死んでしまう個体もいるそうで、やはり寒い冬というのはキタサンショウウオにとっても重大な試練なのだろうと照井氏はおっしゃっていました。
※写真は照井滋晴氏からお借りしました。
※音声はこちら・・・https://open.spotify.com/episode/1AyDsyIb3yZhdtwfwE1asy